2020.01.17

飲食店向け

Uber Eatsサービス開始から3年。フードデリバリー市場はいかなる道をたどるのか

Uber Eatsが日本でサービスを開始してから3年が経過した。この間、日本のフードデリバリー市場は安定した成長を続けている。 同市場はなぜ拡大し、これからどこへ向かうのか。カギを握るビジネスの存在から市場の動向を探る。

フードデリバリー市場の実勢

まずフードデリバリー市場の実勢を押さえておこう。

エヌピーディー・ジャパン株式会社が発表した「外食・中食 調査レポート」によると、日本における2018年の出前市場規模は、前年比5.9%増の4,084億円だった。同調査が定義する出前市場とは、外食・中食市場のうち、小売店や自販機、社員食堂、学生食堂を除き、宅配ピザを含んだもので、一般的なフードデリバリーの市場と言い換えられる。
同市場は2016年に+5.8%、2017年に+2.3%と、近年、安定的かつ継続的に成長しており、2015年と比較すると500億円(約15%)も規模が拡大しているという。外食・中食市場全体の年成長率が約2%前後と言われるなか、驚くべき成長を続けているとわかる。

一方で、日本の外食産業におけるデリバリー比率は2017年時点で約3%と、先導する韓国(10%)や中国(8%)、イギリス(8%)などに比べ、低い水準にとどまっている(2018年「外食・中食 調査レポート」より)。
高い数字を示す中国では、日本以上に目覚ましい市場の拡大がはじまっており、2010年に約9,200億円だったデリバリー市場規模が、2018年に約10兆円まで拡大する見通しだ。まだ成長の余地を残す日本もこれに続くと推測される。

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また、フードデリバリー市場における個人消費にも興味深いデータがある。

株式会社マクロミル(以下、マクロミル)が1都3県(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)に住む20~69歳の男女を対象におこなった調査(2018年)によると、直近1年間でフードデリバリーを利用した人の割合はおよそ60%。過半数が1年以内に利用しているとわかった。なかには、週に1回以上(1.3%)、月に2~3回程度(4.2%)、月に1回程度(9.0%)と、日常的に利用する回答者もおり、フードデリバリーの浸透を示す結果が得られている。

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フードデリバリーが浸透する3つの理由

いったいなぜフードデリバリーの文化が社会に浸透しつつあるのだろうか。そこには大きく3つの理由がある。

まず1つが、社会的背景からくる理由だ。
近年の日本では、単身世帯・共働き世帯が増加傾向となっている。こうした世帯においては、可処分時間に占める労働時間の割合が大きくなりやすく、時間の不足からすべての食事を自炊でまかなうことが難しい。可処分時間を可処分所得で買うタイムパフォーマンス重視の行動も顕著であり、外食や中食が利用されやすい実態がある。

続いて2つ目の理由が、オンラインオーダーの一般化だ。
先に紹介したマクロミルの調査では、直近1年間のデリバリー利用者を対象に注文方法についても尋ねられた。結果は上位から順に、「電話(61.3%)」「PCでウェブサイト経由(37.8%)」「スマホ・タブレットでウェブサイト経由(29.2%)」「スマホ・タブレットでアプリ経由(8.6%)」「その他(0.5%)」となっている。
選択肢の中では電話による注文が最も多かったが、PCやスマホ・タブレットでの注文を合算すると62.5%となり、電話注文の割合を上回る。この結果からは、オンラインオーダーが主流となりつつある現状が見て取れる。

インターネットが普及した今日の日本では、オンラインオーダーの登場により、誰もが時間や場所に縛られることなく、簡単にデリバリー注文ができるようになった。オーダーの敷居が下がった結果、ユーザーの裾野が広がった点は見逃せないだろう。
電話注文と違い、オンラインオーダーはキャッシュレス決済にも対応しやすい。利便性の向上が定着に寄与している側面がある。

