2022.02.21

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浸透するカスタマイズ/パーソナライズ。Z世代の消費志向から考える“体験”のあり方

消費者が特定の商品・サービスを自身の求める形へと変化させ、購入する――新たな購買体験が広がりを見せ始めている。 本来、決まったひとつの形で提供されていたはずの商品やサービス。なぜ企業はこのように柔軟にプロダクトを提供する必要があったのか。その秘密を紐解くカギとなるのが「Z世代」という言葉だ。 これからの消費に重要な役割を担っていくとされる同世代。彼らの消費志向から、今後求められるであろう店舗体験を考えていく。

キーワードは「コト消費」。ニーズを捉えて成功した2つのブランド

近年、さまざまなところで耳にするようになった「Z世代」という言葉。飲食を含めた小売の分野でも、これからの時代を生き抜く上で重要なターゲットになるとして注目を集めている。

Z世代とは、1990年代後半から2010年代前半にかけて生まれた世代を指す。幼い頃から身の回りにデジタルツールが存在し、それらを抵抗なく活用できることから「デジタルネイティブ」とも呼ばれるこの世代は、消費行動に特有の価値観を持っているという。「ネームバリュー以上に、商品そのものの価値(コストパフォーマンス)を重んじる」「価値を見出したモノに対しては、コストを惜しまない」「コト消費」「SNSなどに投稿される個人のレビューを信頼する」「社会・環境問題への意識が高い」といった点だ。

彼らは不景気かつ大量生産・大量消費の時代に生まれ育ったため、限られた予算をやりくりしながら、自身が価値を感じるモノを慎重に選び、購入する環境に身を置いてきた。スマートフォンが普及し、SNSが社会との接点のひとつとなったことで、周囲からの見え方にも気を配って消費行動をおこなう傾向がある。そのため、ショッピングで失敗したくない意識も他の世代にくらべて強く、「自分に合うか」「金額相応の価値が本当にあるか」といった部分を重視しやすい。インターネットを活用し、事前の情報収集を入念におこなう点も、同世代の消費行動の特徴である。

現代のビジネスシーンにおいては、こうした若い世代の消費志向をどのように捉えていくかが重要なテーマとなっている。そのひとつの答えと目されているのが、消費者の求める形に合わせて商品の見せ方・提供の仕方を変える、カスタマイズ/パーソナライズの考え方だ。同概念では、注文履歴・閲覧履歴などを活用し、顧客の趣味・嗜好にマッチしそうな商品を優先的にレコメンドする。顧客の側からすると、マスメディアにおける広告のように画一的に発信される情報ではないため、受け入れやすく、自分に合ったブランド・商品を探す手段にもなっているという。

主に国内の消費者に向けてD2Cでヘアケア製品を提供するMEDULLA(メデュラ)は、カスタマイズ/パーソナライズの考え方をサービスの核に取り入れたブランドの一例だ。同ブランドは独自に収集した30万人分の診断データから、ユーザーの髪質を5万通りに分類。それぞれのニーズに合ったプロダクトを、カウンセリングを通じて提案する。各商品には、イメージカラーの違う7つの香りがあらかじめ準備されており、顧客は自身に“パーソナライズ”された商品を好きな香りに“カスタマイズ”し、購入できる。

出典:MEDULLA公式ウェブサイト

また、公式ウェブサイトにはサービスの概要と合わせ、ブランド名の由来や、そこに込められたメッセージ、サスティナブルへの取り組みなども掲載されている。これらの情報はまさに、Z世代の消費行動の動機にマッチしたものだ。こうしたサービス内容が消費者に受け入れられ、MEDULLAは、立ち上げから約2年で累計会員数が35万人を突破。2021年8月には、41億円の資金調達もおこなった。

運営する株式会社Spartyは2020年5月、MEDULLAの成功から得られた知見を生かし、スキンケア製品を扱う新ブランド・HOTARU PERSONALIZED(ホタル パーソナライズド)も設立している。2021年11月には、東京・有楽町に初のフラッグシップストア「HOTARU PERSONALIZED 有楽町マルイ店」も開業した。同ブランドもまたMEDULLA同様、自身に合った商品を選びたいと考える消費者に受け入れられている。2021年7月時点での累計出荷本数は30万本超。すでに100万人以上のユーザーがオンラインでの肌診断を実施しているそうだ。

株式会社Spartyの2つの事例は、これからのビジネスシーンにおけるカスタマイズ/パーソナライズの考え方の重要性を端的に表している。今後は小売だけでなく、toCのあらゆる分野へと同概念が広がりを見せていくはずだ。

飲食の分野へと広がるカスタマイズ/パーソナライズのトレンド。東京・原宿に登場した“体験型飲食店”

小売、特に物販の分野でにわかに勢いを増しているカスタマイズ/パーソナライズのトレンドは、最近になり、飲食の分野にも波及しつつある。2021年12月15日、東京・原宿にオープンしたThe Label Fruit(ラベルフルーツ)は、店舗コンセプトに同概念を取り入れたフルーツオレ専門店だ。

 

同店舗は、モバイルオーダーから事前に注文を受け、店頭のスマートロッカーを通じて、顧客に商品を提供する。メニューはストロベリーオレ、パイナップルオレ、マンゴーオレ、ピーチオレ、メロンオレに、ホットドリンクを加えた10種類ほど。それぞれに「ベースミルクの変更」や「甘さの増減」、「トッピングの追加」といったカスタマイズが用意されている。

また、ボトルやカップのラベルは、12色のカラー、10の背景パターンからオリジナルのデザインにでき、その中央には注文者の名前などを自由に入力できるフィールドがある。顧客は“カスタマイズ”された中身やラベルによって、“世界にひとつだけのドリンク”を購入できる仕組みだ。

 

飲食の分野において、これまで主に取り入れられていたカスタマイズ/パーソナライズの考え方は、メニューの見せ方などに工夫を施すケースがほとんどだった。たとえば、米・マクドナルドの店舗では、顧客の注文履歴を参照し、より選ぶ可能性の高いメニューをデジタルサイネージの目に止まりやすい部分に表示させている。しかし、The Label Fruitでおこなわれているのは、提供する商品そのものへの変更だ。顧客にとっては、「一連のサービスが自分だけに向けられたもの」と感じられやすく、ロイヤリティの向上、SNS投稿を通じた新たな集客などにもつながりやすい可能性がある。

実際にSNSには、好きな著名人の名前をラベルに入力し、“推し活”をおこなう顧客の姿も見られた。商品やラベル、店舗の外観のほか、注文したドリンクがサイネージ上に現れて踊りだすという提供時の演出があわせて投稿されるケースも少なくない。こうした体験重視の消費は、まさにZ世代の志向する「コト消費」にマッチするものだろう。今後はこうした特徴を持つ店舗が、新たな形として定着していくのかもしれない。

 

ニューノーマル時代に求められる店舗体験とは。テクノロジーとの共存が必須課題に

日本の飲食業界でもすでに浸透しているカスタマイズの文化。しかし、そこから発展し、パーソナライズにまで取り組んでいる店舗・サービスはまだ少ない。withコロナが叫ばれる時代、いかに接触機会や必要な労働力を削減して、Z世代が消費に求める価値を提供していくのか。実現にはテクノロジーとの共存が不可欠だ。

ニューノーマル時代に求められる店舗体験とは。Z世代の消費志向を掴むサービスが少しずつ形になり始めている。

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文=結木千尋
編集=Showcase Gig

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