飲食店向け

2019.06.12

マクドナルドでAIメニュー登場。実店舗も”パーソナライズ”される未来

日本のマクドナルドのモバイルオーダー導入が話題となったが、米・マクドナルド社はデジタル店舗開発を一歩先へ進めている。オンラインショップ向けのパーソナライゼーション・ツールを開発するDynamic Yield(ダイナミック・ヤード)社との共同開発により、マクドナルド店舗のドライブスルーにAIメニュー看板を表示するという。

マクドナルド、AIメニュー看板を導入

2019年3月、マクドナルド社は、AIを利用したパーソナライゼーションのプラットフォームを開発するスタートアップ企業「Dynamic Yield」のシステム導入で、ドライブスルーのメニューを顧客へ個別にカスタマイズするサービスを実験的に展開すると発表した世界120ヵ国以上、37,000店のマクドナルド店舗にてDynamic YieldのAIシステムを順次導入し、顧客サービスのパーソナライゼーション強化していく。

Digital Menu Board

実際のメニューボード。この店での人気メニューが表示されている。(引用:McDonald)

Digital Menu Board

追加メニューのレコメンドも。(引用:McDonald)

同社のAIシステムは、顧客の過去の購入データや人気のある商品、その時の気温や天候、店の込み具合などを適切に読み取り、その時々にあわせたメニューを個別に提案・宣伝してくれる。例えば、その店舗のある地域の気温が高ければ冷たいシェイクが提案され、家族連れが多い店舗あれば、子供向けメニューが提案されるといった具合だ。顧客ごとにカスタマイズされたメニューを提案することで、商品の選択や準備の時間なども短縮でき、よりスムーズに商品を提供することもできる。

最終的には、車のナンバープレートをカメラなどで認識することで、顧客の購入履歴に応じたメニュー調整を可能にするという開発を進める予定とし、セルフオーダーのキオスク端末やモバイルアプリなどの事業にもこのAI技術を応用していくとしている。

Dynamic Yieldのパーソナライゼーション

2011年に米国・ニューヨークで創業されたDynamic Yield社は、サイトやアプリ訪問ユーザーに対するパーソナライゼーションを助けるサービスを提供している。顧客のデータをオン・オフラインで統合分析し、強力なパーソナライズを実現。その時々に合わせて最適なユーザー体験が提供でき、企業のECを中心に現在3000以上のグローバルブランドが導入しているという。パーソナライズの最適化とは、実際どのようなものか気になるところだが、Dynamic Yieldのサイトを訪れると個々の状況に沿ったウェルカムメッセージが表示され、ちょっとした体験ができるようになっている。同社は、買収後も独立系企業として機能しており、家具量販店の「IKEA」、化粧品ブランドの「SEPHORA」、アパレルメーカー「Urban Outfitters」といった小売企業が導入している。

Dynamic Yield社のホームページ。 パーソナライズ体験の一例として、「おはよう、また来てくれてありがとう。あなたが今日は心地いい曇りの天気の日本から、AppleのPCででGoogleのオーガニック検索でこのページにアクセスしたことは知ってるよ」と実際にページを見ている本人の例を見せつつ紹介している。

なぜパーソナライズなのか?

オンラインでの購入時には、あらゆるパーソナライズが働いている。例えばAmazonで商品を探す際、プロフィールや閲覧履歴、購入履歴などから、自動的に商品をおすすめされたり、探している商品に近い商品が表示されたりといった経験があるのではないだろうか。このパーソナライズ化をオフライン(実店舗)の購入、引いては飲食店でも行なうことにより、顧客エンゲージメントの向上と実際の購入に繋げていくのだ。

マクドナルドでは、誰が何を注文しているかのデータを可視化するため、モバイルオーダーアプリやデジタル注文端末(キオスク)などの普及を進めている。このようにテクノロジーをうまく活用することで、データ獲得やデータ活用法の幅を広げることができ、オフラインでもオンライン同等のパーソナライズされたメニュー表示やレコメンド、顧客ごとのキャンペーン展開が可能となる。

実店舗がパーソナライズされる未来

これまでも従業員が客の好みなどを顧客カードなどにメモしておき、自分に合わせた接客や提供をしてくれる、というのは珍しいことでない。これも一種のパーソナライズであることには間違いないが、一般的に特定の常連に向けた上流レストランのでサービスである。しかし、デジタルを活用すれば、マクドナルドのようなファストフードで客は誰であってもパーソナライズが可能になる。つまりこれまで見えていなかったオフラインの購買行動もオンラインと同じようにデータ化が可能になれば、オンライン・オフライン関係なく、その顧客に合った商品をレコメンドできる。パーソナライズされたサービスやメニューが、売上増加に直結していることは明白だ。

近い将来、世界中のどこのマクドナルド行っても、自分のお気に入りメニューが知らず知らずのうちにレコメンドされて表示されているかもしれない。

文=佐々木久枝
編集=Showcase Gig

 

 

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