2021.09.29

新型コロナ対策

小売店向け

国内小売業で加速するBOPISの導入。コロナ禍で進む店舗デジタル化は、OMO浸透の契機となるか

ECが活況を見せるコロナ禍の小売業界で、新たなショッピングスタイルが定着の兆しを見せている。 オフライン、オンラインの中間にある選択肢として、BOPISは日本の小売業界を変革できるだろうか。その現在地を探る。

コロナ禍でBOPISに集まる注目。米国ではウォルマート躍進の原動力に

BOPIS(Buy Online Pick-up In Store)とは、ECサイトで購入した商品を、実店舗で受け取れる仕組み・サービスを指す。

従来のショッピングでは、オフライン・オンラインで購買体験が独立しており、ECサイトで購入した商品は、物流システムを通じて配送されるのが一般的だった。BOPISでは、このように分断していた2つのチャネルを、ECの側から融合する。背景にあるのは、OMO(Online Merges with Offline)の考え方だ。広義には、「Click&Collect」(ECで購入した商品を、自宅以外の場所で受け取る)や、「カーブサイドピックアップ」(ECで購入した商品を、店舗の駐車場で受け取る)とも同質の言葉とされる。コロナ禍で加速する店舗デジタル化においては、非接触・非対面でのオフラインショッピングを実現する、重要なトレンドワードとなっている。

リテールテックの活用が進むアメリカでは、すでにさまざまな企業がBOPISの導入に乗り出している。同システムを浸透させたと言われる米・ウォルマートは2016年、店頭に受け取り専用のピックアップタワーを設置し、持ち帰りサービスへの対応をスタートさせた。
walmart
同チェーンはアメリカでコロナの感染が拡大した2020年2~4月期においても、前年同期比10%増の既存店売上を達成。2021年1月にニューヨークで開催された小売分野の展示会「NRF 2021: Retail’s Big Show」では、「コロナ禍で最も成功したリテール」として複数の登壇者から称賛を受けている。こうした躍進の裏に、かねてから進めてきたOMO施策があったのは間違いない。ウォルマートのBOPIS用アプリ・Walmart Grocery(ウォルマート グローサリー)のダウンロード数は、2021年4月に過去最多を記録した。

日本の小売業界はこれまで、BOPISの導入でアメリカに遅れをとってきたが、最近ではコロナの影響などもあり、少しずつ事例が増えつつある現状だ。

国内のBOPIS導入事例

カインズは他社に先駆け、ロッカー受け取りを本格導入

ベイシアグループが展開するホームセンターチェーン・カインズは2019年12月、「CAINZ PickUp Locker(カインズ ピックアップ ロッカー)」を浦和美園店に試験導入した。

(出典:CAINZ公式HP)

同設備は、オンラインショップで注文した商品を実店舗で受け取れるよう設置されたロッカー。注文時に付与されるパスワードあるいはQRコードによって、スタッフの手を介さずに商品を受け取れる。「商品を見てから購入を決めたい」「他の商品とまとめて決済したい」といった顧客のニーズに応える取り置き型のサービスとなっている点が特徴で、事前決済には対応していない。

カインズは2021年度までに、CAINZ PickUp Lockerの全国展開を目指している。直近では一部店舗を対象に、カーブサイドピックアップサービスである「Drive PickUp(ドライブ ピックアップ)」の提供も開始した。

全国の店舗でカウンター受け取りに対応するニトリ

家具・インテリア量販のニトリも、BOPISに力を入れる国内小売業のひとつだ。同チェーンは全国の店舗(一部を除く)において、ECで注文した商品の、店舗カウンターでの受け取りサービスを提供している。

対象となるのは、ニトリネットの商品詳細ページに「店舗受取可能商品」と記載がある場合で、店頭に在庫があれば、最短で翌日の受け取り(一部店舗では14時までの注文で当日受け取り)に対応する。事前決済と店頭支払いを在庫状況に応じて使い分けている点も、同サービスの特徴だ。

このほか、ニトリは、配送センター受け取りにも対応する。ロッカーを活用した非対面・非接触のサービスではないが、まだ前例の少ない日本においては、先進的な取り組みを見せる小売業のひとつだと言えるだろう。

独自キャッシュレスとの両立で、非対面・非接触の実現を狙う無印良品

生活雑貨・日用品などの販売をおこなう無印良品は2020年12月、新規オープンの「無印良品 東京有明」に、全店舗で初となる「商品受取ロッカー」を導入した。

同設備は、ネット注文や店頭取り寄せを通じて店舗に届いた商品を、顧客がスタッフの手を介さずに受け取れるロッカー。カインズ同様、メールや伝票に記載された注文番号あるいはバーコードで解錠できる。支払い方法は受け取り後のレジ決済が基本となるが、店頭にて支払い済みの場合は、そのまま持ち帰ることも可能となっている。

(出典:無印良品公式HP)

2021年7月現在、ロッカー受け取りに対応する店舗は「無印良品 東京有明」のみ(※)となっているが、今後は全国の店舗にも広がっていくと予測される。同チェーン内で使えるキャッシュレス決済サービス「MUJI passport Pay」が浸透すれば、かぎりなく非対面・非接触に近い形での運用も可能となるだろう。

紹介した3チェーン以外では、イオンやユニクロ、ヨドバシカメラなどもBOPISを導入している。コロナ禍を経て、消費者にも少しずつ認知と利用が広がっている実態がある。

※ロッカーを用いない店舗受け取りサービスについては、一部を除く全国の店舗が対応済

BOPIS導入の先にあるデータ活用が、小売の未来を切り拓く

BOPISの導入は、小売店にどのような恩恵をもたらすのだろうか。この提起に対する答えを考えるとき、見落としてはならない視点がある。BOPISはOMOを実現するための手段のひとつに過ぎず、導入の本当の目的はデータの活用にあるという点だ。

ECで注文された商品を実店舗で受け渡し、その場で会計をおこなうだけであれば、その施策はO2O(Online to Offline)の域を出ないことになる。同様の動線のなかでOMOの概念へと昇華するためには、どのタッチポイントでどのようなデータを収集し、どう活用していくかが大切となるだろう。

たとえば、ECにおける閲覧データを元に、受け渡しの際、当該商品のクーポンを発行すれば、新たな売上の獲得につながるかもしれない。同商品は顧客にとって最初から興味のあったものであるため、双方にメリットのある施策となるはずだ。

こうしたデータ活用を実現するためには、BOPISの導入だけに限らず、モバイルアプリの開発・運用、キャッシュレス決済への対応、在庫管理システムの一元化など、さまざまな分野への投資が必要となってくる。

店舗デジタル化が至上命令となりつつある昨今、小売店はどのように時代へとフィットし、OMOを実現していくのか。BOPISの浸透は、その重要なマイルストーンとなるはずだ。

文=結木千尋
編集=Showcase Gig

関連記事

「OMO」とは?マーケットの再構築により、最適化される顧客体験

 

次世代店舗開発のご相談、承ります。

「DIG-IN」を運営する株式会社Showcase Gigは、飲食店/小売業態向けにモバイルオーダープラットフォーム「O:der Platform」を軸とした次世代店舗のご提案を行っています。

・モバイルオーダーを導入して業務改善を図りたい
・デジタルを活用した次世代店舗をはじめたい
・新しい消費体験の創出をかなえる業態開発に取り組みたい
・多店舗展開に耐えうる開発体制があるプラットフォームを探している
・全社的なDXを推進するにあたりSaaSを検討している

など、まずはお気軽にご相談ください。

omo_bunner

関連記事

TOPへ戻る