飲食店向け

2020.02.21

4割以上の消費者がモバイルオーダー利用を希望。米国調査で判明した需要と供給のギャップ

消費者によるモバイルオーダー導入の需要が高まっている。飲食業界はテクノロジー面において、他業界に比べ遅れをとっているとも言われており、その需要の高さに対して導入がなかなか進まないのが現状だ。現在飲食業界では、国内外ともにモバイルオーダーを活用すべきか否かが、命題になりつつある。

米国消費者、43%はモバイルオーダーを望む

最近発表された全米レストラン協会(NRA)とテクノミックの共同研究からのデータで、米国消費者の43%はモバイルオーダーの利用を望んでいることが明らかになった。しかし、実際にモバイルオーダーを導入しているNRA加盟店舗は、わずか18%に留まっており、消費者の需要に比べ店舗側の対応が追いついていない事態が起こっている。

また過去1年間で、店舗アプリまたはWebサイト経由で直接注文をした消費者は91%おり、そのうちの60%は「DoorDash」「Grubhu」「Uber Eats」といった、サードパーティの配達サービスを利用。このことから、消費者はピックアップ、デリバリー、ドライブスルーのいずれでも、店舗外からも注文できるオプションを希望していることが分かった。こうしたニーズを満たすため、米国レストラン経営者の78%はサードパーティシステムの導入を戦略の一つとして優先事項にしているという。

NRAが昨年4月にリリースした年次産業レポートでは、QSR(クイックサービスレストラン:ファーストフード店)経営者の70%がモバイルオーダー、アプリからの注文・決済、配信管理といった顧客サービスに多くの投資が必要だと考えており、テクノロジー化へ向けた動きが高まっている。

チポトレのモバイルオーダー成功事例

このような需要に応え、2019年に飛躍的な急成長を遂げたのが、メキシコ料理のファーストフード店「Chipotle Mexican Grill(チポトレ・メキシカン・グリル、以下、チポトレ)」である。北米、ヨーロッパを中心におよそ2,500店舗以上(2019年時点)を展開、米国ではタコベルに続く第2位の店舗数を誇る。

メキシカン・ファストフードの中でも傑出した存在であるといわれており、地元の食材や添加物などを含まない食品にこだわったタコスやブリトーなどが手軽に楽しめるということで、近年特に人気が高まっている。

Picture of a sign with the logo of Chipotle taken on their local restaurant in downtown Toronto. Chipotle Mexican Grill an American chain of fast food restaurants specializing in tacos and burritos.

チポトレは、モバイルオーダー導入により、2019年第3四半期にはチェーン全体の収益を昨年同期比で15%近く増加させた。デジタル経由の売上は約87.9%増加し、四半期の売上の18.3%を占めているという。

ChipotleのCEOであるブライアン氏は、「テクノロジーを活用し顧客が注文しやすい環境を作ることは、良い結果をもたらす。初めて店を利用をする、または時々しか利用しないといった顧客は、列に並ぶよりアプリ経由の方が楽だと感じる人も多い」とメディアのインタビューで語っている。

このような既存のチェーンでもモバイルオーダーの活用によってまだ伸ばせるポテンシャルがある。特にァーストフード店の利用者は、素早く手軽に食事を摂りたい人が多い。チポトレはそういった顧客のニーズをしっかりと汲み取り、見込み客や新規顧客ができるだけ気軽に注文ができる環境を整え売上を増加させた。

自社アプリかサードパーティか、の課題

NRAの調査では、消費者の56%が店舗のウェブサイト経由で注文をするが、そのうち配送サービスを提供している店舗はわずか45%、仮に配送サービスを提供していたとしても、約60%の消費者はサードパーティを好んで利用しているという結果を発表している。そのため、米国では自社でモバイルオーダーを導入し、併用してサードパーティとパートナーシップを組むケースが増加している。

サードパーティの活用はシステム料が発生するため、飲食店の規模によっては難しい場合もあるが、米国ではこの戦略がもっとも現実的で実行可能な解決策とみており、「マクドナルド」などの大手チェーン店はすでにこの戦略を実施している。米国の「アウトバックステーキハウス」や「ピザハット」といった大手チェーンも今年からこの手法を開始しており、このケースは今後も拡大されていくと予想される。

この傾向は日本でも同様に起こっており、サードパーティを活用しつつ自社のブランド力や飲食体験を強化していくことが、これからは必要になってくるのではないだろうか。

モバイルオーダー導入の壁

モバイルオーダーの導入は、消費者側からすれば簡単なものに見えるかもしれない。しかし、これまでインターネットでサービスを実装してきていない店舗にとっては、その導入にはさまざまなハードルがあるのが悩みどころだ。これは米国だけでなく日本も同様だ。

特に我が国では、長らく使用されてきた既存POSシステムとの連携の壁も高いため、モバイルオーダーへ早急に切り替えを行うことは難しい。とはいえ、消費者と時代が求めるサービスをスピート感をもってどれだけ実現できるかどうか。これが飲食店の今後の明暗を分ける可能性は十分にありえるだろう。

 

文=佐々木久枝
編集=Showcase Gig

 

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