小売店向け

2019.04.17

レジなし店舗に見る小売の変革。キャッシュレスの先にある未来の店舗像とは

今、小売業界は大きな転換期の中にいる。世界がそれを明確に意識したのは 2017 年。Amazon が「Amazon Go」を、アリババが「ニューリテール戦略」を発表したその年だ。以来、次世代型店舗に一層注目が集まり、新しい店舗テクノロジーが次々に誕生した。それらの店舗に共通しているのが、「レジがない」ということだ。つまり、未来の小売店ではカウンター越しに店員にお札を受け渡す、という旧来の会計行為自体を拒否しているのだ。

レジなし店舗開発、世界中で加熱

レジなし店舗の代表格、「Amazon Go」

Amazon Go」の発表は世界中に衝撃を与え、レジなし店舗の開発の熱が一気に高まるきっかけとなった。

スマホの専用アプリをゲートにタッチして、店に入り、欲しいものを取ってそのまま店を出ると、Amazonアカウントで代金が精算されるというコンビニ型店舗で、天井な商品棚などに無数に設置されたセンサーによって商品を「誰が何を買ったか」を識別する。

2017年にコンセプト発表し、2018年の1月にシアトルを開店。2019年4月現在、シアトル、サンフランシスコ、シカゴに10店舗を展開し、世界中の小売業者らが視察に訪れる。

アリババの「盒馬鲜生(フーマーシェンシェン)」

中国でも同様だ。盒馬鲜生(フーマーシェンシェン)は、アリババのジャックマーが掲げた「ニューリテール(新小売)」の考えを体現するものとしてオープンしたスーパーだ。店内では生鮮食品などの購入全てをAlipay(アリペイ)で決済を行う。

Alipayですべて決済させるのはもちろん、例えば、生きたままの魚介類を店頭で選び、オンライン上で決済すれば、おかずになって自宅までデリバリーされる。

(編集部撮影)

(編集部撮影)

盒馬鲜生では、「現金しか持てない人も買い物ができるようにしなさい」という行政の介入があり、現在では現金レジも設置している。これはAmazon GOも同様で、キャッシュレスのみの店は低所得者層の差別につながるという批判があり、現金レジを設置する見込みだという。逆に言えば、オンライン企業がリアルへ進出することが、ここまで当たり前に受け入れられていることを示唆しているのかもしれない。

どちらにせよ、その店の利便性、ポイント、割引などより多くメリットを享受できるのは圧倒的にそのサービスのオンライン会員であることであることには変わりないと言えるだろう。

変革を続けるレジなし店舗、当たり前の時代へ

もちろん、Amazonやアリババだけでなく、世界中でレジなし店舗のテクノロジーは次々誕生している。2019年、世界最大級のリテール展示会「NRF Big Show」では、「レジなし店舗」のテクノロジーの展示が溢れていた。その一部を紹介する。

AiFi NanoStore

Parallax Background Image

米国スタートアップ「AiFi」が開発したコンテナ型で24時間営業のコンビニ。センサーで認識する。

云拿 无人便利店 (Lepick)

(編集部撮影)

中国ベンチャー「云拿科技(CloudPick Technology)」が開発した空港内にあるコンビニ。

猩便利(xingbianli)

(編集部撮影)

中国スタートアップ「猩便利」のコンビニ。自らのアプリで商品バーコードをスキャンする。

Caper(ケーパー)

NYのスタートアップ「CAPER」。カートに入れた商品を認識し支払いまで可能なカート。

トライ&エラーで模索し、進化する

もちろん各社において、その技術や店舗の特徴などはさまざまではあるが、未来の店舗でそれらがいつか当たり前の光景になるだろう。しかし、日本で完全なレジなしを実現するには多くの障壁がある。POSなど日本の店舗システム品質は世界一高いと言われているが、オンラインの決済手段で同様のレベルを担保するのは決して簡単なことではない。ソフトウェアにバグはつきもので、ネット回線自体ストップすることだってあるのだ。事業者の理解はもちろん、ユーザーの意識転換も必要だろう。海外の次世代店舗ではこれに果敢にチャレンジし、トライ & エラーを繰り返しながら模索することで、変革を続けているのだ。

 

※この記事は冊子版「DIG-IN vol.3」に掲載したものに加筆したものです。
編集=Showcase Gig

 

関連記事

TOPへ戻る