
GODIVAが取り組むDXの現在地。モバイルオーダー導入で見据えるwithコロナ時代の生存戦略は
2022.02.01
新型コロナ対策
インタビュー
小売店向け
2018.03.22
インタビュー
2018年3月、株式会社Showcase Gigは実店舗の店頭でセルフ注文・決済を可能にするハードウェア端末「O:der Kiosk」の開発を発表した。「O:der Kiosk」は同社のモバイルオーダーシステム「O:der」と連携し、スマートな店舗運営や人手不足の解消を支援する。この特徴的なハードウェアをデザインしたのが、プロダクトデザイナーの角田陽太(かくだ・ようた)氏だ。従来のものとは異なる近未来的な端末はどのようにして作られたのか、同氏に話を伺った。
最初は、今回ご依頼をいただいたShowcase Gig(以下、「SCG」)さんでオムニチャネル・スーパーバイザーを務めている奥谷孝司さんとの食事会で、代表の新田さんとお会いしたのがきっかけでした。SCGさんはもともとソフトウェア開発をされている企業ですが、新田さんからハードウェアの開発もやっていきたいという話が出て、「それなら」ということで話が進んでいった感じです。
SCGさんがGood Coffeeさんと共同経営されている「THE LOCAL(※)」で最初の打ち合わせをしたのですが、そのときに「こういう店舗に置いても違和感のないもの」とのご要望をいただきました。THE LOCALは木材やタイルを使ったナチュラルなインテリアとデジタルが融合した、未来を感じさせるカフェだったので、こういうお店に置くなら、従来の“券売機”ではないなと。女性が違和感なく使えるシーンが思い浮かんだので、割とスタートの段階からクリーンなイメージを自分の中でベンチマークしていましたね。
※2016年3月、東京・渋谷にオープンした“デジタルコーヒースタンド”。オープン時からモバイルオーダーシステム「O:der(オーダー)」を導入し、スマホアプリによる事前注文・事前決済が可能。店内には「O:der」と自動で連携するデジタルサイネージも備え、これまでにない、近未来的でスマートなカフェ体験が楽しめる
特に重視したことが2つあります。私は普段から「ニュートラルなデザイン」を心がけているので、ひとつは「O:der Kiosk」自体が意味を持ちすぎないようにすること。もうひとつは、今までにない形にすることです。カラーリングについては、色自体に主張がなくてもいいのではと考えて、無彩色の中から一般的な壁の色に近い白を選びました。主張しすぎない、という意味では黒でもよかったのですが、黒は男っぽいイメージが強くなるので、女性をターゲットにするなら、やはり白かなと。自然な佇まいで飲食店にマッチするような色を選択しています。
形状に関しては、まず考えたのが体積を減らしたいということでした。従来の券売機は壁に貼り付けるように設置する四角いものがほとんどで、内部に何もない空間ができていました。それを、角を丸くしたり、余分な隙間を削ぎ落とすことで減らしていこうと。ただ、操作しやすい高さや設置したときの安定性、それから一定の強度も確保しなければいけないので、そういった必要最低限の要素や製造方法を考慮しながら、形状を決めていきました。
照明の下で光沢感が出すぎないように少しマットな質感に仕上げています。白の色にしても色々な白があるので、飲食店にふさわしい、食べ物を表示して美味しく見える白にこだわっています。
例えば、フードコートなどでは多くの店舗が並ぶので、注文機の設置位置も壁付けだけでなく、柔軟に設置できるほうがいい。そんなときに、仮にお店の中央に置かれてもカッコよく絵になるものにしたいなと思っていました。「Kiosk」は360°どこから見ても美しく見えるデザインにしたので、従来の券売機のように壁付けする必要はありませんし、置く場所にも制約がありません。どこに置いてもお店の“主役”になれるプロダクトになったと思います。
SCGさんでもかなり議論が重ねられたそうですが、「Kiosk」の決済方法が最終的に現金非対応になり、完全な「キャッシュレス端末」になったことがデザイン的には大きかったです。これによって、筐体に現金決済デバイスを組み込む必要がなくなり、制約が省かれました。よりデジタル感を表現できるハードにできましたし、未来の理想を指し示す第一歩としては、いいものが出来たのではないかと思っています。
見たことのないものになったかなと思います。ただ、これがスタート地点で、ここからが面白いところなので、「Kiosk」を最大限に活かして思い描いている未来の店舗像を実現できればと思います。
「よいデザインが生活を豊かにする」という認識や文化の底上げができたらと思っています。本質的なデザインのよさというのは分かりにくいところもありますが、実際には理解する必要はなくて、「なんかいいな」という感覚を持ってもらえればいい。「デザイン」というと、見た目のカッコよさのことと思われがちですが、形状や質感による使いやすさ、置く場所、使われ方を考えることも「デザイン」です。例えば、何か道具を使うときにストレスなく使えているのであれば、その道具は優れたデザインになっているはずです。そして、それは誰にでもできることではありません。私も一人のデザイナーとして、「デザインが暮らしを向上させる」という価値をもっと多くの人に知ってもらえるように、自分のデザインを通して世の中に発信していけたらと思います。
角田陽太(かくだ・ようた)
英国でデザイン経験を積み、帰国後、無印良品のプロダクトデザイナーを経て、2011年YOTA KAKUDA DESIGNを設立。2016年には、Hublot Design Prizeに、日本人初のファイナリストとして選出されるなど、国内外で高い評価を得ている。
編集=Showcase Gig
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