飲食店向け

2019.01.15

モバイルオーダーのリピート率80%ーー米・ダンキンドーナツのデジタル戦略

米国で大手ファストフードチェーンのほとんどがモバイルオーダーの導入を進めている。マクドナルドやスターバックスは言うまでもなく、それらと並ぶダンキンドーナッツ(Dunkin'Donuts)も同様である。日本ではあまり馴染みがないが、世界に11,300以上の店舗を展開する世界最大のドーナッツチェーンであり、アメリカ人にとってダンキンドーナツのコーヒーとドーナッツやサンドは朝食の定番である。今回はダンキンドーナツのリピート顧客を捉える”デジタル戦略を考察していく。

モバイルオーダー、ターゲットはリピート顧客

ダンキンドーナッツがモバイルオーダーを全国的にスタートしたのは2016年6月。同社によると、2017年度末の全体モバイル注文比率は3%ほどだったというが、店舗の集中する都市部では20%近いモバイル注文比率の店舗あるという。モバイルオーダー導入で先行するスターバックスに比べると低めではあるものの、モバイルからのリピート注文率は80%とかなり高い。同社のデジタル・ロイヤルティマーケティングVPであるMeltzer Paul氏よれば「ダンキンドーナッツのアプリはより習慣的に注文されることをモバイルのアプローチとしている」という。

まずモバイルオーダーを利用するには、ロイヤリティプログラム「DD Perks」の会員になる必要がある。これまでのデータから、毎日利用するようなリピート顧客は同じお気に入りのセットを繰り返し購入する傾向があることがが分かっており、アプリのUIはお気に入りメニューの注文への動線をシンプルにすることで、「いつものメニュー」をより素早く注文できる工夫がなされている。店頭では待ち時間なく、優先的に受け取ることが可能だ。

さらに、会員限定のキャンペーンやクーポンなどの特典もアプリで受け取ることができる。よりロイヤリティの高い会員が注文しやすく、お得感を感じさせるしくみとなっている。

注文スピードを上げる音声アシスタント

ダンキンドーナッツは新たな試みとして、音声アシスタントの連携によるモバイルオーダーにも積極的だ。2017年、カーナビアプリのWaze(ウェイズ)と協働し、アプリからドーナツを注文することが可能になった。事前にアプリ同士を連携させておけば運転中にアプリを開く必要はなく、ダンキンドーナッツが近づくと、音声アシスタントが「なにか注文しますか?」と聞く。「いつものセット」と答えればそのまま注文が店へ送信される。いつもの通勤の途中、いつもの朝食がすぐ受け取れるいうわけだ。

同社は2018年、GoogleアシスタントやAmazon Alexaなど音声アシスタントサービスとの連携を次々に発表。これらのサービスを利用するにはDD Perksへの会員登録など、最初こそ手間がかかるが、再注文からは圧倒的にスムーズに注文できる。

via iStock

より早く、利便性の高いサービスへ

ダンキンドーナッツでは、モバイルオーダーに合わせた店舗のリニューアルにも着手している。店内機器の整備のほか、モバイルオーダー専用の受け取りカウンターやドライブスルー窓口、注文状況が表示されるデジタルサイネージ設置などといった店舗の改装に、約1億ドル(約80億円)の投資を発表している。こういったリニューアルもモバイルオーダーの客をより迅速に回転させていくための、施策の例であるといえるだろう。

ダンキンドーナツが行ったマーケティングキャンペーンの1つに「#WTFast」(Way Too Fast:あまりにも早い)というスローガンを掲げているものがある。どれだけ早く商品を提供できるのかを客にも期待させている、というわけだ。このようにロイヤリティプログラムの会員になり、モバイルオーダーをすることで、迅速な受け取りができ、音声アシスタントなど様々な便利な体験が可能になる。さらにこれらの機能を使えば使うほどお得になるといった図式が、モバイルオーダーをリピート顧客が増えた要因といえるだろう。

編集=Showcase Gig

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