2020.08.14

飲食店向け

「外食」から脱却する飲食店。“FLRコスト最適化”は浮上の突破口となるか 

春以降、不況が続く飲食業界。先の見通しが立たないなかで窮地を脱するために、個々の店舗はどのような対応をすべきなのだろうか。 取り巻く環境から飲食店生き残りの道を考える。

飲食業界、にじむ「内」「中」「外」の境界線

コンビニのイートインスペースで朝食を摂る。あなたはこの行動を「内食」「中食」「外食」のどれに分類するだろうか。

中食とは本来、出来合いの商品を購入し、自宅に持ち帰って食べる食事形態を指す。一般に言う“テイクアウト”の領域に対して使われる言葉だ。コンビニにあるおにぎりやパン、お惣菜などは一見、中食に分類される商品のようだが、自宅ではない場所で食べる場合、厳密には中食と呼べない。かと言って「イートインスペースでの朝食」が内食や外食であるかと言えば、疑問が残るだろう。

このように今日の日本では、3つの食事形態の境界線が曖昧となりつつある。提示したコンビニの例以外にも、さまざまなケースが市場全体に点在する状況だ。たとえば、材料の状態で送られてくるお取り寄せグルメや、屋外でも受け取れるデリバリー、飲食店が店頭で販売するレトルト商品などは、一概に個別の形態へと分類できない。従来の枠組みにとらわれない、新しいサービスの登場により、日に日に3形態の輪郭がにじむ概況となっている。

コロナ流行により、曖昧化はさらに加速。

さらにここへ来て曖昧化を加速させるのが、新型コロナウイルスによる感染症の流行だ。

人との接触を忌避させるパンデミックの存在は、飲食店から客足を遠のかせ、外食市場を不況へと陥れた。前年比3割減程度なら当たり前。影響の大きい業態では9割減というケースも珍しくない。このままでは生き残れないと判断した飲食店は、テイクアウトやデリバリー、家庭用冷凍・レトルト食品の販売へと注力し、販路拡大を図る。こうした状況に映し出されるのは、外食の中食・内食化だ。

コロナとの共生が求められる社会においては、感染拡大が一時的に収束したとしても、流行前のような店舗運営が難しい。個々の飲食店は衛生管理にコストをかけながら、客席減・時間短縮といった“withコロナ”モデルの営業と向き合っていくことになるだろう。そうしたなかで以前と同等の利益を確保するには、既存の枠組みにとらわれない柔軟な経営が必須となる。コロナ流行下における外食の中食・内食化は必然の流れだったに違いない。

食の市場を巡っては、「1つのマーケットが縮小しても残り2つの規模が大きくなるだけ」という見方もある。人は食事をしなければ生きられないためだ。つまり現在の外食不況は、3つの市場の境界線が移動しただけとも言い換えられる。飲食店復調のきっかけが中食・内食化に眠っていることになる。

変わる飲食店のビジネスモデル。窮地の飲食店がいま見直すべきコスト

一方で、飲食店はコロナショックを耐え忍ぶにあたり、支出も見直していかなければならない。限られた売上をベースに利益率向上・損益改善を目指すには、コストの削減が必須となるからだ。特に中食・内食サービスへと注力する場合、これまでとは支出の内訳が変わってくる。状況に合わせ、収支バランスの最適化を考える必要がある。

飲食店経営では「FLRコスト」に照らし合わせてその比率を見る手法が多く採用されており、売上に対してFLコストが50〜60%程度、Rコストが10%程度の比率だと良いとされている。

Fコスト(Food…材料費)
Lコスト(Labor…人件費)
Rコスト(Rent…家賃)

FLRコストについて詳しくはこちら

飲食店の原価率と人件費率はどれくらいが妥当?コストを下げて利益率を上げる方法とは

このうち、変動的で見直しやすいと考えられてきたのが、FとLの2つのコストだ。そのため、外食業界では2つの合計に指標を置き、健全な経営の目安としてきた。しかし近年では、固定費であるRコストも見直しの対象となりつつある。

とはいえ、3つの支出を限界まで削減すれば経営が健全化するという話ではない。コストカットと売上アップは車の両輪である。利益の最大化には双方を両立する運営が不可欠であり、そのためには自店舗のこだわりや長所を踏まえ、適切なコストカットをおこなっていかなければならない。それぞれのコストに対して個々の飲食店がとれる行動には、どのようなものがあるのだろうか。

飲食店の見直すべき支出【1】Fコスト

飲食店にとってサービスの中心にあるのが、Fコストの存在だ。だからこそコストカットによって露骨に食材の質が低下すれば、店舗の寿命が縮まる可能性もある。最もメスを入れやすい分野だが、適切な対処のためには慎重な判断が求められるだろう。

Fコストの削減にあたっては食材の質を落とすのではなく、ロスに目を向けることが肝要だ。たとえば、メニュー数の選別や食材の共用により在庫数・ロス数を減らせれば、売上に占めるFコストの割合は自ずと下がっていく。自店舗の価値を守れる内容から、ひとつずつ取り組んでいきたい。

飲食店の見直すべき支出【2】Lコスト

LコストはFコストと並び、手を施しやすいと考えられているコストである。飲食業界ではこれら2つに「FLコスト」と呼ばれる指標を置き、5割を基準に経営を見直してきたが、店舗デジタル化が進む昨今、この基準は過去のものとなりつつある。

Lコストの削減については、人手が必要な業務の精査からはじめるとよい。たとえば、注文をうかがうために配置されるホールスタッフの場合、モバイルオーダー・テーブルオーダーの導入で人数をカットできる。コロナ流行下では接触機会も限定できるため、衛生管理にも効果を示すだろう。

こうしたITツールを巡っては、導入を支援する補助金制度もある。今後を見据え、デジタルオーダーにシフトすることで、マンパワーに依存しない店舗運営が可能となるはずだ。

飲食店の見直すべき支出【3】Rコスト

以前は固定費とみなされてきたRコストだが、飲食サービスの多様化により、最近では削減できるコストとして扱われるケースが増えている。

テイクアウト・デリバリーに主軸を置く飲食店では、店舗の立地が売上獲得の障害とならない場合も多くある。繁華街に店を構えずともビジネスが成立するのであれば、そちらを選ばない手はないだろう。最近では、シェアキッチンやクラウドキッチンといった選択肢も存在する。現在支払っているRコストが適正なのか、新しいサービスの活用も視野に入れつつ、最適化の道を検討したい。

先を見据えた柔軟な対応が復活へのターニングポイントに

「内」「中」「外」の境界が曖昧化するいま、飲食店が存続する道は外食のみに限定されていない。時流に柔軟に対応した店舗こそが、withコロナ時代を生き抜く飲食店となっていくだろう。そのためには中食・内食化と並行して、主要コストの見直しも必須となってくる。その場しのぎではなく、先を見据えた判断で窮地を乗り越えていきたい。

文=結木千尋
編集=Showcase Gig

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