2022.01.05

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中国で進化するデリバリーのかたち。その「今」から日本が学ぶべきポイントとは

日本の一歩先をいく中国のデリバリーサービス。配達商品の種類の多さやスピード、配達員へのケアなど、その進化は一層加速している。日本が取り入れるべきポイントはどこだろうか。中国のデリバリー最新動向からヒントを探る。

中国フードデリバリーの市場規模は10兆円超え

コロナを契機として日本でもフードデリバリーが広がっている。日本におけるフードデリバリーの市場規模は、2018年の3,631億円から2019年には4,172億円、新型コロナウィルスの感染拡大により自粛生活が広がった2020年には4,960億円へと拡大した。
ICT総研の推計では、2021年は前年比約114%の5,678億円、2022年には6,303億円、2023年には6,821億円へとますます市場拡大が続くという。

出典:ICT 総研「2021年 フードデリバリーサービス利用動向調査」

その一方で中国では、2010年からすでに市場の拡大が始まりを見せ、生活に欠かせない存在へと進化を遂げ続けている。
2010年に586億元(約9,750億円)だったフードデリバリーの市場規模は、2019年には約11倍超の6,536億元(約10兆100億円)まで急成長。外食産業全体に占めるデリバリーの割合は、3.3%(2010年)から7.4%(2015年)まで高まった。
フードデリバリーの利用者数でみると、2021年6月末時点で2020年に比べて4,976万人増加し4億6,900万人に達した。この数字は中国の人口の約3分の1がフードデリバリーを利用したことがあることを示す。

日本の一歩先をいく中国のデリバリー文化

中国が日本と異なる点といえば、デリバリーの取り扱い範囲が飲食品に限らず広いということだ。
中国では生活に必要なあらゆるものをデリバリーする習慣がある。例えば、スーパーの生鮮食品や専門店のペット用品、化粧品などだ。さらに最近では、デリバリー商品の幅広さだけでなく、その“配達スピード”で他社との差別化を図る動きもある。2017年にサービスを開始した生鮮食品ECのスタートアップ「叮咚買菜(Dingdong Maicai)」は、アリババ傘下の生鮮食品スーパーである「盒馬鮮生(Hema Fresh)」の“半径3Km以内であれば注文から最短30分で配達”に対抗し、”注文から最短29分で配達”を売りにしている。

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そして、ここまで拡大した中国のデリバリー市場に欠かせないのが、「ギグワーカー」の存在だ。
デリバリーの拡大に伴い配達員が急増する中、配達員は単発で仕事を請け負ういわゆるギグワーカーが大半を占めている。現在、中国のギグワーカーは日本の人口より多い2億人を突破。減少傾向にある労働人口と逆行して増えるギグワーカーの労働権を守る動きが活発化しつつある。

中国で増えるギグワーカー。労働環境改善の動きも

2021年7月、中国の規制当局である国家市場監督管理総局を含む7つの政府機関がデリバリー配達員を保護する新ガイドラインを公開した。内容を一部抜粋すると以下の通りだ。

ガイドラインの内容(一部抜粋)
・当該地域における最低賃金を超える収入を得られるようにすること
・アルゴリズムによる不合理な配達期限などの要求から解放すること
・社会保障や労働組合への加入を保証すること
・配達員の一般的な条件の改善(配達員の休憩所、スマートロッカー設置推奨、スマートヘルメットの配備など)

本ガイドラインにはデリバリー配達員を対象とした基本的な労働権の保護として最低限収入・労働安全・食品安全・適切な労働環境などが記されており、今回の改正で配達員の待遇改善のための細かな条件が追加されたかたちだ。

ビル前には複数のデリバリー配達員のバイクが停車している

また、デリバリー配達員を支援したりケアしたりするためのサービスまで生まれている。
例えば「フードデリバリー配達員用休憩ラウンジ」。エアコンやウォーターサーバー、電子レンジなどの設備・備品が整っており、暑さ対策の薬や無料Wi-Fi、各類書籍、スマホ充電器などの用品・サービスが揃っている。フードデリバリー配達員だけでなく宅配員も休憩できるうえ、彼らの子供も読書や休憩、勉強などができるようになっており、「水を飲む・食事・休憩・トイレ・子供の付き添いが難しい」という彼らの実際的な問題を効果的に解決している。他にも、「デリバリー配達員の方に無料で提供」と書かれたドリンクやスイーツが並ぶ無料ワゴンが登場することもあるという。
日本ではこのような配達員をケアする動きはまだ少ないが、デリバリー市場拡大に比例し、今後は重要視されていくのではないだろうか。

また中国はデリバリー形態も多様化している。利用シーンに合わせて色々な工夫が施されているのも日本との大きな違いだ。

配達ロボットも活躍。様々なシーンに対応が進む

デリバリーの利用シーンは、自宅にいる間だけでなく、オフィスやホテル滞在時まで広がっている。中でも、最近の中国ではラストワンマイルの配達にロボットが活用されており、オフィスビルやホテルのロビーに配達ロボットが5〜6台待機しているのは見慣れた光景になりつつあるという。

オフィスビルのロビーに待機する複数の配達ロボット

配達員はビルのロビーに到着後、自身のスマートフォンでQRコードをスキャンし情報を入力。すると、スマートフォン上にロボットの番号が表示されるので、その番号のロボットに商品をセットするという流れだ。ロボットは、注文者に対してプッシュメッセージを発信し、注文者の返信を受けてからビル内の目的のフロアや部屋へ出発する。

以前は、配達員がロボット本体を操作する必要があったため、その不慣れな操作に戸惑う配達員も多くサポートスタッフを必要としていた。しかし、現在は配達員のスマートフォンでの簡単な操作で完結するようになったため、スムーズになったという。

注文者はロビーまで受け取りに行く必要がないうえにビル内のセキュリティも保たれるため、利便性が高い。配達員にとっても、配達完了までにかかる時間の短縮となり効率的なのだ。また、この配達ロボットは、商品を届ける役割だけではなく、スマートロッカーのような役割も果たしている。ロボットから自動的に「商品到着」のメッセージが届くと、注文者はロボットによる配達かロビーまで受け取りに行くかのどちらかを選択することができる。自分で取りに行くことを選択すると、ロボットはその場で待機するため、ロッカーのような役割を担うことになる。ロッカーのように物理的な場所もとらず、見栄えも良いので、都市中心部のオフィスビルやお洒落なエリアでは重宝しているようだ。

一方ホテルでも、夜間やラッシュタイムのデリバリー利用やルームサービスに、ロボットを活用している。セキュリティ上の課題を解決できるため、大規模なホテルチェーンでもすでに導入が進んでいる。

ホテル内を走行する配達ロボット

中国ほどの多様性や日常化にはまだ遠いが、日本でもコロナ禍に外食チェーンやカラオケ店が配膳ロボットの導入に積極姿勢を見せている。
拡大するデリバリ―需要に応えられ供給を持続するためには、配達員の働き方の見直しやロボット活用といった、中国で進む新たな流れからヒントを得ることが必要かもしれない。

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