2021.11.22

新型コロナ対策

飲食店向け

デリバリー専用ロッカーはなぜ中国で普及した?飲食DXの可能性に迫る

緊急事態宣言も解除され、各企業がアフターコロナに向けた対応を求められる今、日本の飲食業界はどのような取り組みを行うべきなのか。飲食DXにおいて一歩先をゆく中国の実情と上海在住の中国ビジネスコンサルタント 亀田氏の見解とともに、日本が向かうべき姿を考えたい。

中国で広がる “フードデリバリ―専用”の受け取りロッカー

2021年8月、中国四川省市場監督管理局など5当局が、フードデリバリーの非接触受け取りロッカーサービスの普及推進に関する緊急通知を発表した。
その通知は、デリバリー配達員が消費者と主体的に話し合い、「デリバリー非接触受け取りロッカー」を通じて接触することなく飲食物を受け取れるようにすることを求めている。

公的に受け取りロッカーの利用を求められていることに驚くが、この発表の背景には、コロナ禍において中国国内でフードデリバリーが一層浸透したことによる弊害ともいえる課題が関係している。
コロナ流行後、中国では“非接触”を徹底した結果、デリバリー商品の受け渡しは対面でなく、配達員が「ピックアップポイント」に置くという方法が主流となった。このピックアップポイントは、非接触での商品受け渡しのために応急処置としてオフィスビルやマンション敷地内の一角に急遽つくられたものがほとんどであったため、商品が室外にほぼ放置される状態となり、衛生面が課題となっていたのだ。

フードデリバリーロッカーが普及する以前、中国でよく見られた光景。非接触での受け渡しを徹底した結果、道路上に多数のデリバリー商品がそのまま置かれている。

これらの課題を受け、2020年3月には上海市内1,000カ所に「自助外買柜(フードデリバリー専用の受け取りロッカー)」が設置された。上海の二大デリバリーアプリ「餓了嚒(ウーラマ)」と「美団(メイトゥアン)」が設置したものだ。

オフィスビルやマンションはセキュリティ面や非接触を保つ観点から配達員がビル内に入ることができないため、ビル側が周辺にロッカーを設置し入居者に利用を推奨するケースが多い。そのため、中国都心部のオフィスビルのロビーや駐車場付近、医療機関の職員用出入口などを中心に急速な普及が進んだ。

オフィスビル周辺のロビーに設置された「美団」のフードデリバリー専用ロッカー

「餓了嚒」のフードデリバリー専用スマートロッカー

利用方法は、注文した料理を配達員がボックスに届けると、利用者のスマートフォンにQRコードの付いた通知が届く。それを持ってロッカーへ行き、スキャナーにQRコードをかざすと自分の料理が入っているボックスが開く仕組みだ。各ボックスの一部には保温保冷機能が付いており、注文時に配達員が設定を指定できるため、料理は美味しい状態で保たれる。
2020年5月の報道によると、1箇所のロッカーの平均利用回数は1日あたり約200回に上るという。

日本で広がり始める“テイクアウト用”受け取りロッカー

一方、日本ではフードデリバリーロッカーを街で目にすることはまだ少ない。
稀に目にする受け取りロッカーは、飲食店内に設置されたテイクアウト用のものが多いのではないだろうか。例えば、回転寿司スシローの「自動土産ロッカー」や日本KFCの「ピックアップロッカー」などだ。
テイクアウトの需要が増え続けている昨今、飲食事業者側が店内に設置し、非接触での商品受け渡しと店舗の業務効率化を両立させているかたちだ。

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スシローの店舗内に設置された「自動土産ロッカー」(出典:株式会社あきんどスシロー)

KFCの店舗内に設置された「ピックアップロッカー」(出典:株式会社寺岡精工)

日本の一足先をいく中国の“テイクアウト用”ロッカー事情

今となってはフードデリバリーロッカーが広く普及した中国でも、先に台頭したのは店舗併設型のテイクアウト用ロッカーだった。
店舗併設型のテイクアウト用ロッカーは、コロナ流行前の2019年頃から存在しており、当時は行列解消や店舗側の業務効率化を目的としていた。そこに現在は非接触というメリットも加わり必要性がより高まっている。
前述した現在の日本のロッカー事情、店舗併設型のテイクアウト用ロッカーが増え始めているという現状は、2019年頃の中国と同じ状態であるとも考えられる。

2019年にスターバックス中国がオープンしたStarbucks Now。ロッカーを併設したテイクアウト/デリバリー専門店舗

人気ドリンク店「喜茶 HEYTEA」が2019年から展開する、ロッカーを併設したテイクアウト専用店舗「HEYTEA GO」

日本との相性は?

2019年以降、中国で起こった店舗側の業務効率を重視した店舗併設型テイクアウト用ロッカーから配達員とユーザーの利便性を重視したフードデリバリーロッカーへの進化は、日本でも起こるだろうか。
中国在住歴22年の中国ビジネスコンサルタント 亀田純香氏は以下のように語る。

上海におけるフードデリバリーロッカーの設置箇所は、オフィスビルやショッピングモール内外、地下鉄駅構内など様々です。そのため、自宅以外でフードデリバリーを受け取る場合に便利なサービスという印象です。
フードデリバリーロッカーが中国で普及している直接的な要因は、コロナ禍での「非接触」対策の一環です。しかしその背景には、やはり中国ではデリバリーユーザーが圧倒的に多いことと、それに伴い配達効率の向上を迫られていることが大きく影響しているように感じます。

※中国におけるフードデリバリーユーザーは4.69億人に達する(中国インターネット情報センター、2021年6月時点)

また、(都市部を中心に)キャッシュレス化が浸透しているため、どんなときもスマートフォンで簡単に操作でき、間に“人”が携わらなくても十分に機能していく仕組みがあります。例えば中国では、商品を取り間違えた場合、スマートフォンから簡単な操作で直ぐにフィードバックでき、店舗からアプリを通して再配達・返金などの即対応がされ、解決までがストレスフリーです。

“配達員不足”の解消や“非接触”サービスの提供という点から考えると、日本でもフードデリバリーロッカーの活躍は期待できますが、まず、キャッシュレスの普及、返品・返金などトラブルが生じた場合に簡単に操作できる仕組みが構築されていることが必要になるかと思います。
さらに、フードデリバリーサービスを含め飲食業界においても、これらの「DX化」をどのように日々の暮らしに浸透させていくかでこのフードデリバリーロッカーへの関心度も変わってくるのではないでしょうか。

日本もコロナ禍により、社会の仕組みや生活が大きくかつ多様に変化しています。近年、様々な分野において「DX化」という言葉を聞きますが、飲食業界でも人手不足や集客といった課題への対応において「DX」を有効に活用することが必要になっていると思います。

これからはリアルとオンラインを融合した顧客体験を提供することで多様な選択肢をつくり、食生活をサポートしていくことが飲食業界に求められているDXのアプローチとなるのではないでしょうか。

 

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