小売店向け

2020.02.05

米国「ブラックフライデーでBOPIS」が定着。2024年には90%の小売業者が導入

米国のクリスマス商戦開始のブラックフライデーを機に、顧客による買い物の仕方が大きく変わり始めている。これまでクリスマスプレゼントを購入する際に、顧客は店舗に行くか自宅配送指定のオンライン購入をするのが普通であった。しかし、今年はそこに「スマホで注文し店頭で商品を受け取るーBOPIS(Buy Online Pick-up In Store)」が加わった。米国ではこのサービスを利用する顧客が急激に増えているという。

ウォルマートを皮切りにBOPISが浸透

August 7, 2018 Mountain View / CA / USA – People going in and coming out of a Walmart store on a sunny day, south San Francisco bay area

BOPISを大々的に広めたのは、世界最大の小売業であるウォルマートではないだろうか。店頭に大型のピックアップタワーを配置し、ネットから注文した商品を顧客が自分自身で受け取る。同店舗を利用する顧客にとってはすでに馴染みのシステムとなっている。他にも米ホームデポやナイキなどがBOPISを導入しており、BOPISでの受け取り方法には、カウンター、ロッカー、カーブサイドピックアップなどがある。

BOPISは、Amazonの脅威に対抗するためのECの強化、広大な土地を有するゆえの高額な配送コスト、といった課題を解決するために生まれたサービスであるが、その利便性や追加で支払う配送料がかからないとあって、米国消費者のニーズともうまくマッチし普及した。

日本におけるBOPISサービスはまだまだ浸透しておらず、現時点ではヨドバシカメラやビックカメラ、無印良品や東急ハンズ、カインズなどがBOPISを導入している。

ブラックフライデー、BOPISが定着 

米国における上位100社のオンライン小売業者のうち80社の取引を測定・分析し、データ提供をしている「Adobe Analytics」によると、ブラックフライデー当日のオンライン売上は過去最高となる74億ドルを記録。その後のサイバーマンデー(ブラックフライデーのセールがその週末〜月曜日まで延長される)では、94億ドルまで売上が伸び、前年比およそ16.9%増となる過去最高のオンライン売上となった。

この記録と同時に注目されたのがBOPISの利用率である。BOPISを利用した消費率が前年比で40%以上成長。BOPISサービスを提供する店舗のコンバージョン率が、BOPISがない店舗に比べ20%も上昇していると発表された。なお、ブラックフライデーにおけるBOPIS店舗のコンバージョン率は、非BOPISの店舗を64%上回る結果になったという。

また、BUSINESS INSIDERの調査では、BOPISを提供する店舗は2024年には2倍以上の90%に増加するとも予測されており、米国におけるBOPISの提供は今後ますます拡大する見込みだ。

加速するBOPISサービス。商品購入時に米国消費者の約7割が活用

顧客/店舗双方にメリット

BOPISを導入するメリットとして、どのようなものがあるのだろうか。

顧客側メリット

なんといっても顧客の都合の良いタイミングで商品が受け取れるのが大きなメリットだろう。自宅不在で宅配便が受け取れない、配送されるまでの期間が長い、といったストレスが低減される。昨今人件費や燃料費上昇を起因とした運送会社の送料アップも続いているが、BOPISでは最寄りの店舗へ顧客自身が受け取りにいくため、その送料を節約できる。

また、商品を受け取るまでスピーディになのもメリットだ。忙しい時にもスキマ時間でオンライン注文しておけば、注文当日に商品を受け取ることも可能だ。店舗に行ったら受け取りカウンターなどで受け取るだけなので、レジで待たされることもない。店舗によっては駐車場で受け取れるサービスもあり、広い店舗内で一つの商品を探して長時間うろうろしたり、店員を探す手間もなく、スムーズ・かつ確実に欲しい商品が手に入る。ネットで見たイメージと商品が違かったという場合など、その場で返品が可能で、ECにありがちなストレスも低減される。

店舗側メリット

まずは業務効率化だ。顧客はオンラインで注文し、受け取り専用の場所で商品を受け取るだけなので、レジ会計業務が軽減される。また、注文を受けた後の配送の手続きや、その作業に必要な従業員も不要となる。さまざまな業務の省力化が可能となるため人件費を削減しながら、本当に必要な箇所に従業員を配置することができる。

またオンラインIDによるユーザーの囲い込みもメリットであるといえるだろう。BOPISを利用するための会員登録によって、顧客のIDを取得でき、会員限定のプロモーションなどといった、顧客データに基づいたマーケティング施策も可能となる。こういったオンラインと実店舗をミックスさせた施策によって、AmazonなどのECにも実店舗として対抗できる手段となりえる。ECで重宝される利便性をかね揃えたうえで、実店舗でしか経験することのできない顧客体験を提供することができるのである。

さらにはクロスセル(ついで買い)のメリットもある。BOPISでは来店した顧客の多くが別の商品を一緒に買う傾向にあり、受け取りカウンターやロッカーの周りに商品を陳列することでついで買いを促すことができ、客単価アップが可能となる。

BOPISは日本で浸透するのか

このようにBOPISは、顧客と店舗側の双方に多くのメリットがある。しかし、このシステムを導入するには、既存データの管理や既存システムとオンラインとの連携といった課題が多く残っており、改修のために大規模な投資が必要となるのが現状だ。そのため、BOPISの導入に二の足を踏む小売業者も多いことだろう。とはいえ、BOPISが米国で定着しつつある背景やサービスの性質をみる限り、今後の日本小売業界において必要なサービスとなる可能性は十分にあるのではないだろうか。

米国3位のEC企業へ躍進したウォルマート、「対・ アマゾン」のデジタル戦略とは?

「BUY ONLINE,PICK UP IN-STORE」実店舗のつくり方を変える”BOPIS”(ボピス)とは

 

文=佐々木久枝
編集=Showcase Gig

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