2018.06.26

インタビュー

お客様一人ひとりを大切に。クリスプ・サラダワークスがモバイルオーダーを導入した理由

かつて他メイン料理の“サイドディッシュだったサラダが、ここ数年で、若い女性を中心にすっかり“主食”としての市民権を得た。その一大ブームの火付け役言えるのが、2014年にオープンしたサラダ専門店、「クリスプ・サラダワークス」だ。同社は2017年、他店に先駆けて自社アプリを使ったモバイルオーダーをスタートした。その導入の狙い、今後の展望について、業界のトップランナーである株式会社クリスプ・宮野浩史社長に話を伺った。

「お客様一人ひとりを大切に」という想いを実現するために

モバイルオーダーを導入したきっかけはなんだったのでしょうか?

私たちには「お客様一人ひとりを大切にしたい」という想いがあって、それを高級店ではなく、私たちのようなカジュアルなお店で実現するためにどうすればいいかと考えたことが、そもそものきっかけでした。ただ、オープン当初からできていた行列がずっとネックになっていたんです。行列が長くなれば、「こんなに並ぶならいいや」と帰るお客様が出てきてしまいます。行列ができること自体は大変ありがたい反面、それが本当に実現したいことの障害になっては本末転倒です。やっぱり常に長い行列があるお店は日常的に利用しにくいですし、「何度も利用したい店」にはなりません。そこで、多くの方に「また来たい」と思っていただけて、何度もご来店いただいているお客様にはさらに楽しい体験をしていただける店になるために、導入を決めたのがモバイルオーダーだったんです。

日米の飲食マーケットに精通する宮野社長。アメリカでの体験が導入のアプリの契機になったそう。

確かに、何度も利用する方にとっては、モバイルオーダーはすごく便利ですよね。

それはもう、圧倒的に便利です。手間がかかるのは初回だけで、2度目以降は断然ラクになります。クレジットカードと連携しますから、注文だけでなく会計もアプリで完了できますし、お客様はお店に来たらできあがったサラダを持ち帰るだけなので、長時間並ぶ必要もありません。つまり、アプリを使ったお客様だけが特別な体験ができる。利用を阻んでいたものがなくなるので、お店としては来店頻度の向上が期待できます。お客様に利便性を提供しつつ、私たちはファンの育成ができるので、双方にとっていい関係が築けますよね。

アプリにしたことで、顧客管理面でもメリットがあったのでは?

クリスプにはランク制度のようなものがあって、来店を重ねるほどランクが上がってそのたびにメンバーズカードのデザインや素材が変わっていくんです。初めて対応するスタッフでも、ひと目でそのお客様とのエンゲージメントの深さが分かるので、「いつもありがとうございます」とか「どの店舗によく行かれるんですか?」など、コミュニケーションの幅が広がります。それに加えて、顧客管理の面でもランクごとにデータを収集できるというメリットもありました。アプリにしたことで、よりそのメリットを活かして、明確な数値管理できるようになりました。実際にアクティブ率や購買金額などからユーザーごとのライフタイムバリュー(LTV)を算出して、来店頻度の少ない方と月に何度もお越しいただくランクの高い方のLTVを比べると、何十倍といった差が出てきます。なので、クリスプでは “ファン”を長く継続してもらうことをすごく重要なことと捉えています。そして、ファンとのつながりを強くするには接客の精度が重要になりますし、その精度を高めるには細かな顧客管理が重要になります。結局は、長期的な売上増加、会社の成長のためにも、お客様を大切にすることが最重要なんです。そういう意味でも、アプリを導入してよかったと思っています。

クリスプ・サラダアプリの注文開始画面

スタッフに、お客様と“会話”する時間を

モバイルオーダーの導入にあたって、スタッフの反応はいかがでしたか?

クリスプのスタッフは接客が好きで働いている人が多いので、モバイルオーダーが入ることで「お客様との会話がなくなるのでは」と心配する声が出たことも確かです。私自身も以前はそう思っていました。でも、数年前にアメリカに行ったとき、同じようなシステムが入ったお店に入ったのですが、そこには「グリーター」というお客様を出迎える役割の人がいて、積極的に話しかけてくれて「いいな」と思ったんです。日本の一般的なお店だと、会計のときに金額を伝えてお釣りを確認して……という会話がメイン。それって絶対に言わなければいけないパッケージの言葉で、会話のようで会話ではないですよね。もし、モバイルオーダーでその決まり文句をカットできれば、もっと「今日はいい天気ですね」とか「それ美味しいですよね」といった“生きた会話”をする時間が生まれます。それが仕事だったら、接客が好きな人にとってはすごく楽しいはずなんです。だから、モバイルオーダーを入れることで、お客様にもっと「クリスプだからできる体験」を提供しようと。幸い、クリスプは自社アプリでモバイルオーダーをやっているので、私自身がスタッフにパッションを持ってストーリーを伝えられます。今は、アプリの導入がお客様にとってメリットのあることで、同時に我々にとって大事にしている想いを体現するためのものなんだとみんなが理解してくれているので、すごく有効に活用できていると思います。

すべて店頭で手作りするチョップドサラダは約30種類のトッピングからカスタムが可能。

「クリスプ」をサラダ専門店の代名詞にしたい

 これからのクリスプ・サラダワークスの展望をお聞かせください。

2014年のオープン以来、多くの方から好評をいただいて、今では「サラダ専門店」という業態も一般的になってきました。私たちとしてはそれを一過性のものではなく、ひとつのジャンルとして定着させていきたいと思っています。それは、店舗数ナンバーワンを目指すということよりも、味やサービスも含めていいものを提供するというブランドをしっかりつくり、できることなら「クリスプ」が「チョップドサラダ専門店」のことを指す代名詞的なブランドになって、クリスプじゃないお店だとしても「クリスプ行く?」みたいに言ってもらえるようになったらいいなと思いますね。


取材協力
CRISP SALAD WORKS 麻布十番店
所在地:東京都港区三田1-10-10 三田グリーンハイツ1F
営業時間: 11:00〜22:00
電話:03-6435-4386
定休日:不定休
HP:https://www.crisp.co.jp/


 

編集=Showcase Gig

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