さらに、配達代行サービスの登場もひとつの理由となっている。
配達代行サービスとは、フードデリバリーにおける配達の業務を、独自のオンラインシステムを使い飲食店から代行するサービスのこと。Uber Eatsファインダインシェアリングデリバリーといったサービスが有名だ。
同サービスを活用すれば、飲食店は自店鋪に配達リソースを抱えることなくデリバリーを導入できる。ネックだった配達員の確保やシステムの構築などを丸々アウトソースできる仕組みとあり、都市部を中心に多くの飲食店で導入されている。

2016年9月に日本国内でのサービスをスタートさせたUber Eatsでは、当初150にとどまっていた導入店舗数が、約3年で1万にまで拡大した。ユーザーにとっては、店舗でしか食べられなかったメニューを自宅や職場でも楽しめるメリットがある。こうしたオンラインサービスの登場もフードデリバリーの浸透に一役買っている。

フードデリバリーの今後と課題

最近ではこれらのサービスを活用し、フードデリバリーへと参入する大手外食チェーンも登場している。

2017年6月、大手ハンバーガーチェーンの日本マクドナルド株式会社(以下、マクドナルド)は、運営する東京都内33の店舗でUber Eatsによるフードデリバリーサービスを導入した。同社では、2010年より自社システムによる宅配サービス「マックデリバリー」を運用しているが、需要増大にともなう拡充として配達代行サービスの導入を決めている。

2018年4月には、大阪府内の32店舗まで拡大。2019年11月現在では、全国9つの都府県(東京・神奈川・埼玉・千葉・愛知・大阪・京都・兵庫・福岡)にある600の店舗がUber Eatsの対象店舗となっている。

こうしたフードデリバリー参入の動きは、マクドナルドだけにとどまらない。スターバックスコーヒー、すき家、なか卯、スシローなど、さまざまな外食チェーンが次々参入している状況だ。2019年11月には、串カツ田中や大戸屋もUber Eats導入を発表した。ここにきてさらに加速する背景には、消費増税にともなってはじまった軽減税率制度の実施があると考えられる。同制度では外食の税率が10%となるなか、中食の税率は8%に据え置かれた。「外食を敬遠した顧客が中食へと流れるのではないか」というのが大方の予想だ。

一方で、配達代行サービスを活用したフードデリバリーには課題もある。

2019年10月には、配達の遅れを理由に受取拒否した商品が、注文者のマンションの共有スペースに投げ捨てられたとされる出来事があり、注文者、配達員、サービス提供会社の三者を巻き込んだトラブルへと発展した。

同社によると、配達員とは個人事業主として契約しているため、個別のトラブルに関しては、配達員個人の責任によるところが大きいという。本来であれば、顧客と飲食店で完結していた関係が、配達代行サービスの活用によって当事者が増え、結果、責任の所在が曖昧となっている節がある。

ほかにも、顧客と配達員双方のプライバシーにかかる問題、配達員が個人事業主であるがゆえの事故の補償問題などが課題として挙げられる。今後、配達代行サービスによるフードデリバリーが定着するかは、上記の課題をいかに解決できるかにかかっていると言えるだろう。拡大するフードデリバリー市場を牽引するとみられる同サービスだけに、期待も不安も大きくなっているのが実情だ。

オンラインオーダーが生き残りのカギを握る時代に

中食の市場を巡っては、事前注文・事前決済によりスムーズなテイクアウトを実現するモバイルオーダーアプリも登場している。配達代行サービス同様、今後の浸透を見据えるオンラインオーダーツールだ。

これからの時代、デリバリーやテイクアウトへの注力は、飲食業が生き残るための必須の要素となっていくのかもしれない。時流に乗り遅れた飲食店は淘汰の可能性が高まると言い換えられる。

世界規模で拡大するフードデリバリー市場と、増え続ける導入店舗。ユーザーと飲食店をつなぐ配達代行サービスが、軽減税率制度の撤廃までにどこまで浸透できるのか。その行方に注目が集まっている。

 

文=結木千尋
編集=Showcase Gig

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