2019.06.25

小売店向け

レジなし小型店舗「NanoStore」が”無人コンビニ”を再定義する

小売業界の人手不足に対応するため、AIを活用したレジなし店舗に注目が集まっている。日本でも「Amazon Go」「Take Go」「BingoBox」といったレジなしコンビニは有名だ。この分野における開発は近年世界中でおこなわれているが、その中でも話題となったのが、2019年の米国最大のリテールテック展示会−National Retail Federation (NRF) で展示された、レジなし小型店舗「NanoStore(ナノストア)」である。

米国有名スタートアップが開発「NanoStore」

AiFi」は、米カリフォルニア州サンタクララを拠点とするスタートアップ企業だ。2016年に元Amazonのエンジニアによって設立され、レジなし店舗の自動化システムを開発し、注目を集めている。その技術を活用して新しく開発されたNanoStoreは24時間365日稼働可能なレジの無いコンテナ型コンビニだ。

NRFに展示されたNanoStore(出典:AiFi)

NRFに展示されたNanoStore(出典:AiFi)

NanoStoreの利用方法

1:顧客は、NanoStoreの入り口の端末にクレジットカードをスワイプするか、専用アプリをかざすことで店舗を解錠、入店が可能となる。

2:店内に入ったら、顧客はそのまま好きな商品を手に取る。客の動きが追跡できる物体検出アルゴリズムを搭載したカメラや、顔認識、コンピュータービジョン技術を駆使することで、顧客の動きをトラッキングし記録。ほぼリアルタイムで顧客の購入する商品名と価格を自動的に取得する。

3:店内の出口付近に設置された端末に、カートの中身(顧客が手に持っている商品)と消費税が表示され、領収書が発行される。

4:顧客はそのまま商品を持って店舗外に出れば、支払いが完了する。

特徴:汎用性が高いミニマムなデザイン

わずか4.5坪ほどのミニマム設計

NanoStoreは、10畳にも満たない、わずか4.5坪ほどの超ミニマムな設計だ。例えば日本の駅のホームでもよく見かけるウォークイン型のコンビニも、坪数も4〜6坪ほどが多い。しかし、従業員のスペースやレジカウンターがない分、実際の売り場面積を増やすことが可能だ。レジを無くし、無人化にすることで敷地面積に対する売り場面積を増やすことが可能だ。

このような無人コンビニの場合、同時入店できる人数は1〜3人と限られることが多いが、NanoStoreは同時入店できる人数は10名ほどだという。店内が混雑しても、AiFiの画像認識アルゴリズムにより顧客全員の購買行動を同時に認識できる。

設置の自由度の高さとラストワンマイルへの貢献

ミニマムなデザインはあらゆる場所に適応可能だ。駅や空港などの公共交通機関内での店舗、オフィス、学校、駐車場、マーケット、ブランドのポップストアとしての使い方などNanoStoreが活用できる場は多様にあり、24時間年中無休営業も期間限定のみの定期的な営業も自由自在に展開できる。

同社はNanoStoresのパイロット版として、スイスに拠点を置く「Valora」やフランスの小売大手である「Carrefour」と協業しており、ポーランドの大手コンビニエンストアチェーン「Zabka」は導入を発表している。

出典:AiFi

特徴:ブランド特化ができるカスタマイズ性

オールインワンで組み込まれたモジュールで再構成や交換が可能

店舗はセンサーフュージョンとコンピュータビジョンによるカメラネットワーク、店舗備品や冷蔵設備などが、オールインワンで組み込まれたモジュール式で構成されている。設置場所や各ブランドのニーズに応じて、これら機能の再構成や交換が可能となっている。

オーナーの好きなデザインにカスタマイズ可能

NanoStoreに設置されている組み立て式の設備や冷蔵設備などはブランド化されていないため、店舗オーナーが好きなデザインにカスタマイズし、オリジナルの看板やロゴなどを追加することができる。また、AiFiのアプリSDKを使用すれば、自社アプリへのQRコード支払い組み込みも可能だという。

既存店舗が低コストで実現できるレジなし店舗

AiFi共同創設者兼CEOのGu氏は、「NanoStoreのコンセプトは、自動販売機とコンビニエンスストアの間のニッチな市場を埋めるものだ」と語っており、500種類以上の商品を入れることができる出荷用コンテナに組み込まれたNanoStoreであれば、また既存店のオーナーはコストを最小限に抑え、より簡単に無人のレジなし店舗を作ることが可能となる。同社によれば、導入コストは1年間の運用で回収できるという。

テックカンパニーが「自社のコンビニブランド」を一から開発するのはかなり難易度が高い。Amazonのような大企業であれば、Amazon Goのように、開発から店舗の運営までの全てを担うこともできるが、そうでないスタートアップの場合、難しいだろう。実際、中国でもBingo Boxの登場後、特に無人コンビニが次々に生まれ、一時的な話題性はもちろんあったが、さまざまな問題で結局閉鎖しているものも実は多い。

中国のベンチャー「Zhongshan BingoBox technology Co.(中山市賓哥網絡科技)」が開発した無人コンビニ「BingoBox」

その点において、AiFiの「自社のコンビニブランドは作らず、既存店舗がオーナーシップや既存のブランド力、ノウハウを活かしつつ、モジュールを組み合わせながらレジなし店舗を作らせる」という考え方は新しく、今後のスケールに期待が大きいといえるだろう。

文=佐々木久枝
編集=Showcase Gig

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