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店舗のデジタル化は、サービスの温かみと相反するものとして語られることが多い。人が人を接客することは最高のサービスの形であり顧客もそれを望んでいると、事業者は信じているのかもしれない。実際、顧客は店側にどんな体験を求めているのだろうか。事業者と顧客には大きな乖離があるかもしれない。
まずは、近年店舗のデジタル化の進む米国での統計を見てみよう。決済・商取引業界に関する情報を専門家により配信しているPYMNTS.comは、一般消費者5,000人を対象に米国内の主要なQSRsチェーンでの注文体験について、アンケート調査をおこなった。
それによると米国の主要QRSs(クイックサービスレストラン)のユーザーのおよそ92%は、アプリを介して注文することを肯定的にとらえており、注文を迅速かつ便利にできる環境を求めているという。
一方で、QSRsのマネージャーを対象に行った調査では、モバイルオーダーが顧客にポジティブな体験を提供している、と答えたのは65%という結果がでている。事業側は顧客以上に、注文アプリ導入に消極的ということが分かる。
また同調査によると、近年導入がすすむキオスクでの注文体験においてもポジティブな結果が出ている。ユーザーの74%がセルフサービスのキオスクは良い体験だったと回答。現状では、顧客の13%が日常的に利用しているという。
このように米国ではモバイルオーダーに加え、セルフサービス・キオスクに対してもポジティブな反応を得ており、店舗のデジタル化を良いものとして受け入れているのがわかる。
では日本ではどうなのか。モバイルオーダーアプリ「O:der」を提供しているShowcase Gigのデータでは、日本の顧客もデジタル化を求めている可能性が高いと予測する。実際にモバイルオーダーは、その利便性から一度使い始めるとその後はリピート顧客となるというデータがでており、リピート注文率は約89%と非常に高い。
ユーザーはビジネスマンやデジタルネイティブ世代だと思われがちだが、実際には郊外や地方の店舗でもよく利用されており、ユーザー層も20−50代まで幅広い。つまり画面上でスムーズに注文ができる、行列でイライラしない、スムーズに受け取れる、などそのユーザーにとっての良い顧客体験であれば、年代や地域問わず、レジ前での注文に取って代わる手段として受け入れられているといえるだろう。
Hand holding phone, finger touching online ordering application on screen. App logo with shopping basket.
近年、日本全体が人手不足に悩まされており、2018年に厚生労働省が発表した「全体の有効求人倍率」は1.59倍となっており、どの業界も売り手市場といわれている。しかし、その倍率をさらに上回る4.18倍になっているのが飲食業界だ。この数値だけでも、その深刻度が窺える。
この問題の背景には、飲食店における長時間残業といった労働環境や待遇面の悪さ、将来自分の店を持つという独立志向の人が減ったことにあり、求人情報を掲載しても応募がない、雇用してもすぐに辞めるといった事態が起きており、業界は非常に緊迫した状況にあるといえる。
この現状を脱するため、飲食業界は従業員の待遇改善に尽力しているものの、その一方で、日本では米国のようなモバイルオーダーやキオスクによって店舗運営を効率化しようとしている事例も少ないといえるだろう。
人手がマストではない業務で、簡単にデジタル化できるところを早急に置き換え、従業員の負担を減らし効率化を図る。こうすることで、飲食業界の人手不足という最大の課題を解決し、「顧客をもてなす」という本質的な接客に集中できる環境を整えることが可能となる。
もちろん、ただアプリやWEBサービスを導入すればいいというわけではなく、従業員のオペレーションに無理がないか、顧客にもメリットがあるか、よく検討する必要がある。しかし、事業者が思っている以上に店舗のデジタル化が顧客満足度の向上に繋がる可能性があるという視点も忘れてはいけない。
文=佐々木久枝
編集=Showcase Gig
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