2021.03.03

飲食店向け

米国での誕生と発展。外食産業の夜明けとともに進み始めた、国内ファストフードの歴史

私たちにとって、最も馴染み深い飲食店と言っても過言ではないファストフードチェーン。その歴史はどのようにスタートし、今日の発展へと至ったのか。本稿では、外食産業の主要な一分野であるファストフードの歴史へと迫っていく。 前編となる今回は、アメリカにおけるファストフードの誕生、日本での勃興と発展を振り返る。かつて新興産業だったファストフードは、どのようにして私たちの暮らしの一部となったのだろうか。

アメリカで動き出したファストフードの歴史

今や世界中で浸透を見せるファストフードの文化は、1920年代のアメリカで誕生した。同分野の先駆的存在と言われるレストラン・White Castle(ホワイト・キャッスル)は、中西部・カンザス州のウィチタで創業したハンバーガーチェーンだ。一口サイズのスライダーバーガーを特徴とする同チェーンは、まだ十分なインフラストラクチャーがなかった当時のアメリカで、集中化された製造工場・属人的でない調理フローといった店舗システムを確立。流布していた食肉加工業・ひき肉の悪評を跳ね返し、成長を遂げた。その後、同国では、30年にケンタッキーフライドチキン(以下、KFC)の前身となる店舗が、40年にマクドナルド1号店が生まれている。50年代以降、外食市場を席巻するファストフードの文化は、このようにして産声を上げた。

マクドナルドは、どのようにして“世界のマクドナルド”となったのか。

1940年、モーリス・マック・マクドナルドとリチャード・ディック・マクドナルドの兄弟によって創業されたマクドナルドは、当初ドライブインレストランとして運営されていた。背景にあるのは、1920年代のアメリカにおける自動車の普及と、それにともなうモータリゼーションの進行だ。30年に前身店舗がオープンしたKFCもまた、当時はガソリンスタンドに併設されたカフェレストランだった。外食文化の発展と切り離せない“交通革命”は、世界有数のファストフードチェーンの誕生にも影響を与えていたことになる。

Ayutthaya,Thailand – March 7, 2018 :View in Porto Go Bangpa-in, McDonald’s Restaurant in Ayutthaya,Thailand. McDonald’s is an American hamburger and fast food restaurant chain

創業から8年後の48年、マクドナルドはハンバーガースタンドへと生まれ変わった。ドライブインレストラン時代に取り扱っていたメニューは、ハンバーガーやフライドポテト、シェイクといった今日でも馴染み深い9つのラインナップへと統一され、運営システムには、兄弟が考案した合理的な方法――“Speedee Service System”が採用された。これは、自動車の製造における生産ラインの仕組みをファストフードへと適応させたシステムで、同店舗では、各スタッフが自身に割り振られた特定の調理工程のみを担当したほか、メニューの多くが、スムーズに提供できるよう事前に組み立てられていた。当時のハンバーガーの価格は15セント。マクドナルドは、ハンバーガーショップとして歴史をスタートさせた時点から、スピード提供と低価格を両立していた。

デスプレーンズのフランチャイズのマクドナルド。現在はミュージアムになっている。(出典:iSTOCK)

すぐに兄弟のビジネスは軌道に乗り、マクドナルドは繁盛店となった。そこに現れたのが、マルチミキサーの販売をおこなっていたレイ・クロックという男だ。54年、機器のメンテナンスのために同店を訪れた彼は、客席の回転率の高さに驚きと可能性を感じ、兄弟にフランチャイズ化を提案する。大きな野心を持ち合わせているわけではなかった2人は、最初こそクロックの提案を断っていたが、やがてお互いの店舗への不干渉などを条件に受諾。このことがマクドナルドがチェーン化の道を歩む転機となった。

クロックは、55年に米・マクドナルド社の前身となるマクドナルドシステムズを設立。イリノイ州・デスプレーンズにフランチャイズ1号店をオープンしている。61年には、兄弟から同ブランドの経営権を買収し、フランチャイジーからオーナーへと転身した。彼が初めて兄弟のマクドナルドを訪れたときに感じた“Speedee Service System”の可能性は、ファストフードのアイデンティティとして現在も息づいている。

