飲食店向け

2020.03.19

コロナ流行が直撃する飲食業界。“非接触型オーダー”は浮上の突破口となるか

新型コロナウイルスの流行により、日本の飲食店が苦境にあえいでいる。既存の予約にはキャンセルが相次ぎ、新たな予約は一向に入らない。前年同期とくらべ、売上が半分以下となる店舗も出てきているという。飲食業界がこの不況を耐え忍ぶために中国で注目されているのが、”非接触”で注文・決済できる「モバイルオーダー」である。流行の震源地・中国からこの苦境を乗り越えるの答えが見えてきた。

新型コロナウイルス流行の現状

まずは感染が拡大する新型コロナウイルスの現状について振り返っておきたい。

2019年末、中国・武漢で最初の発症者が確認された同ウイルスによる感染症は、約3か月で世界中へと飛び火した。3月1週目時点における全世界の死者数はおよそ3,500人。感染者数も10万人を超える事態となっている。去る3月11日には世界保健機関(WHO)が「パンデミックである」と表明。中国、イラン、韓国、日本など、これまでアジア諸国を中心に拡大していた感染は、ここにきて世界規模となってきた。

そうした中、当初から懸念されていたのが経済への影響である。世界的な流行が見えてきた3月9日には、ニューヨーク株式市場のダウ平均株価が2,000ドル以上を下げ、“コロナショック”の到来が囁かれはじめた。国内では観光や小売を中心に流行の余波が広がっており、スポーツイベントや音楽ライブといった屋内レジャーで無観客開催・開催自粛の流れが続く。2月中旬からは同ウイルスの影響で倒産に追い込まれる企業も現れた。長引けば大幅な景気悪化も避けられない状況だ。

アメリカは欧州26か国からの渡航を禁止する方針を発表し、イタリアは食料品店と薬局以外のすべての店舗を閉鎖した。消費の冷え込みや各国の経済的孤立が輸出入に影響を与えるのは明白で、一刻も早い収束が望まれている。

苦境にあえぐ飲食業界。高まる“非接触型オーダー”への期待

今回の新型コロナウイルスによる感染症は、感染者との濃厚接触によって拡散されるとみられている。主な感染経路は飛沫感染と接触感染の2つ。そのため、不特定の人とこうした接点を持たなくてはならない環境が社会全体で敬遠されている。飲食店もそのうちのひとつだ。

国内で同ウイルスが流行しはじめて以降、飲食業界は遠のく客足に悲鳴をあげる。特に団体客の多い居酒屋業態が苦戦を強いられており、売上が半分以下まで落ち込んでいる店舗も少なくない。

都市部では日本の状況を憂慮した外国人スタッフが帰国してしまい、人手不足に悩まされているケースもあるという。当然、飲食店が敬遠される現状では思うように人材確保も進まない。やむなくメニューの削減や営業時間短縮といった手を打ち、営業を維持する店舗も現れている。

一方で、状況を打開する手段として注目されるツールもある。デジタルオーダーの存在だ。

デジタルオーダーとは、スマートフォンやキオスク端末といったデジタル機器を介しておこなう注文のこと。同システムを活用した店舗ではスタッフとのやりとりなしで注文をおこなえるため、飛沫感染の可能性が低下するとみられている。とりわけ個人のスマートフォンを利用したテーブルオーダー・モバイルオーダーでは、不特定多数の人が接触するであろう、店舗備え付けの紙のメニューやオーダー端末に触れる必要がない。主な感染経路とされる2つに対し効果が見込めるとして、“非接触型オーダー”への期待は日増しに高まっている。

紙のメニューが消える中国のレストラン。OMO視点で”注文”を再考する

コロナ流行の震源地となった中国では

新型コロナウイルス流行の震源地となった中国では、より具体的な指針のもと“非接触型オーダー”が推奨されている。中国・北京市の市場監督管理局が外食産業へ向けて発表したガイドラインには、以下の4点が示された。


①店舗…従業員の北京市への入出状況を把握し、14日以内に湖北地域(武漢市を含むエリア)への滞在があった場合には、14日間の外出制限や1日2度の検温など、健康状況を管理すること

②食品加工…原産地や加工記録など、食品に関連する情報を証明できるシステムを実装し、要件を満たさない食品および原材料は購入・使用しないこと

③サービス提供…来客数をコントロールし、原則1メートル以上、客と従業員の距離を保つこと。従業員にはマスクの着用を義務付ける。QRコードスキャン型のテーブルオーダーによる注文と決済を推奨。

④フードデリバリー…①と同様に配達担当者の健康状況を管理すること。直接接触しての受け渡しは原則不可。ピックアップエリアを用い、間接的に受け渡しをおこなうこと。


上記のように、QRコードスキャン型のテーブルオーダーを政府が推奨している。

また、中国でグルメ情報プラットフォームを運営する美団グループは、自社サイト内に掲載されている約5万の飲食店すべてにモバイルオーダーを導入・利用開始したと発表した。もともと店舗デジタル化への関心が高く、多くの事例があった同国。新型コロナウイルスの流行を受けて、さらに導入が加速した格好だ。

こうした中国国内における取り組みは、着実に成果を出しつつある。北京華天飲食集団公司社長の賈飛躍氏によると、同社傘下の老舗飲食店において、非接触型オーダーを活用しサービスの中心を店内での飲食からテイクアウト・オンラインデリバリーへと移行したところ、多くの店舗で売上が改善したという。

苦境にあえぐ日本の飲食業界。回復への突破口は“非接触型オーダー“活用にあるのではないだろうか。一部報道では感染拡大の影響が1年半以上続くとも言われている。まだ過渡期にある日本の店舗デジタル化だが、個々の店舗には能動的な一手が求められているのかもしれない。

文=結木千尋
編集=Showcase Gig

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