2021.11.02

小売店向け

物販だけじゃない。“推し活”に見る消費行動の傾向と各企業の事例を調査

今勢いを増す「推し活」関連市場。そもそもどのような活動を指すのか?具体的に実践している企業の取り組みは?日本国内でみられる動向から、その可能性を探る。

日本における「推し活」状況

「推し活」とは、ファンがアイドルの未来に主体的に関わるイベントとともに登場した、新しい応援の概念だ。今ではアイドルのみならず、著名人やアニメをはじめ多様なカテゴリに対象が広がっている。

そういった活動をする人々は、お金を使うことで「推し」の対象に自分の気持ちを伝えるということにとどまらず「推し」の生活や今後の活動を支えるための行為と認識する人も多く、投資を惜しまないケースも多々見られる。

結果として「推し」本人のみならず、レコード会社やコンサート運営会社、グッズ制作会社、さらには鉄道会社や航空会社やホテルの売上に繋がっている。矢野経済研究所が2020年12月に発表した調査によると、その経済効果は6000億円以上に及ぶという。

この数値は2019年と比較するとやや下降傾向にあるが、主にコロナの影響でオフラインイベントやアニメコンテンツが中止・延期となったことが原因だ。

では需要も衰退しているかというと、そうとは言えない。マーケティング・リサーチ会社のクロス・マーケティングが2020年11月に行なった「「推し」に関する調査」によると、新型コロナ拡大後に、新たに「推し」始めたものがある人は約2割、20代では4割を超えたという。

出典:株式会社クロス・マーケティング『「推し」に関する調査』

コロナの影響で外出を伴う活動に制限がかかる中、オンラインライブや双方向コミュニケーションの場となるSNSやおうち時間でもグッズ購入が可能なECの活用が「推し活」の拡大を後押しした。消費者も“お金の使い道”を探しているのだ。

 

消費者の活動に大きな影響を与える「推し活」

さて、ここで「推し活」の対象になる行為はなにかをあらためて考えたい。

まずわかりやすいのがイベントへの参加やグッズ購入だ。推す対象の各活動をチェックし、成長していく姿を見守る。

さらに「推し活」はそれ以外にもあらゆるかたちで広がりを見せている。

憧れの気持ちからメイクやコーディネートに推しのエッセンスを取り入れたり、創作したグッズを身につけたり。世界観を楽しむべく二次創作を行うケースも見られる。メイクした自分の姿をSNSにアップするといった行為を通して、推しへの愛を実感するとともに、友人にシェアすることで共感を集める。情報共有することでオタク仲間も増え、そこに帰属することにアイデンティティをも感じるようになる。そういった推し活を続けることで“推しがいるから頑張れる”充実した日々へとつなげていくのだ。

もちろん推し活だけに生活すべてを費やしている人ばかりではないが、このように推しの存在を中心としたあらゆる消費活動への影響が拡大している。

これまではネガティブな意味合いで捉えられることもあった“オタク”というキーワードも今では「トレンドに敏感である」「センスがある」といった印象に変わりつつあるのだ。

では「ニューノーマル時代の消費トレンドにあわせた新しい打ち出し」とはどのようなものか?推し活需要の流れをうまくキャッチした展開を見せている企業の事例を紹介する。

 

各企業が実践する施策例

Sanrio

出典:サンリオオンラインショップ

「推し」文脈を効果的に取り入れることでブランド自体の人気を高めているのがSanrioだ。多様な特徴を持つサンリオキャラクターをモチーフに、カラーバリエーションが豊富なグッズを展開しており、公式オンラインショップでも「#推しのいる生活」というテーマのもと、“推しキャラ”や“推し色”で各グッズへの導線を設けている。

売れ行きも好調で、2021年5月時点での累計出荷数は220万個を突破、出荷上代は16億円を突破する人気ぶりを見せている。

またWEBやサンリオショップなどからの投票数により順位を決定する「サンリオキャラクター大賞」の2021年大会では「サンリオ推しキャラコーデ Instagram投稿キャンペーン」を実施。推しのキャラクターグッズを身につけて撮影したファンの姿が多数投稿された。

TOWER RECORDS

出典:TOWER RECORDS 公式HP

一方、特定の“推し”の存在をもたない企業でも汎用性の高いグッズに落とし込むケースもみられる。たとえばTOWER RECORDSでは「推し活が捗る便利グッズ」として写真や切り抜きを収納できる「推し活お守り」やCDやスマホに使える「CDスタンド」、透明で中身が見える「アクスタ(※)ケース」などを販売している。

※アクスタとは、アクリルスタンドの略。画像はTOWER RECORDSにて販売しているアニメ『五等分の花嫁』の「描き下ろしイラスト ギター演奏ver. BIGアクリルスタンド」

ここまでの例に共通して見られるのが、気軽に身に付けられること・豊富なカラーバリエーション・名入れができる・高いカスタマイズ性、といった要素だ。

特に、持ち歩きができる工夫が施されているなど機能性が高いもの、オリジナリティがありながらも可愛さやお洒落さで他人に見せても恥ずかしくないデザインに仕上がっているものが支持される傾向が見受けられる。

カラオケ パセラ

出典:カラオケ パセラ 公式HP

推し文化を取り入れているのは物販だけではない。

カラオケ店のパセラで今人気なのが“歌わない”プランだ。アニメ・ライブの観賞会やオフ会、推し会・ファンの集会といったパーティルームとして利用されている。

ドリンクや名物ハニートーストも“推し色”が選べるようカラーバリエーション豊富に展開。さらに、無料ペンライトの貸し出しや自分の推しが登場した際に押せる「尊いボタン」の設置など、場を盛り上げるコンテンツが用意されている。

バナナの神様

バナナの神様 荻窪店(出典:バナナの神様 公式HP)

推し文脈でエンタメ性の高い飲食店を実現しているのが「バナナの神様」だ。1本1000円のバナナを使用した高級スムージーを販売する同店は、スタッフのアイドル化と物販による飲食業態の新たな収益モデルを実践している。

「バナナの神様」に立つのは、コロナ禍で働く場所を失ったダンサー出身の「Banana Angels」と呼ばれるスタッフだ。

Banana Angels(出典:バナナの神様 公式HP)

客は単にスムージーを買いに来るのではなく、“推しスタッフ”を求めて足を運ぶ。店頭ではスタッフのパフォーマンスが楽しめるだけでなく、チェキ撮影ができたり、スタッフが着用するものと同じTシャツなどのグッズも購入できる。

さらに、スタッフ考案メニューでの総選挙を行い、優勝者には原宿マイナビビジョンで放映されるCMの出演権が与えられるという企画を実施。推しのスタッフを応援するファンたちがドリンクをリピートして購入するという構図ができあがった。そのほか、サマーランドやキッチンカーなど常設店舗を飛び出したイベントも行われている。

まとめ

コロナを経て大きく変わった消費行動。制限解除も進みついにニューノーマル時代を迎える今こそ、企業側は消費回復へ向けて目まぐるしく変化するトレンドを見定め、素早い決断と実行力で新たな打ち手を世に放つことが求められる。

 

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