
モバイルオーダーサービスはどう選ぶ?押さえておきたい4つの比較・検討基準
2022.04.25
飲食店向け
2019.10.30
飲食店向け
DIG-INでこれまで何度も紹介してきたが、海外ではファストフード店を中心に「Kiosk(キオスク)」と呼ばれるセルフ注文・決済端末が急激に浸透している。一方、日本ではフードコートやラーメン・牛丼屋などで「券売機」によるセルフ会計端末が主流である。どちらも前払い式のセルフ決済レジではあるが、前者の「キオスク」と「券売機」では具体的になにが違うのだろうか。
まずは編集部が各国で取材した飲食のセルフオーダー・キオスクをご覧いただこう。見た目からも分かる通り、インターフェイスはタッチスクリーンだ。支払いはクレジットカード、QR決済などのキャッシュレス決済であるため、日本の券売機以上に薄型であるのも特徴である。
スウェーデンのファストフード「MAX」のキオスク(編集部撮影)
中国・KFC(編集部撮影)
シンガポール・KFC(編集部撮影)
米・マクドナルド(編集部撮影)
見た目だけではない。海外のファストフードチェーンで急増しているキオスクはインターネットに接続可能なIoT端末である。つまりキオスクは、店舗専用の大きなスマホのようなものでソフトウェアをアップデートできるので更新性や拡張性も高い。
券売機との大きな違いの1つは、キオスクはクラウド上にあるデータサーバーに、1注文ごとに注文データが送信される仕組みになっており、キッチンに直接注文が届く。店側は決済と同タイミングで注文を確認することができる。
券売機・キオスクの違い
また、キオスクはモバイルオーダーなどといったWEBサービスとの連携もスムーズであり、海外では、キオスクとアプリ両方のセルフ注文・決済で対応をしている店舗が多い。
インターネット化されているキオスクで得られるメリットには他にも下記のようなものがある。
注文から決済における一連の流れをキオスクに任せることで、少ない従業員でも会計処理のスピードを上げることができる。例えば、これまでレジ1台で処理していた店舗にキオスク3台導入した場合、人員はそのままで、同時に3台の注文を一度に処理することができる。また接客レベルの統一化が図れたり、台数を増やせば行列を解消したりというメリットもある。
キオスクでの決済はキャッシュレス対応となるので、券売機では対応が難しいとされる1円単位での価格設定が可能。メニュー変更や材料費の高騰にともなう、細かな価格変更や設定が容易に行える。消費税増税時もシステム側の管理でスムーズに対応できる。
キオスクはソフトウェアでアップデートするため、店舗内でのサービスやメニュー変更などといったマイナーチェンジや機能追加といった作業を即時に解決することができる。
顧客が検討しているものよりもランクの高い商品をおすすめするアップセルや、「ご一緒にポテトはいかがですか?」「50円追加でLサイズに変更できます」などといったクロスセル提案が可能であり、顧客満足度の向上に繋がる。
キオスクは機動性に優れており、その時期や時間帯、顧客に合わせた自由な設定でのセットメニューが紹介できる。例えば、単品注文しても自動で最安値のセット価格にしたり、その時間帯のおすすめメニューを自動でトップ表示させたりが可能だ。客単価の向上にも繋がる。
訪日外国人のための対応をスムーズに行うための多言語による言語選択機能や、子どもでもより楽しめるようなキッズ機能など、各店舗に適した独自の機能設定も行うことができる。
海外と比較すると日本ではまだ事例が少ないが、それでもここ1〜2年で大手企業を中心に徐々にキオスクが設置され始めている。
ファーストキッチン株式会社は、2018年10月、事前注文と決済を行うセルフレジの導入を、「ウェンディーズ・ファーストキッチン パレットタウン店」で実施。導入後は、テイクアウト目的の顧客の約6割がセルフレジを活用、なおかつ同店の客単価も向上したことから、今後積極的に導入店舗を拡大していくと発表している。また、多言語対応のセルフレジにより、店の利用客だけではなく、外国人従業員も正確かつ迅速に接客ができるという効果もあったという。
JR東日本フードビジネスでは、2019年9月、ベッカーズ池袋東口店に新型のセルフ注文決済端末「O:der Kiosk(オーダーキオスク)」を導入。このモバイルオーダーにより、事前の注文と決済が可能となる。決済はクレジットカードや交通系電子マネーに対応。昨今、海外ではモバイルオーダーとキオスクの両方が利用できる店舗が増加しているが、同店はこの2つの機能が揃う、国内初の店舗ということで注目を浴びている。同グループでは、今後もこの未来型店舗を増やしていくほか、端末の多言語化を計画しているという。
店舗デジタル化の時代において、”購入して終わり”の店舗機器は、高額な初期投資コストや店舗の最新情報の更新時に手間がかかるなど、コスパが悪いという印象が否めない。店舗デジタル化で得られるメリットには「オペレーションの効率化」「顧客のパーソナライズ化による顧客満足度の向上」「アップセリングによる販売促進による客単価の向上」「多言語の対応」など多くの点があり、さらにはシステム導入そのものも比較的安価であることから、今後日本でも店舗のデジタル化は進んでいくと予想される。店舗機器を選ぶにあたり、インターネットに親和性が高く、アップデートがどうできるか、ということはこれからの時代にとって大きな指標となっていくのではないだろうか。
文=佐々木久枝
編集=Showcase Gig
関連記事
モバイルオーダーサービスはどう選ぶ?押さえておきたい4つの比較・検討基準
2022.04.25
飲食店向け
「価値」から「目的」へ。変わる消費志向から考える、新時代のtoCビジネスのあり方
2022.03.28
飲食店向け
小売店向け
浸透するカスタマイズ/パーソナライズ。Z世代の消費志向から考える“体験”のあり方
2022.02.21
飲食店向け
小売店向け
迫るバレンタインシーズン。withコロナ時代に勝ち残る小売店となるためには
2022.01.26
新型コロナ対策
飲食店向け
小売店向け
中国で進化するデリバリーのかたち。その「今」から日本が学ぶべきポイントとは
2022.01.05
新型コロナ対策
飲食店向け
復調の観光産業に新たな課題。ホテル・旅館業界はDXで人手不足の解消へ
2021.12.27
新型コロナ対策
飲食店向け
モバイルオーダー専門店「The Label Fruit」に見る、“魅せる”ロッカーの仕掛けとは
2021.12.15
新型コロナ対策
飲食店向け
小売店向け
デリバリー専用ロッカーはなぜ中国で普及した?飲食DXの可能性に迫る
2021.11.22
新型コロナ対策
飲食店向け
日本のフードデリバリーはどうなる?「銀のさら」が見据える未来
2021.10.19
インタビュー
飲食店向け
【後編】丸亀製麺大ヒット商品「うどん弁当」開発の舞台裏に迫る
2021.09.01
インタビュー
飲食店向け