
コロナ禍で定着の気配見せるBOPIS、BORIS、BOPAC。いま知っておきたいリテール用語解説
2022.05.17
小売店向け
2021.11.02
小売店向け
今勢いを増す「推し活」関連市場。そもそもどのような活動を指すのか?具体的に実践している企業の取り組みは?日本国内でみられる動向から、その可能性を探る。
「推し活」とは、ファンがアイドルの未来に主体的に関わるイベントとともに登場した、新しい応援の概念だ。今ではアイドルのみならず、著名人やアニメをはじめ多様なカテゴリに対象が広がっている。
そういった活動をする人々は、お金を使うことで「推し」の対象に自分の気持ちを伝えるということにとどまらず「推し」の生活や今後の活動を支えるための行為と認識する人も多く、投資を惜しまないケースも多々見られる。
結果として「推し」本人のみならず、レコード会社やコンサート運営会社、グッズ制作会社、さらには鉄道会社や航空会社やホテルの売上に繋がっている。矢野経済研究所が2020年12月に発表した調査によると、その経済効果は6000億円以上に及ぶという。
この数値は2019年と比較するとやや下降傾向にあるが、主にコロナの影響でオフラインイベントやアニメコンテンツが中止・延期となったことが原因だ。
では需要も衰退しているかというと、そうとは言えない。マーケティング・リサーチ会社のクロス・マーケティングが2020年11月に行なった「「推し」に関する調査」によると、新型コロナ拡大後に、新たに「推し」始めたものがある人は約2割、20代では4割を超えたという。
出典:株式会社クロス・マーケティング『「推し」に関する調査』
コロナの影響で外出を伴う活動に制限がかかる中、オンラインライブや双方向コミュニケーションの場となるSNSやおうち時間でもグッズ購入が可能なECの活用が「推し活」の拡大を後押しした。消費者も“お金の使い道”を探しているのだ。
さて、ここで「推し活」の対象になる行為はなにかをあらためて考えたい。
まずわかりやすいのがイベントへの参加やグッズ購入だ。推す対象の各活動をチェックし、成長していく姿を見守る。
さらに「推し活」はそれ以外にもあらゆるかたちで広がりを見せている。
憧れの気持ちからメイクやコーディネートに推しのエッセンスを取り入れたり、創作したグッズを身につけたり。世界観を楽しむべく二次創作を行うケースも見られる。メイクした自分の姿をSNSにアップするといった行為を通して、推しへの愛を実感するとともに、友人にシェアすることで共感を集める。情報共有することでオタク仲間も増え、そこに帰属することにアイデンティティをも感じるようになる。そういった推し活を続けることで“推しがいるから頑張れる”充実した日々へとつなげていくのだ。
もちろん推し活だけに生活すべてを費やしている人ばかりではないが、このように推しの存在を中心としたあらゆる消費活動への影響が拡大している。
これまではネガティブな意味合いで捉えられることもあった“オタク”というキーワードも今では「トレンドに敏感である」「センスがある」といった印象に変わりつつあるのだ。
では「ニューノーマル時代の消費トレンドにあわせた新しい打ち出し」とはどのようなものか?推し活需要の流れをうまくキャッチした展開を見せている企業の事例を紹介する。
出典:サンリオオンラインショップ
「推し」文脈を効果的に取り入れることでブランド自体の人気を高めているのがSanrioだ。多様な特徴を持つサンリオキャラクターをモチーフに、カラーバリエーションが豊富なグッズを展開しており、公式オンラインショップでも「#推しのいる生活」というテーマのもと、“推しキャラ”や“推し色”で各グッズへの導線を設けている。
売れ行きも好調で、2021年5月時点での累計出荷数は220万個を突破、出荷上代は16億円を突破する人気ぶりを見せている。
またWEBやサンリオショップなどからの投票数により順位を決定する「サンリオキャラクター大賞」の2021年大会では「サンリオ推しキャラコーデ Instagram投稿キャンペーン」を実施。推しのキャラクターグッズを身につけて撮影したファンの姿が多数投稿された。
出典:TOWER RECORDS 公式HP
一方、特定の“推し”の存在をもたない企業でも汎用性の高いグッズに落とし込むケースもみられる。たとえばTOWER RECORDSでは「推し活が捗る便利グッズ」として写真や切り抜きを収納できる「推し活お守り」やCDやスマホに使える「CDスタンド」、透明で中身が見える「アクスタ(※)ケース」などを販売している。
