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日本政府は、東京オリンピックが開催される2020年までに年間訪日観光客数4000万人の受け入れを目標に掲げている。“現金大国”と皮肉られることもある日本でも、2020年に向けてキャッシュレス決済の整備を早急に進めているが、依然として普及率は低いままだ。一方で、お隣の中国ではキャッシュレス決済の普及率は全国民の50%を超えるとも言われ、日本を大きく引き離している。そればかりか、2016年には現金なしで決済できる、無人コンビニ「Bingo Box」がオープンし、世界をまた驚かせている。
無人コンビニといえば、2016年にAmazonが発表した「Amazon Go」を思い浮かべる人も多いだろう。Amazonのテクノロジーを集結させた革新的な店舗は世界中のニュースで取り上げられ大きな話題になった。しかしながら、未だ試験運用段階で一般公開には至っていない(2017年11月現在)。
そんな中、中国がAmazon Goより早く無人コンビニを実用化させた。それが「Bingo Box(ビンゴボックス)」だ。2016年8月に出展した一号店を皮切りに店舗数を増やしている。今回はそんな“Amazon Goを越えた”ともいわれる中国のBingo Boxについて考察していく。
中国に出現した無人コンビニ「Bingo Box」は4.5坪ほどの移動コンテナ型の店舗だ。WeChatのIDを使って入店し、モバイル決済を使用してセルフ会計を行う。運営は陈子林(Chen Zilin)氏をCEOとする中国のベンチャー企業のZhongshan BingoBox technology Co.(中山市賓哥網絡科技)。2018年中には、さらに資金5億元(約83億円)を投じて、約5000店舗を開設するという報道もあるほど、国内で急速な広がりを見せている。
店内に並ぶ商品にはRFIDタグ(電子タグ)が付いており、商品をレジの読み取り機に乗せると合計金額と支払い用の2次元コードが表示される。これを「WeChatPay」や「Alipay」で読み取り決済を行う仕組みだ。
Bingo Boxは基本的に施錠されており自由な入店はできないようになっている。入店するにはWeChatのIDが必要で、入口でアプリをかざし本人を認証するととロックが開き、入店できる。
入店したら商品を選ぶ。Bingo Boxで取り扱っているのは、一般的なコンビニ同様、飲食物から小物、日常雑貨など一般的なコンビニと同様のものだ。
商品にはすべて電子タグが付けられている。これを入り口付近に設置されたキャッシャーで商品をスキャンし、中国では一般的に普及しているWeChatPay、Alipayで支払いを行う。
会計が終了したら入り口が再び解錠され、退店する。
無人コンビニというと、窃盗対策などセキュリティ面の問題が気になるところだ。しかし、Bingo Boxでは実用化してから、これらの問題は1件も起きていないという。その理由は以下の3つが考えられる。
入店時に使用したWeChat IDは、ネットワークに接続された店内のカメラで本人の顔を自動判別している。そのほかにも店内には無数のセンサーが配置されており、決済を終えないまま店を出ようとすると、入店時に使用したWeChat IDに警告が届き、商品代金を支払うか、警察へ連絡するかの二択を迫られる。つまり、窃盗をした場合のリスクをここで提示して、抑止力としている。
「WeChat Pay」や「Alipay」では、個人の信用をスコア化しており、例えば、公共料金の支払いが滞ると航空機に乗れなくなるなどのペナルティが課されてしまう。小額の商品をわざわざ窃盗することに対してのリスクが極めて大きく、「悪いことをすると損」という意識を根付かせるシステムになっている。
Bingo Boxは高級住宅街が大学内など治安のよい場所を選んで設置されている。また、そもそも店内には現金を置くレジがないため、強盗の対象にはなりにくい側面もある。
Bingo Boxをはじめとした中国での無人店舗の開発が進んでいるのは、中国の決済事情が大きく関わっている。中国都市部では「現金お断り」のお店もあるほど、ライフスタイルとモバイル決済が密接に繋がっているのだ。また地価や人件費も年々上昇している。無人コンビニはこれらのコストも削減できる。Amazon Goよりも早い無人コンビニの実用化は、中国にとっては必然だったのかもしれない。事実、中国国内ではBingo Box以外にも、コンビニ、カフェ、スーパーなど様々なお店で同様の技術が続々と登場している。
しかし、無人コンビニにはまだ課題も多く残されている。まず解決すべきは、行政の管轄の問題だ。Bingo Boxの移動コンテナ型の無人コンビニという業務形態は法律的にグレーゾーンで運営されいる。実際それにもとづく苦情も寄せられているという。Bingo Boxは行政との連携を進め、正規の法規制の枠内での運営に移行する必要がある。セキュリティの強化・利便性の向上のためにまた、電子タグ、カメラ、センサーも改良し続けなければならないだろう。
編集=Showcase Gig
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