
さらに拡がるテイクアウト・デリバリー。導入する飲食店が押さえておきたいポイントとは
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新型コロナウイルス感染拡大の余波に苦しむ居酒屋産業で、新業態『セルフ飲み居酒屋』が注目を集めている。『セルフ飲み居酒屋』とは、いったいどのような業態なのだろうか。概要やモデルケースの紹介を入り口に、同業態拡大の理由へと迫っていく。
『セルフ飲み居酒屋』とは、飲み放題メニューを注文した客が、テーブルごとに設置されたドリンクサーバーなどからセルフで飲み物をおかわりできる居酒屋を指す。2019年ごろより市場に登場し、一躍トレンドの業態となった。現在では、都市部を中心にさまざまなコンセプト・看板料理を持つ店舗が、ドリンクメニューに同様のシステムを採用し、にぎわいを見せている。提供される飲み物も、生ビールやハイボール、サワーなど、バリエーションが広がりつつある現状だ。
2019年12月、横浜市西区にオープンした「仙台ホルモン 焼き肉 ときわ亭(以下、ときわ亭)」横浜西口店は、仙台をルーツとするホルモン・牛タンを主力商品に据えたセルフ飲み居酒屋だ。同店は、各テーブルにレモンサワー専用のサーバーを設置し、1時間500円の飲み放題「0秒レモンサワー®」をドリンクメニューの目玉としたところ、大学生を中心とした若い世代から好評を得た。横浜西口店では、焼肉店・居酒屋の定番ドリンクである生ビールや他のサワーなども提供しているが、大半の客が「0秒レモンサワー」を注文するという。脇を固めるために導入した“セルフ飲み”商品が、店の看板料理を抑え、1番の来店動機となっているのだ。
ときわ亭は、首都圏に複数業態の居酒屋を展開するGOSSO株式会社(以下、GOSSO)が、東北6県で同店を直営するTFS常磐フードサービスと広域FC契約を締結し、出店を進める飲食店で、東北6県以外では横浜西口店が最初の店舗だった。卓上サーバーで“セルフ飲み”を提供する居酒屋には前例があったが、同店が新たに用意したキャッチーなメニュー名がヒットに至る要因となったようだ。
横浜西口店は2020年2,3月、月間で3,000~4,000名の客を呼び込み、両月ともに1,000万円以上を売り上げた。4 、5月には緊急事態宣言の発出により臨時休業となったが、その後は居酒屋産業への向かい風をものともせず、順調に業績を回復させている。去る1月29日には首都圏11店舗目となる、ときわ亭千葉富士見店もオープンした。
『セルフ飲み居酒屋』のモデルケースとされているのが、ときわ亭・0秒レモンサワーの事例だ。最近では、ハイボールのサーバーを全卓に備えた『大衆ジンギスカン酒場 ラムちゃん』、西日本発の『レモホル酒場』、モンテローザが運営する『勝手にサワー ホルモンおいで屋』なども台頭を見せている。
▼『大衆ジンギスカン酒場 ラムちゃん』記事はこちら
なぜ『セルフ飲み居酒屋』はトレンドとなり得たのだろうか。その主因は、同業態が若者の潜在ニーズに応える居酒屋だった点にあると考えられる。
昨今の若者の飲酒動向を巡っては、「アルコール離れ」や「飲み会離れ」といった、飲酒文化との距離を示すワードが取り沙汰されているが、その一方で、家飲みや一人飲み、立ち呑み、女子会といった飲酒文化も、同世代の志向を起点にトレンド化している。
大人数の飲み会などに比べ、ライトでカジュアルなこれらの飲み方は、肩肘張らない相手と酒を楽しむものであり、精神的なハードルが極めて低い。彼らにとっては、気兼ねなく飲めることこそが飲酒の価値であり、リラックスできない場ならば、時間やお金をかける意義が薄いようだ。
Young woman using smart phone and drinking beer in cafe
こうした若者の本音は、2019年以降に話題を集めるようになった「忘年会スルー」のトレンドとも一致する。卓上サーバーを囲みながら気軽に楽しく酒が飲める『セルフ飲み居酒屋』のシステムは、気の合う少人数での飲みを好む彼らのニーズに応えたものだった。
実際にときわ亭横浜西口店の客層は、当初店側が想定していた30代のサラリーマンが中心ではなく、7割が大学生。男女比はおよそ6対4と、意外に女性が多い。人数では2人組の比率が高く、なかには女性2人で来店するケースもあるのだという。
元来、居酒屋の飲み放題は団体客をターゲットとするメニューだったが、同業態においてはむしろ、少人数の客に受け入れられるものとなっている。1時間500円の短く安いプランである点、自身の手でレモンサワーを注ぐというちょっとしたエンターテインメント体験が盛り込まれている点なども、若い世代には響いたのかもしれない。
加えて忘れてはならないのが、同業態のシステムがドリンク注文の煩わしさを解消している点だ。これまで一般的だった飲み放題の仕組みでは、空になったグラスとの交換を条件に次の注文を行わなくてはならず、店員の様子を窺いながら声をかけるまでや、注文してからドリンクが運ばれてくるまでに、わずかな時差が生じていた。彼らとのコミュニケーションが間に入るたびに、飲み相手との会話を中断しなければならないケースも珍しくなく、こういった要素が利用客の小さなストレスとなっていた実態がある。
本来はホールスタッフの負担を軽減するために導入される“セルフ化”のシステムだが、実際には客側の声をかける負担も同時に軽減している。こうした点も、同業態が支持されるひとつの理由となっているのではないだろうか。
苦境にあえぐ居酒屋産業で気を吐く『セルフ飲み居酒屋』業態。コロナショックで再編が進む飲食業界においては今後、“気軽に利用できること”が生き残りのカギとなっていくのかもしれない。
文=結木千尋
編集=Showcase Gig
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