2022.03.14

新型コロナ対策

小売店向け

コンビニ業界が目指す“変化への適応”。各社の取り組みから見えてきたもの

新型コロナウイルス感染拡大の余波に苦しむコンビニ業界で、状況を打破するための新たな取り組みがスタートしている。 各社がそれぞれに捉える“ニューノーマルへの適応”。具体的な取り組みからは、その共通点が見えてきた。

コロナ不況はコンビニ業界にも。求められる“変化への適応”

2020年1月、国内で最初の感染者が確認されたことで始まった日本のコロナ禍は、2年以上が経過した現在もなお終息の気配を見せず、社会にさまざまな影響を与え続けている。可能な限り人との接触を避け、出かけるときにはほぼ必ずマスクを着用、外出先ではことあるごとに手指を消毒するなど、私たちの日々の生活はすっかりコロナ仕様となってしまった。何度かの大きな感染拡大を乗り越えた経験、ワクチン接種の浸透などを通じて、少しずつ共生に向けての準備が整いつつあるが、おそらく今後も以前のような暮らしは戻ってこないだろう。コロナ禍で当たり前となった生活様式を「新しい常態」――ニューノーマルと表現する向きもある。

こうした状況への順応を余儀なくされているのは、私たち消費者だけではない。toCでビジネスを展開してきた各産業もまた、変化への適応を求められている。たとえば外食産業では2020年春、外出控えや、飲食時に高まるとされる感染率への懸念から利用が落ち込んだ。少なくない飲食店が減った売上を補填するため、テイクアウトやデリバリーなどの中食に対応し、谷間の時期を乗り越えてきた経緯がある。

生活に最も近い小売のひとつ、コンビニ業界も変化への適応を模索する産業だ。日本フランチャイズチェーン協会の調査によると、同業界大手7社の2020年の全店売上高は、前年比4.5%減の10兆6,608億円だった。年間の統計で前年実績を下回るのは、現在の方法で統計を取り始めた2005年以来、初めてだったという。テレワークの一般化、外出の自粛などにより、主にオフィス街や観光地での客数減少が響いた。一方、客単価は全店・既存店ともに、前年比6.4%増と伸長。冷凍食品や酒類を、スーパーの代わりにコンビニでまとめ買いする客が増えたことがその要因となった。コンビニ各社は、2020年の実績から見えてきた傾向をニューノーマルの突破口とにらみ、それぞれに新たな取り組みをスタートさせている。

それぞれのアプローチで変化への適応を目指す大手3チェーン。キーワードは“テクノロジーとの共存”に

最短30分から取り扱い商品を配達。セブンイレブンがスタートさせた「7NOW」

セブンイレブンは、ラストワンマイルへの取り組みに力を入れる。同チェーンが展開する「7NOW」は、取り扱い商品(雑誌・非課税商品を除く)を近隣の店舗から最短30分で自宅などに配達するサービスだ。

利用者は自身のスマートフォンから専用サイトにアクセスし、必要な商品を選ぶ。合計1,000円以上(※)から注文が可能で、一度につき、別途110~550円(税込)の配送料がかかる仕組みだ。エリア・店舗ごとに利用できる時間は異なるが、基本10時〜23時と幅広い時間に対応する。支払い方法は、現金とクレジットカードの2種類から選択できる。
※一部地域は600円以上

セブンイレブンは2017年より、北海道の一部地域や広島県で同サービスのテスト運用を続けてきたが、感染拡大後の2020年7月から都内にも進出。現在は上記エリアの約1,200店舗で利用が可能となっている。去る2月25日には、旧サービス名の「セブン‐イレブンネットコンビニ」から「7NOW」へと改称。今後は2025年度までに全国展開を目指すという。

こうしたラストワンマイルへの取り組みは、“コンビニの中食化”とも言い換えられる。外出や人との接触が忌避されるコロナ禍にあって、同サービスの展開はまさに、ニューノーマルに適応するためのものと言えるだろう。