※アクスタとは、アクリルスタンドの略。画像はTOWER RECORDSにて販売しているアニメ『五等分の花嫁』の「描き下ろしイラスト ギター演奏ver. BIGアクリルスタンド」
ここまでの例に共通して見られるのが、気軽に身に付けられること・豊富なカラーバリエーション・名入れができる・高いカスタマイズ性、といった要素だ。
特に、持ち歩きができる工夫が施されているなど機能性が高いもの、オリジナリティがありながらも可愛さやお洒落さで他人に見せても恥ずかしくないデザインに仕上がっているものが支持される傾向が見受けられる。
出典:カラオケ パセラ 公式HP
推し文化を取り入れているのは物販だけではない。
カラオケ店のパセラで今人気なのが“歌わない”プランだ。アニメ・ライブの観賞会やオフ会、推し会・ファンの集会といったパーティルームとして利用されている。
ドリンクや名物ハニートーストも“推し色”が選べるようカラーバリエーション豊富に展開。さらに、無料ペンライトの貸し出しや自分の推しが登場した際に押せる「尊いボタン」の設置など、場を盛り上げるコンテンツが用意されている。
バナナの神様 荻窪店(出典:バナナの神様 公式HP)
推し文脈でエンタメ性の高い飲食店を実現しているのが「バナナの神様」だ。1本1000円のバナナを使用した高級スムージーを販売する同店は、スタッフのアイドル化と物販による飲食業態の新たな収益モデルを実践している。
「バナナの神様」に立つのは、コロナ禍で働く場所を失ったダンサー出身の「Banana Angels」と呼ばれるスタッフだ。
Banana Angels(出典:バナナの神様 公式HP)
客は単にスムージーを買いに来るのではなく、“推しスタッフ”を求めて足を運ぶ。店頭ではスタッフのパフォーマンスが楽しめるだけでなく、チェキ撮影ができたり、スタッフが着用するものと同じTシャツなどのグッズも購入できる。
さらに、スタッフ考案メニューでの総選挙を行い、優勝者には原宿マイナビビジョンで放映されるCMの出演権が与えられるという企画を実施。推しのスタッフを応援するファンたちがドリンクをリピートして購入するという構図ができあがった。そのほか、サマーランドやキッチンカーなど常設店舗を飛び出したイベントも行われている。
コロナを経て大きく変わった消費行動。制限解除も進みついにニューノーマル時代を迎える今こそ、企業側は消費回復へ向けて目まぐるしく変化するトレンドを見定め、素早い決断と実行力で新たな打ち手を世に放つことが求められる。
「DIG-IN」を運営する株式会社Showcase Gigは、飲食店/小売業態向けにモバイルオーダープラットフォーム「O:der Platform」を軸とした次世代店舗のご提案を行っています。
・モバイルオーダーを導入して業務改善を図りたい
・デジタルを活用した次世代店舗をはじめたい
・新しい消費体験の創出をかなえる業態開発に取り組みたい
・多店舗展開に耐えうる開発体制があるプラットフォームを探している
・全社的なDXを推進するにあたりSaaSを検討している
など、まずはお気軽にご相談ください。
関連記事
コロナ禍で定着の気配見せるBOPIS、BORIS、BOPAC。いま知っておきたいリテール用語解説
2022.05.17
小売店向け
GMS業界が直面するコロナ不況。最大手・イオンリテールの対応策に見る“視点の変化”
2022.04.11
新型コロナ対策
小売店向け
「価値」から「目的」へ。変わる消費志向から考える、新時代のtoCビジネスのあり方
2022.03.28
飲食店向け
小売店向け
コンビニ業界が目指す“変化への適応”。各社の取り組みから見えてきたもの
2022.03.14
新型コロナ対策
小売店向け
浸透するカスタマイズ/パーソナライズ。Z世代の消費志向から考える“体験”のあり方
2022.02.21
飲食店向け
小売店向け
GODIVAが取り組むDXの現在地。モバイルオーダー導入で見据えるwithコロナ時代の生存戦略は
2022.02.01
新型コロナ対策
インタビュー
小売店向け
迫るバレンタインシーズン。withコロナ時代に勝ち残る小売店となるためには
2022.01.26
新型コロナ対策
飲食店向け
小売店向け
モバイルオーダー専門店「The Label Fruit」に見る、“魅せる”ロッカーの仕掛けとは
2021.12.15
新型コロナ対策
飲食店向け
小売店向け
増える国内BOPIS事例。ユニクロのOMO施策に見る、ニューノーマル時代の生き方とは
2021.12.06
新型コロナ対策
小売店向け
国内小売業で加速するBOPISの導入。コロナ禍で進む店舗デジタル化は、OMO浸透の契機となるか
2021.09.29
新型コロナ対策
小売店向け