2021.12.06

新型コロナ対策

小売店向け

増える国内BOPIS事例。ユニクロのOMO施策に見る、ニューノーマル時代の生き方とは

――“オンライン”で購入した商品を“実店舗”で受け取る。 2010年代半ばに登場し、ECを支える仕組みとして定着しつつあるBOPIS(Buy Online Pick-up In Store)が、国内でも浸透の兆しを見せている。 活発化する国内BOPISの事例から、ニューノーマル時代を生きる小売の生存戦略を考える。

なぜいまBOPISなのか。日本で急速に浸透する店舗受取りサービスの現在地

BOPISと言えば、米・ウォルマートの事例が有名だ。同チェーンは2016年、オンライン・オフラインという異なる2つの販売チャネルを融合する施策として、店舗に受け取り専用のピックアップタワーを設置し、持ち帰りサービスへの対応をスタートさせた。当時はまだ世界でも珍しかったBOPISの事例だったが、ウォルマートの取り組みがひとつの契機となり、さまざまな小売業へと波及。現在のアメリカでは、同業大手のホームデポやクローガー、コストコなどが同様の仕組みを導入している。

こうした世界の流れに追従するように、国内小売業でもここ数年でBOPISに対応するチェーンが増えてきた。イオンリテールや、セブン&アイホールディングス、ヨドバシカメラ、ニトリ、カインズなど、先駆的に導入を始めていた企業に加え、最近では、百貨店事業のほか、渋谷ヒカリエなどの複合商業施設を展開する東急百貨店、国内有数のファストファッションブランド・しまむらなども注力を見せる。背景にあるのは、新型コロナウイルスの感染拡大による非対面・非接触への需要だ。

東横のれん街のテイクアウト商品受け取りロッカー(出典:NHK NEWS WEB)

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国内小売業で加速するBOPISの導入。コロナ禍で進む店舗デジタル化は、OMO浸透の契機となるか

富士経済グループが2021年2月に発表した「通販・e-コマースビジネスの実態と今後 2021」によると、コロナ禍が到来した2020年、日本の通販・EC市場は前年比17.7%も成長した。カタログ通販やテレビ通販が縮小傾向にある一方で、ネット通販は順調に拡大。約14兆円と見込まれる市場規模の8割以上が同販路からの売上だという。今後もこのようなトレンドは続く見通しで、2021年には前年比10.1%、2022年には2020年比20.2%の成長が予測されている。

反面、ECには課題も存在する。注文から受け取りまでのタイムラグ、送料による販売側・消費者の負担増などだ。BOPISは、こうした課題を解決する施策である。今後、業界のOMO化が加速するにつれ、BOPISはECとセットで語られる、小売になくてはならない仕組みとなっていくに違いない。

他に先駆けてBOPISへと注力してきたユニクロの存在感

国内の大手小売業が軒並み注力するBOPISの導入。なかでも注目すべきが、ユニクロの取り組みだ。同チェーンを展開する株式会社ファーストリテイリング(以下、ファーストリテイリング)は2016年、「有明プロジェクト」と銘打たれた改革をスタートさせた。

出典:株式会社ファーストリテイリングHP

同プロジェクトは、「作ったものを売る」ブランドだったユニクロを、「ニーズのある商品をリアルタイムで把握・製造し、より早く顧客の手元に届ける」ブランドに進化させるとするもの。さまざまなデジタル技術を駆使し、企画・生産・販売のすべてのフローの一元化と、スピードアップを目指す試みとなっている。

この中でファーストリテイリングは、新商品の投入サイクルの短縮、物流の自動化・高速化にくわえ、ECの利便性の向上に言及。商品ラインアップの充実、直感的に利用できるスマートフォンサイトの構築とあわせ、ラストワンマイルの体制強化にも取り組んだ。

2017年3月、同社は「有明プロジェクト」に関する発表会を開催しているが、この時点でオンラインストアで注文された商品を、ユニクロ店舗のほか、セブンイレブン、ファミリーマート、ローソンといった全国4万3,000店のコンビニエンスストアでも受け取れる仕組みを整えていた。

こうした取り組みが奏功してか、国内ユニクロのEC売上高・EC化率は、右肩上がりの成長を見せる。特に直近の伸び幅は凄まじく、2021年8月期決算では、通期のEC売上高が2019年比で52.5%増(832億円→1,269億円)、同EC化率が58.9%増(9.5%→15.1%)と、驚異的な数字を示した。ファーストリテイリングは今期もECの拡大を加速させていく方針で、顧客が時間や場所を選ばず、自由にショッピングできるよう、オンラインとオフラインを融合する仕組み・サービスを展開していく計画だ。

出典:株式会社ファーストリテイリング決算資料

公式アプリの利用率に見る、ユニクロ「有明プロジェクト」の成功

有明プロジェクトの成功を裏付けるデータはほかにもある。

ロイヤル顧客の反応可視化ツールを提供する株式会社スパコロが2021年8月に実施した「ファストファッションアプリ利用についての調査(※)」によると、ファストファッション6ブランド(ユニクロ、GU、しまむら、H&M、GAP、ZARA)で最も公式アプリの利用率が高かったのは、ユニクロだった。調査対象のうち、実に30.8%が同チェーン公式アプリを利用していると回答。これは、最も割合が低かったZARA(4.1%)の7.5倍にあたる数字だ。

※全国に住む15~59歳の1,934名が対象。調査期間は2021年8月27~31日。

出典:ファストファッションアプリ利用についての調査

さらに特徴的だったのは、しまむら、H&M、GAP、ZARAの4ブランドが5%前後の利用率だったのに対し、ファーストリテイリングが展開する2ブランドでは、GUも21.8%と高い水準を示した点で、この結果からは公式アプリの利用率が、売上高やシェアに単純に左右されているものではないことがわかる。同社が有明プロジェクトを通じて取り組んできたOMO施策の成果が明確に見て取れるデータだと言えるだろう。

ユニクロに見られるEC販売の拡大は、他に先駆けてOMOへと注力してきた結果以外の何ものでもない。withコロナ・afterコロナの時代を見据えるいま、有明プロジェクトは確実に実を結びつつある現状だ。

BOPISがニューノーマル時代のキーワードに

去る2021年10月、ファーストリテイリングは独自のBOPIS「ORDER & PICK」の本格展開を開始した。同サービスでは、公式アプリまたはスマートフォンサイト経由で購入した商品を、最短2時間、全国750のユニクロ店舗(2021年10月時点)で受け取れる。クレジットカードによる事前決済のみに対応するため、店舗ではサービスカウンターで商品を受け取るだけ。タイムラグや送料といったECならではの課題を根本解決する、同社の新しいOMO施策だ。

従来のユニクロの店舗受取サービスでは、店頭在庫の有無にかかわらず、注文から受け取りまでに数日を要していた。「ORDER & PICK」が各店舗にある商品のみに対応するサービスであるとはいえ、いかに画期的なBOPISであるかは明らかだろう。

アメリカから遅れること数年。ようやく日本でも一般化しつつあるBOPISは、消費者の購買体験を向上できるか。ニューノーマル時代への突破口は、このOMO施策にこそ隠れているのかもしれない。

文=結木千尋
編集=Showcase Gig

 

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