出典:セブン-イレブン公式ウェブサイト

ローソンは店舗を“ゴーストレストラン化”。こだわり弁当のデリバリーを開始

ローソンも、ラストワンマイルへの取り組みで同じくデリバリーに対応しているが、さらに力を入れるのは、店舗で作った出来たて弁当のデリバリーだ。

同チェーンの全国約1万4,700店のうち、半分を超える8,000店の弁当コーナーには平時から、「まちかど厨房」と呼ばれる店舗内のキッチンで作られたこだわりのラインアップが並ぶ。店内キッチンだからこそできる、ひと手間かけたおいしさが好評だ。しかし、弁当作りのピークは昼食前・夕食前の2つの時間帯のみであるため、設備を最大限生かしきれていない実態があった。そこでローソンは、まちかど厨房のアイドルタイムを利用したオリジナル弁当のデリバリーをスタート。店舗を“ゴーストレストラン化”し、サードパーティの宅配システムを活用した中食事業へと参入した。

ローソンは同サービスの導入店舗について、2025年度までに1,000店まで拡大することを目標に掲げている。今後はメニューの拡充にも注力する方針だ。

デリバリー専用メニュー例(チキンオーバーライス)とUber Eats注文画面(出典:ローソン公式ウェブサイト)

ファミマはロボット活用で業務を効率化。人との対面、接触は最小限に。

一方、ファミリーマートは上記2社と異なった角度からニューノーマルへの適応を目指す。2021年11月、神奈川県相模原市にオープンした「ファミリーマート ALFALINK相模原店」は、AIロボットの活用によって商品陳列を自動化した、新しい形のコンビニエンスストアだ。

導入された半自律型のAIロボット「TX SCARA」は人に代わり、1日24時間、1,000本以上の飲料陳列業務をおこなう。コンビニにとって飲料は最も回転すると言われる主力商品だが、補充には長い時間がかかる上、冷蔵庫内は人間が作業するのに負担の大きい環境だ。ファミリーマートは効率的な運営のボトルネックとなっていた飲料の補充作業をロボットに任せることで、業務の省力化を狙った。

ファミリーマートにおけるTX SCARAの導入は、「ファミリーマート 経済産業省店」に次いで、国内で2例目。同チェーンはすでに国内の4店舗で、レジ接客業務にも無人決済システムを導入している。今後はそれぞれの作業精度の向上を目指しつつ、導入店舗を増やしていく方針だ。

飲料の陳列業務を従業員に代わり担うロボット「TX SCARA」(出典:ITmediaビジネス)

“ニューノーマル”が叫ばれる時代も、変わらずサービスの根底にあるのは「顧客体験の良化」である

こうした動きの根底にあるのは、toCの小売業にとってコロナの流行以前とまったく変わらない、「顧客のニーズに応える」という考え方である。

「外出を控えたいが、買い物や外食はしたい」
「店舗を利用するけれども、できる限り人との接触は避けたい」

このようなコロナ禍で生まれた新たな需要に、どのように応えていくのか。これは今あらゆる業界に与えられている重要課題だ。裏を返せば、コロナの流行如何にかかわらず、すべての産業が継続して取り組むべきテーマでもある。コンビニ各社によって異なるアプローチも、最終的には「顧客体験の良化」という1点へと集約していくはずだ。

海外では日本に先んじて、自動運転による商品配達や、モバイルオーダー専用の朝食デリバリー、呼び出しから10分以内に到着する無人運営のショッピングカーなど、さまざまなサービスが実用化されている。将来的には、日本にも同様のサービスが登場するだろう。

これらすべてに共通するのは、人にできることは人が、テクノロジーに任せるべきことはテクノロジーが担当している点だ。ニューノーマルへの適応が生き残りの必須条件とされる今、人的労働力に対する固執は、問題を長期化させる可能性がある。コンビニ業界の新たな取り組みには、人とテクノロジーの共存の形が映し出されているような気がした。

文=結木千尋
編集=Showcase Gig

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