
収束迫るコロナ禍。日本の飲食店が取り組むべきデジタル活用、次なる一手は
2022.05.30
新型コロナ対策
飲食店向け
2020.07.03
新型コロナ対策
飲食店向け
感染への懸念から実店舗が敬遠される昨今、あなたはどのような基準で利用する店を選んでいるだろうか。おそらく多くの方が重視するであろう“ある基準”から、コロナ禍を生きる飲食店のあり方を考えていく。
店頭に消毒用アルコール、レジにはビニールカーテン。新型コロナウイルスの感染拡大が問題となって以降、こうした対策をとる小売店の存在は、街中にありふれたものとなってきた。一部にはマスクの着用を必須としたり、入店客数に制限を設けたりする店舗も現れている。入念な感染対策が店舗運営の前提となりつつある状況だ。
このような対策の多くは、「ウイルスを店内に持ち込ませないため」「感染拡大を助長しないため」に実施されるが、一方で別の目的も存在する。抑止に力を入れる姿勢を打ち出し、顧客に安心感を与えるというものだ。
ご存知のように新型コロナウイルスによる感染症は、保菌者との接触によって広がる性質を持つ。不特定多数の人と接触した分だけ感染のリスクが高まることは周知の事実だ。そのため、できるかぎり店舗の利用を避けたい、または安全に利用したいと考える消費者は少なくない。彼らにとって「対策を行わない店舗」とは「感染しても不思議のない店舗」であり、優先度が低下しやすい実態がある。
そのような状況を避けるため、小売店は積極的に対策を実施し、顧客に“安心”を示す。コロナとの共存が求められるいま、“安心”は店舗選びの重要な基準となっている。
飲食業界も“安心”に力を入れる小売のひとつだ。同分野は体験をともなう性質上、オンラインでのサービス提供が難しく、他の実店舗以上にコロナの影響に苦しめられてきた。流行以前の客足を取り戻すには顧客に安心感を与えられるアプローチが必須で、最善策を業界全体で模索している最中である。
現状では、店頭における消毒用アルコールの設置やポスター類の掲示(店外からも視認できるため、利用客以外にも“安心“を訴求しやすい)、ホームページやSNSといったオンライン経由での情報発信などが効果を上げる。リアルタイムな感染状況からの影響は免れないが、今後も同様のアプローチを続けていくことで少しずつ安心感が広がり、客足も以前の状態へと近づいていくはずだ。
有効な手段のひとつに挙げられるポスター類には、ネット上でデザイン・レイアウトを無料ダウンロードできるものもある。掲示を検討している飲食店関係者の方にはぜひ利用をおすすめしたい。
大手チェーンでは利用プロセスに着目したアプローチも広がっている。
国内に約3,000店舗を展開するハンバーガーチェーン・日本マクドナルド(以下、マクドナルド)は、スタッフ-顧客間、あるいは顧客同士の接触を軽減するとして、「マクドナルドモバイルオーダー」「マックデリバリー」「ドライブスルー」の3つを対策の柱に掲げた。活用すれば利用客は、人と接触せずに商品を注文・購入できる。可能なかぎり安全な形で店舗を利用したいと考える消費者のニーズに応えた、同チェーンならではの取り組みとなっている。
こうした対策が功を奏し、マクドナルドは4,5月と前年比プラスの業績を上げた。好調の背景に利用客の“安心”があったことはまず間違いないだろう。
同様のアプローチを見せる飲食チェーンは他にもある。アメリカ・シアトル発のコーヒースタンド・スターバックスコーヒーだ。
同チェーンもまた、自社開発のシステム「モバイルオーダー&ペイ」や、配達代行を活用した「デリバリーサービス」に注力する。公式サイト内では、「Anytime,Anywhere 新しいライフスタイルに合わせて、色々なスタイルを」というメッセージとともに、これらの取り組みが大きく打ち出され、さまざまな衛生対策と並んで安全への指針とされている。国内の店舗を運営するスターバックスコーヒージャパン社がアメリカ本社の子会社であるため、個別の業績は明らかとなっていないが、ピークを乗り越えた感のある現在、日本のスターバックスコーヒーには少しずつ客足が戻りつつある現状だ。
紹介した2社が安全対策の骨子とするモバイルオーダーは、非接触決済の機能も兼ね備えている。人から人へと渡る現金がウイルスを媒介する可能性を持つことから、現金決済を忌避する消費者の声は小さくない。顧客の安心を考える上では、キャッシュレス決済への対応も重要なポイントとなりそうだ。
これからの飲食店には、味や接客サービスの質と同様に“安心”も問われていくだろう。感染対策において信頼されない店舗は利用される機会を失い、やがて淘汰されることになる。そのような時代で生き残るためには、見込みまで含めたすべての顧客に“安心”を感じてもらえる店舗運営が必須となるはずだ。
マクドナルドとスターバックスコーヒーの取り組みから感じ取れるもの。それは、顧客目線の対策こそが“安心“につながっていくというメッセージなのではないだろうか。
最低限の感染対策とそれにともなうアプローチで十分とするのか。それとも、デジタルまで視野を広げ、ニーズに先回りした取り組みをおこなっていくのか。生き残りを賭ける飲食店にとってベターな選択とは。両社の取り組みにデジタル化の意義を垣間見たような気がした。
文=結木千尋
編集=Showcase Gig
「DIG-IN」を運営する、私たち株式会社ShowcaseGigは、国内のモバイルオーダー&ペイサービスの第一人者として、店内向けモバイル・テーブルオーダー®サービス「O:der Table(オーダーテーブル)」と、テイクアウト事前注文サービス「O:der ToGo(オーダートゥーゴー)」をご提供しています。
詳しい機能や価格など、まずはお気軽にご相談ください。
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