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2022.05.30
新型コロナ対策
飲食店向け
2020.10.15
飲食店向け
コロナ禍で多くの飲食店が業績悪化に苦しみ、新しい生活様式の対策に四苦八苦している。そんな中で、日本ケンタッキー・フライド・チキン(KFC)だけは、前年度以上の売上を上げ続けている。アメリカから日本へ上陸して今年で50年目となるKFCであるが、これほどまでに売上が好調な背景には一体どんな理由があるのだろうか。
日本ケンタッキーホールディングス(以下、KFC)は、米国Yum! Brandsグループ(他にはピザハットやタコベル、A&Wなどがある)とフランチャイズ契約をし、国内直営店舗にてフライドチキンの加工および販売を主に行なっている。日本国内におけるKFCの店舗数は1,130店を超えており、フライドチキンを主体とするファーストフード店の中でトップシェアを誇る。2000年以降には、コンビニ各社もフライドチキン市場へと参入しているが、依然として同社の人気は高い。
そんなKFCが、2020年度第1四半期のチェーン売上で320億円という過去28年間で最高の売上高を叩き出した。既存店売上高の前年同期比は21.2%上昇、客数の前年同期比も1.4%と上昇、店舗の平均月商は1,032万円で過去19年間で最高の売上となっている。
同社の業績がコロナ禍においても落ち込むことなく、上がり続けた大きな要因として、持ち帰り需要の拡大がある。コロナ感染の第一波で在宅勤務や学校休校が増加、自宅で食事をする人が増えたことで、中食の需要が伸びた。この需要のタイミングに合わせてさまざまなパッケージ商品を展開したことも増収に繋がっている。
Stamford, CT, USA July 26th, 2011. KFC was founded by Harland Sanders and is headquartered in Louisville, Kentucky, U.S.
KFCが好調な理由として、以前から取り組んでいた「3つの要素」がコロナにおける需要と重なったことが大きい。また現状で満足をせず、より最適な方法を小規模でありながらも改良し、実装してきたことが、売上に顕著に現れている。
もともとKFCの顧客は30−50代女性で主婦が多く、外食というよりも中食としてのランチや夕飯といった場面での持ち帰りの需要が多かった。そのため、ステイホーム中の顧客ニーズにうまくマッチしたと考えられる。また、外出自粛により家庭で大人数で食べることを想定した、ファミリー向けの期間限定商品なども展開したことが功を奏した。例えば緊急事態宣言下の大型連休に1,500円の「GWパック」を発売。売り切れ店舗も出るほどヒットし、全店売上高は4月が20.6%増、5月が22.2%と功を奏した。
コロナ前からテイクアウト、ドライブスルー、デリバリーの中食分野に強かった。加えて、従前からテイクアウト比率は70%ほどを占めていたため、コロナによって店内飲食を休止しても引き続き需要を取り入れることができた。特に店内に入らず、ほかの客との積極を避けながら受け取れることからドライブスルー利用が急増したという。今後はネットやスマホで事前注文をした顧客が、商品を非接触の形で受け取れるように、受け渡し専用窓口を増やしていく方針も発表している。これにより、混雑時の行列の解消も試みる。
KFCといえば、お祝い時やクリスマスなど「ハレの日」というイメージが強く、日常利用されにくいという課題があったが、今回のコロナ禍では気軽にランチ利用ができるように、これまで期間限定で販売していた「ケンタランチ」をレギュラーメニューに加えた。ほかにも、お得感のあるセットメニュー、アプリのロイヤリティプログラム、ネットオーダーによる利便性の向上を図り、日常利用を促進。来店頻度を上げる課題に取り組んだ。
もう一つKFCが好調な要因はマーケティングだけの勝利ではない。肉の質にこだわり本質的な美味しさを追求することで得た、多くの固定ファンの存在がある。1970年の創業以来、三菱商事株式会社と連携し「オリジナルチキン」としてのブランド力を磨いてきた。フライドチキンでは、原料鶏肉に100%国内産の「ちゅうびな肉(日齢約38日)」を使用している。この鶏肉はコンビニなどで使用されている、冷凍輸入「おおびな肉(日齢50日以上)」と比べると、非常に柔らかく、かつ安定調達が難しいとされている。平均顧客単価1000円と、ファストフードでは平均より高めのをキープしながら、固定ファンが多い背景にはには、他店が真似できないフライドチキンの美味しさというコアの価値に加えた、販売チャンネルの多様化など新しい取り組みが見事に成功しているという背景がある。
7月にはNEXCO中日本などと共同で日本初となるドライブスルーでの支払いをETCで決済するサービスの試行運用を開始。また10月にはオンライン経由で注文した商品を店舗に設置されたロッカーから受け取る「ピックアップロッカー」のサービスを4店舗で試験導入を発表した。UberEatなど配達代行のスタッフも利用でき、待ち時間もなく、非接触で受け取れる。こういった新しい取り組みへの挑戦を続けつつ、次の店舗のスタンダードを模索し続けているのが特徴といえる。
コロナによって増加した、テイクアウトやデリバリーなど中食への需要が定着化していくなかで、KFCの店舗運営の方式はアフターコロナの飲食店で転用できる考え方ではないだろうか。
食の本質である、美味しさのクオリティをしっかりと保ちファンの心を掴むことが前提ではあるが、店内/店外での提供方式にバリエーションを持たせ、顧客が利用しやすいように柔軟に対応していくことは、店の信頼度とリピート率の向上に繋がっていく。その店舗にとって、見直すべきものと変えるべきでない価値を顧客視点で見極め、次の時代を進んでいくことが必要であるといえるだろう。
文=佐々木久枝
編集=Showcase Gig
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