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新型コロナ対策
飲食店向け
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新型コロナ対策
小売店向け
新型コロナウイルスの感染拡大がキャッシュレス決済の浸透を加速させている。 “キャッシュレス元年”と言われた2019年から2年。スマートフォンアプリを活用したモバイル決済がようやく日本でも定着を見せるのか。コロナ禍で動き出したキャッシュレス決済の最新動向を探る。
コロナ流行を機に、市場の再構築が進む日本。飲食の分野ではオンラインオーダーを前提にしたテイクアウト・デリバリーが、小売の分野ではECが台頭を見せている。両者に共通するのは、“現金以外”を主な決済手段とする点だ。コロナ流行下では決済においても、より安心・安全と考えられる非対面・非接触の方法が選ばれる傾向にある。消費者の意識・行動の変化はさまざまな調査からも明らかとなってきている。
株式会社電通は2021年1月、「コロナ禍での生活者のキャッシュレス意識に関する調査」の結果を発表した。同調査では、全体の47.7%が「(1度目の)緊急事態宣言以降、支払いや買い物に占めるキャッシュレス決済の比率は増えた」と回答したという。
(出典:株式会社電通「コロナ禍での生活者のキャッシュレス意識に関する調査」)
内訳を見ていくと、「それまでほとんどキャッシュレス決済を使っていたが、さらにキャッシュレス比率が増えた」(17.2%)と回答した人が最も多く、次いで「それまでキャッシュレス決済がやや多い程度だったが、キャッシュレス比率が増えた」(11.7%)、「それまで現金がキャッシュレス決済より多かったが、キャッシュレス比率が増えた」(12.9%)、「それまで現金しか使わなかったが、キャッシュレス決済の比率が増えた」(6.0%)と続いた。
特筆すべきは、コロナの流行以前には現金決済を主に利用していた層の行動の変化で、約2割の回答者が感染が拡大する状況に対応するため、決済手段を移行していた。それまでは何らかの理由があり、現金決済を選択していたと考えられる。キャッシュレス決済浸透の背景に、新型コロナウイルスの流行があったことを裏付けるデータとなっている。
(出典:iStock)
また、世界6か国でモバイル決済サービスを提供するアメリカの企業・Squareは、日本の事業所であるSquare Japanを通じ、コロナ流行前後の決済手段の変化を示すデータを公開している。同データによると、非接触決済の利用があった加盟店の割合は、2020年2月からの1年間で26%から55%まで増加したという。
こうした動向は、同社が事業所を展開するアメリカやイギリス、カナダ、オーストラリアでも見えてきており、特にイギリスでは、現金決済の比率が流行前の半分以下の水準となった。キャッシュレス決済の市場浸透度で遅れをとる日本では、同国ほど顕著な動きとならないだろうが、移行への転換点にはなり得る。いまだ収束を見ないコロナ禍だけに、今後さらにキャッシュレス化が加速していきそうだ。
こうした現状を受け、小売の分野からは新たな動きも見え始めている。
(出典:無印良品公式HP)
生活雑貨や日用品などの販売をおこなう無印良品は2020年11月、自社開発のオンライン決済サービス「MUJI passport Pay」の提供を開始した。同サービスは、既存のアプリである「MUJI passport」にクレジットカードの情報を登録することで、アプリ1つで決済までを完結できるもの。支払いにあたり、MUJI passportの提示と決済を別でおこなわなければならなかった従来の不便さを解消する機能だ。
無印良品を展開する株式会社良品計画(以下、良品計画)は、MUJI passport Payの導入により、スタッフとの接触機会・レジ応対にかかる時間の削減を見込む。利便性の向上・運営の効率化とあわせ、感染拡大にも配慮した“withコロナ”時代ならではの取り組みとなっている。開始当初は、国内162店舗での提供にとどまったが、2021年3月末には260店舗まで拡大。今後は機能の改善・コンテンツの充実などを図りながら、全店舗で利用できる環境を目指す方針だ。
(出典:UNIQLO公式HP)
良品計画の取り組みに株式会社ファーストリテイリング(以下、ファーストリテイリング)も追随する。同社の展開する衣料品量販店・ユニクロは2021年1月、独自のキャッシュレス決済サービス「UNIQLO Pay」の提供を開始した。同サービスは、既存のユニクロアプリに銀行口座もしくはクレジットカードを登録することで、アプリの会員証QRコードのみで決済が可能となるもの。登録料は無料で、主要なカードブランド(VISAやmastercard、JCB、AMERICAN EXPRESS)と、5行の銀行(三井住友銀行、三菱UFJ銀行、りそな銀行、埼玉りそな銀行、関西みらい銀行)に対応した。ファーストリテイリングは今後、登録対象となる決済手段の拡充と、オンラインストアも巻き込んだ展開を目指す計画だ。
(出典:iStock)
店舗デジタル化の先進国であるアメリカでは2015年、スーパーマーケットチェーンのWalmartが、独自のモバイル決済サービス「Walmart Pay」を自社アプリに導入している。同サービスは無印良品やユニクロの例と同様、アプリにクレジットカードあるいはデビッドカードを登録することで使用できるもので、2017年末に実施された調査では、Apple PayやAndroid Payを抑え、「アメリカで最も利用されている決済アプリ」に選ばれた。
同チェーンにおいては、Walmart Payの浸透がカーブサイドピックアップサービスをはじめとした“オフプレミス”の取り組みにつながっているという。ECの拡充を含めた一連の先行投資が功を奏し、Walmartは2021年1月期通期で前年比6.8%増の5,552億ドルの売上高を計上した。これは、創業から約60年の同社の歴史のなかで過去最高額となる数字だ。
アメリカのモデルケースと比較して、5年遅れとなる良品計画・ファーストリテイリングの取り組みだが、背景には、国内市場におけるデジタルサービスの浸透度の影響があると考えられる。今後は日本でも同様の動きが見えてくるはずだ。
店舗デジタル化への対応が明暗をわけたコロナ禍の飲食と小売。決済は両分野に共通するシーンである。いかに売上を確保し、この窮地を乗り切るのか。キャッシュレス決済への対応は、ひとつのカギとなるのかもしれない。
文=結木千尋
編集=Showcase Gig
「DIG-IN」を運営する、私たち株式会社ShowcaseGigは、国内のモバイルオーダー&ペイサービスの第一人者として、店内向けモバイル・テーブルオーダー®サービス「O:der Table(オーダーテーブル)」と、テイクアウト事前注文サービス「O:der ToGo(オーダートゥーゴー)」をご提供しています。
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