外食元年。日本で聞こえたファストフードの胎動

1970年は日本の“外食元年”と言われている。外食の第2次資本自由化や大阪で開催された万国博覧会を転換点に、アメリカで発展を遂げてきたオペレーション効率化の波が上陸。日本独自のファストフード店・ファミリーレストランが生まれたほか、アメリカをルーツとする外食チェーンも続々と国内で店舗展開をスタートさせた。

70年11月にはKFCが名古屋に、71年4月にはミスタードーナツが大阪・箕面に、同年7月にはマクドナルドが東京・銀座に1号店をオープンしている。その裏でファミリーレストランの分野では、70年7月にすかいらーくが東京・国立に、同年11月にフォルクスが大阪・中津に、71年12月にはロイヤルホストが福岡・北九州に1号店を出店した。現在のマーケットで高いシェアを占めているモスバーガー、ロッテリア、サイゼリヤ、デニーズといった外食チェーンも、軒並み70年代初頭にその歴史を歩み始めた。70年前後は、日本でモータリゼーションが進行した時期でもあった。

Meiji jingumae Omotesando

こうして生まれた日本のファストフード市場は、やがて訪れる第1次オイルショック下の急激な景気減速・不況も乗り越え、順調に規模を拡大していった。73年には、KFCが日本のファストフードチェーンとして初めて国内100店舗を突破。同様に草創期を牽引してきたミスタードーナツやマクドナルド、吉野家、モスバーガー、ロッテリアといったチェーンも、数年内にこれに追随した。その一方で、ファミリーレストランチェーンではすかいらーくが、78年にようやく初の100店舗出店を達成している。ファストフード市場が5年前倒しで拡大した背景に、合理的なシステムに裏付けられた低価格と、それに由来する親しみやすさがあったことは間違いないだろう。

その後、同分野は、90年ごろまで右肩上がりの成長を続けていくが、バブル景気の減速をきっかけに停滞期を迎え、市場全体で価格競争が巻き起こった。ハンバーガーチェーンでは87年、マクドナルドがそれまで主流だった単品販売に代わり、ハンバーガー・ポテト・ドリンクからなる390円のセットメニュー「サンキューセット」の提供を開始。競合他社も対抗するキャンペーンを打ったことで、ハンバーガー業界の低価格化が加速した。同年にはロッテリアが、同等の内容を380円で提供する「サンパチトリオ」をメニューへと追加したが、翌年には、マクドナルドがさらなる値下げを施した「サブロクセット」を展開している。当時のマクドナルドのハンバーガーの単品価格は210円だった。このことからは、同セットがいかに挑戦的な値付けだったかを窺える。

Girl holding a hamburger in her hands sitting in a car. Unhealthy eating concept – shallow depth of field

この価格競争は、断続的に到来した不況にも後押しされ、2000年過ぎまで続いた。その間、マクドナルドは、各種ハンバーガー・サイドメニューを自由に組み合わせられる「バリューセット」の提供(94年)、ハンバーガー・チーズバーガーの価格変更(95年~)、一部メニューの平日半額キャンペーン(2000年)などの値下げ施策をおこなっている。こうした取り組みが功を奏し、同チェーンは一躍、“デフレ時代の申し子“となっていった。

また、他のファストフードチェーンでは2001年、創業以来、値を上げ続けてきた吉野家の牛丼並盛が120円価格を下げ、280円となっている。誕生当初から低価格を武器に発展を遂げてきたファストフード産業は、デフレによって、その特徴をいっそう色濃くさせた。

2000年代以降もファストフード市場には、BSEや鳥インフルエンザの問題、異物混入など、さまざまな荒波が訪れたが、同市場は一進一退を繰り返しながら、堅調に規模を拡大させている。富士経済グループの調査によると、2019年の市場規模は約3兆2,000億円。これは、あらゆる飲食店を含めた外食産業全体の市場規模のおよそ10%にあたる数字だ。近年では「マクドナルド モバイルオーダー」などを筆頭に、“飲食店デジタル化“の分野においても業界をリードする。外食産業の歴史は、ファストフードが引っ張ってきたと言っても過言ではないだろう。

続く後編では、日本マクドナルドをはじめとした国内チェーンにフォーカスし、その歴史へと迫っていく。

後編はこちら

ハンバーガーと牛丼。主要ブランドの歴史から紐解く、ファストフード市場の未来

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文=結木千尋
編集=Showcase Gig

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