
収束迫るコロナ禍。日本の飲食店が取り組むべきデジタル活用、次なる一手は
2022.05.30
新型コロナ対策
飲食店向け
2020.05.19
飲食店向け
「コロナショックに苦しむ飲食業界のため、私たちにできることは何なのか」 その提起に応えるべく、消費者による飲食店支援が加速している。しかしながら、こうしたサポートは個々の店舗に分け隔てなく届けられるわけではない。消費者がそれぞれの立場で支援する飲食店を選ぶためだ。業界全体が苦しいなかで、“選ばれる店舗”となるためには何が必要なのか。消費者主導の飲食店支援から、これからの時代、外食に求められるものが見えてきた。
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、外食の苦戦が続いている。特に中小企業・個人店への打撃は深刻で、すでに一部が閉店・倒産、なんとか存続する店舗も「なけなしの売上を得るため店を開けている」ケースが少なくない。経営者からは「このままでは事業継続が困難」との声も上がる。未曾有の危機をどのように乗り切るか、頭を抱えている状況だ。
そんな飲食業界を救うべく、各所から支援の手が広がりを見せている。DIG-INでは以前、自治体の例について取り上げたが、その一方で登場しているのが消費者の側から飲食店を支援する取り組みだ。
グルメアプリを運営する株式会社キッチハイクは3月1日、新型コロナウイルスの影響に苦しむ飲食店を支援する取り組みとして、「#勝手に応援プロジェクト」をスタートさせた。同プロジェクトは、飲食店の情報を掲載したウェブサイトを介し、ユーザーに前払いの飲食チケットを販売するもの。売上は同社を通じ、資金繰りにあえぐそれぞれの店舗へと分配される。掲載店をユーザーの推薦をベースに選出するため、消費者が主導で贔屓の店舗を支援できる新しい取り組みとなっている。
また3月12日には、任意団体ヤミービーツコロナによる「おいしいは、コロナに負けない。」プロジェクトがスタートした。同プロジェクトではクラウドファンディングを通じ、消費者が売上不振に悩む飲食店をサポートできる。コロナ収束後を目処に額に応じたリターンチケットが配布され、支援者はそれを利用して店舗で飲食が楽しめるという仕組みだ。キッチハイクのケースと同様、思い入れる飲食店に対し、前払いで当面の資金を届けられる。感染拡大による外食の敬遠が続くなか、こうした支援システムが徐々に浸透しつつある現況となっている。
紹介した支援の例はどちらも、飲食代の先払いによって成り立つ構造を持つ。困窮する飲食店にとっては事業の継続に必要な当座の売上が確保できるシステムだが、消費者からすると今後利用する可能性の低い店舗には投資しづらい面があるだろう。おのずと常連客を多く抱える飲食店ほど資金が集まりやすくなり、窮地をしのぐためのハードルが下がる。ここから見えてくるのは“ファン”となる顧客の重要性だ。
熱い支持を得る飲食店においては、上記のようなプラットフォームがなくとも、SNSなどを通じて顧客が自発的に店舗の情報発信を支援してきた。新たにテイクアウトやデリバリーへと対応するケースでは、つながりの深い顧客の拡散によりスムーズに周知できた例も散見されている。コロナ流行以前からこうした存在は重要視されてきたが、ここにきてさらに価値を高めている現状がある。新型コロナウイルスとの共生を迫られる飲食店にとって、“ファン”の存在は必要不可欠になっていくに違いない。
とはいえ、そういった顧客は一朝一夕に獲得できない。この時代を生き抜こうとする飲食店の目下の課題は、“どのようにして顧客をファン化していくか”となるだろう。“ついで”ではなく“目的”として来店される店舗となるためには、いったいどのような点に配慮すべきなのだろうか。
まず必須となるのがクオリティの高いサービスだ。「看板となるメニュー」「バリュアブルな商品ラインナップ」「一人ひとりにパーソナライズされた丁寧な接客」などの要素は飲食業の根幹となる部分であり、それぞれで顧客に特別感を与えられる。オンリーワンの店舗となるには相応のサービスが不可欠で、この点なしにファンの獲得は叶わないだろう。これは必ずしも全てにおいてトップでなければならないというわけではない。総合的に価値が認められる店舗であれば、少なからずファンとなる顧客がついてくるはずだ。
そのうえで絶対数を増やすためのターゲットの選定も大切になってくる。顧客のペルソナが不明確な状態ではコンセプトが曖昧となり、自店に必要なサービスを検討できないからだ。店舗デザインやメニューの選定、価格設定、おこなう接客サービスの取捨などが一貫していなければ、ロイヤリティを得られる店舗とはなりづらい。コンセプトのある店舗であって初めて深くアプローチできる。
こうした取り組みで成果を上げる飲食店がスターバックスコーヒーだ。同チェーンはコーヒーとフラペチーノシリーズを看板メニューに掲げる人気のコーヒーストアで、国内に1,500店以上を展開する。特にこれといった商品がなくても店頭に行けば食指の動くラインナップがあり、受け渡しの際にはスタッフからカップにメッセージが添えられる。ファン獲得のために必要なクオリティの高いサービスを地で実現する稀有の飲食チェーンだ。
アメリカに本社を置くスターバックスは日本への進出当初から、家でも職場でもない「サードプレイス」をコンセプトに出店を進めてきた。同チェーンの店舗デザインや接客サービスはそのコンセプトに基づいている。
一連の取り組みが奏功し、スターバックスコーヒーは一大チェーンへと成長を遂げた。“ついで”としての利用はもちろん、「スタバに行きたい」のような“目的”としての利用の多さも同チェーンの特徴だ。さまざまな方法でアプローチした結果、スターバックスコーヒーは多くの顧客のファン化に成功した。
日本は災害大国だと言われている。歴史を振り返っても、地震や津波、台風、ゲリラ豪雨、火山の噴火など、数多の自然災害に悩まされ続けてきた。そのような環境のうえに成り立つ飲食店だからこそ、日頃から有事を想定した運営が必要となる。ファンとなる顧客の獲得はそのキーパーツであるはずだ。
最近ではデジタルツールを活用し、徹底した顧客マネージメントをおこなう飲食店が現れ始めている。本記事で紹介したスターバックスも、モバイルオーダーによる利用客のパーソナライズに力を入れる企業だ。
アフターコロナへと向かう時代、個々の店舗はどのように顧客と接点を持ち、どう寄り添っていくのか。店舗デジタル化が担う役割は想定以上に大きいのかもしれない。
文=結木千尋
編集=Showcase Gig
コロナ関連の記事まとめはこちら
飲食店の感染対策についてはこちら
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