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2022.06.24
小売店向け
2018.04.12
小売店向け
欲しいものがあるときは、お店まで出かけて陳列棚を自分で見て、その店舗に在庫のある商品を、現金を支払って買う――そんな当たり前の日常が変わろうとしている。牽引するのはデジタルテクノロジーだ。当コラムでは、各国先進企業の事例を追いながら、未来の消費を考えてみたい。
スーパーマーケットは今、デジタルトランスフォーメーションの真っ最中だ。旗手は、新たな O2O 施策として「ニューリテール戦略」を掲げる中国のアリババだ。同社が展開する生鮮食品スーパー「盒馬鮮生(ファーマーションシェン)」は、物流や飲食との有機的な連携により、未来の買い物体験を提供する。
商品は、貼付された電子タグを専用アプリでスキャンすることでクラウド上の買い物カゴに入る。そのまま会計を完了したら、店舗から 3~ 5km 圏内であれば、わずか 30 分以内に自宅へ届けられるという。ユニークなのが店内に調理コーナーを備える点だ。さらに購入した食材は店内のシェフに調理を依頼でき、併設のレストランで食事までできる。さらに盒馬鮮生は、24時間体制のデリバリーや世界初の「ロボットスーパー」の展開も視野に入れているという。そんなアリババの背中を追うのが同国のテンセントと京東商城だ。同様の業態の展開を進め追撃を図る。中国 IT 界の巨人たちが先陣を切る「ニューリテール」。果たして、世界の流通にどのような変革をもたらすか。
IoT 技術によってレストランはまだまだ進化していきそうだ。中国で行われたテクノロジーの祭典「雲栖大会」では、アントフィナンシャル、アリペイの AR チームが共同で開発した “ 未来のスマートレストラン ” が話題を集めた。
特徴は省人化を実現するセルフ注文とスマートな決済システムだ。まず、入店時に QR コードのスキャンと顔認証でユーザーを識別、客用テーブルは全面がタッチパネルディスプレイになっており、料理はそこからセルフ注文する。会計もスムーズだ。注文したものをテーブルの画面上で確認したら、あとは店を出れば自動的に会計が完了する。注文と会計の工程を丸ごとカットできるため省人化につながる。食事をしてお金を払わず退店――まるで “ 食い逃げ ” のようだが、もちろんそうではない。これは、まったく新しい体験なのだ。特筆すべきは、来店ごとに収集されるデータはパーソナライズに活用されるほか、ビッグデータとしてさらなるサービス拡充にも活かされるということだ。使うたびにユーザーに最適化されていく、進化するレストランが世界で始まろうとしている。
スマートフォンや IoT デバイスの普及により、常にオンラインが当たり前になった。次は自動車もオンラインが当たり前になる。位置情報や車両の状態、道路状況といったデータをネット経由で収集・分析して、安全な走行をサポートする「コネクテッドカー」の普及だ。
コネクテッドカーは日常消費にも変革をもたらす。カード会社大手VISA は、ピザハットらと共同で、車内からオンライン注文・決済ができるシステムの実現に取り組んでいる。店舗側は車の位置情報とビーコン技術により、注文者の来店をリアルタイムで把握できるため、ユーザーは待ち時間なしで商品を受け取れる。将来的には、飲食・小売に加え、給油料金や駐車場の決済などにも活用されるだろう。そして、コネクテッドカーを介したサービスは、スマートスピーカーとの相性も抜群だ。手を使ったデバイス操作はドライバーにはできない(すべきでない)が、声による操作ならば問題はない。従来、出発地と目的地をつないできた。車がさらにあらゆるものをつないでいく。
インターネットが爆発的に普及した1990年代後半以降、ネットショッピングは日常となり、あらゆる場所が “ ストア ” と化した。次にユーザーに新たな買い物体験を提供するのが、スマートスピーカー(音声アシスタント)だ。
例えばフードデリバリーのシーンではスマートスピーカーがあれば、スマートフォンを取り出しアプリを起動することすら必要なくなる。韓国の LG 電子は 2017 年、Amazon の音声アシスタント「Alexa」に対応した冷蔵庫を発表した。この冷蔵庫は Amazon が展開する生鮮食品デリバリーサービス「Amazon Fresh」と連携する。例えば冷蔵庫を開けて卵がなければ「アレクサ、卵を 1 パック買って」と言うだけだ。たったこれだけで 2 時間後には自宅に卵が届いている。数十年前に SF 映画で描かれたような光景が現実になっているのだ。音声による指示表現は「ボイス UI」と呼ばれ、スマホアプリにとって代わる新しいコミュニケーション手段として最も注目を集めている。
※この記事は冊子版「DIG-IN vol.2」に掲載されたものです。
イラスト=FLAMINGO STUDIO
編集=Showcase Gig
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