飲食店向け

2020.08.26

コロナ禍で注目。「クラウドキッチン」は料理人に革新をもたらすビジネスモデル

「クラウドキッチン」という飲食店のビジネスモデルが世界中で注目を集めている。2019年ごろから欧米・中国を中心に徐々に広がり始めていたが、コロナにより日本でも知名度を上げている。特に店舗を開店することが難しくなってしまったシェフや料理人などが、この苦境を乗り越えるために始めているケースも多い。今回はクラウドキッチンの仕組みと可能性について考察していく。

クラウドキッチンとは?

「クラウドキッチン」とは主にデリバリー用の料理を作るために設計された施設であり、店内に食事をする場所がなく、キッチンのみのスペースでできている。また、1つの施設で複数ブランドが共有で調理をしている場合もある。このクラウドキッチン、海外ではゴーストレストランや仮想キッチン、ダークキッチンなどといったネーミングで呼ばれることもある。

クラウドキッチンで作られた食事は、配膳やテイクアウトといった形で消費者へ直接提供されることはなく、オンラインデリバリーサービスである「UberEATS」や「出前館」などを通じて提供される。

クラウドキッチンは、2019年あたりからすでに始まっていた飲食店の新しい形のビジネスモデルであるが、今回のコロナ禍でこれまで通りにレストラン経営をすることが非常に困難になり、収束の見通しも立たないことから増加傾向にあるのだ。

アメリカではコロナ感染の影響で2020年3〜4月中にロックダウンが実施され、多くのレストランが閉鎖に追い込まれた。次にレストランがオープンできるのはいつなのかも分からない中で、賃貸料を払い続けなければならず、さらにはストックしていた食材の行き場を失ったレストラン経営者が機転を利かせ、一夜にして「クラウドキッチン」へと移行をした事例も数多くある。

極端な話ではあるが、クラウドキッチンのような業態であっても、腕の良い料理人と調理用の小さなキッチンスペース、配達人さえいればレストラン並みの食を提供するデリバリー事業が実現してしまうのだ。

クラウドキッチンの事例「クラウドキッチンCocotte」

都内にレンタルスペース事業や民泊事業を展開する「and Near合同会社」は、2020年6月1日にデリバリー・テイクアウト専門店のクラウドキッチンを併設した「西麻布BASE」を東京・港区西麻布にオープンした。

食のプロ達が支える「クラウドキッチンCocotte」と称されたスペースでは、現在「麻布一飯」「まんいんモンレい」「sala spa」「芹澤屋」の4店舗が入っており、同施設を利用する顧客と近隣の顧客へ食事を提供している。他にも「Cocotte」とコラボした複数の店舗が営業をしており、コロナの影響で店舗を構えることが難しくなってしまった料理人や、新しく飲食店をオープンしたい若手が活躍できる場として機能している。

また「Cocotte」では、オーナーが店舗にいなくてもクラウドキッチンでの営業ができるようにと、調理師資格や飲食店経験を10年以上持つスタッフが店舗営業やレシピ開発も行っているという。

クラウドキッチンのメリットと可能性

クラウドキッチンにはどのようなメリットや可能性があるのだろうか。

初期費用を抑えて起業できる

店舗の賃貸にかかる費用や内装といった初期費用が普通のレストランの1/10程度に抑えられる。そのため大きな投資をせずとも、料理人はコンパクトに起業ができる。また、新規で立ち上げたい業態にニーズはあるのか探りたい場合、新しいレストランのコンセプトやメニューを最小限の投資で試すことができる。

人件費・家賃の軽減

ホール、サーバー、レジといったレストラン運営のための人員を採用する必要がなくなるので、人件費や採用費が不要となる。また、共有のキッチンスペースでも営業ができるため、家賃の負担が激減する。配達員がピックアップできる場所であれば、繁華街の一等地である必要もなく、家賃を抑えることが可能だ。つまり、飲食店を経営するうえで指標となるFLRコスト(食材原価・人件費・家賃)のうち、人件費・家賃の比率を軽減することができ、より食材にコストをかけられるようになる。

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デリバリーアプリによるマーケティングができる

デリバリーアプリに蓄積された過去の注文履歴や顧客情報のデータから、地域ごとのニーズや価格帯などを分析できる。

新たな販売チャネルとしての可能性

現状レストラン営業をしている店でも、クラウドキッチンを利用することで販売チャネルを増やせる。

このようにクラウドキッチンは、飲食店を営業する上で多くのメリットと可能性を秘めている。もちろん集客をデリバリーアプリのみに依存することで、プロバイダーとの手数料などの価格交渉力を失ってしまうといった課題はあるかもしれないが、SNSの活用や、他店舗または企業とのコラボでPR戦略を図ることも可能であり、リスクを抑えて飲食業を営みたい料理人にとっては最適なビジネスモデルともいえる。

最後に

今後、デリバリー市場は拡大していく。それに伴いクラウドキッチンも必然的に増殖していくだろう。またコロナ禍でなくても、より手軽に、シェフがつくった美味しい料理を自宅で楽しみたいという消費者は多く、中食化が進む中で多様化する顧客ニーズにも応えることができる。クラウドキッチンは、料理人に雇用と革新をもたらす新しい選択肢となるのではないだろうか。

 

文=佐々木久枝
編集=Showcase Gig

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