飲食店向け

2019.07.11

2019年新トレンド”ポータグルメ”とは?軽減税率で変わる食事スタイル

2019年注目のトレンドキーワードがある。ポータグルメという言葉だ。ポータグルメとは、いったいどのような意味なのか。概要や市場の動向、事例を掘り下げる。

ポータグルメとは

ポータグルメとは、携帯可能を意味する「ポータブル(Portable)」と、食文化への造詣を示す「グルメ(Gourmet)」の、2つの言葉が組み合わさった造語。「持ち運びできる食」を指して使われる、まだ新しい言葉だ。

2018年12月、株式会社リクルートホールディングス(以下、リクルート)が発表する「2019年のトレンド予測キーワード」に選ばれ、注目度を増した。この言葉が生まれ、定着に向かう背景には、消費者を取り巻くライフスタイルや社会の変化があるという。

なぜいま「ポータグルメ」なのか

コスト重視からタイム重視へ。移る消費者の嗜好

近年、消費者の購買傾向は、コストパフォーマンス重視からタイムパフォーマンス重視へ移りつつあると言われている。

単身・核家族世帯の増加にともなって、世帯あたりの労働者割合は高まり、家事・育児との両立など、家庭内で個人が担わなければならない役割も増えてきた。一方で、政府の掲げる「働き方改革」はまだ過渡期とも言える状況で、長時間労働によって可処分時間が少なくなるケースも珍しくない。

また、2012年以降、継続的な回復を見せる景気の動向も、消費者の嗜好に影響を与えていると考えられる。2018年末にリクルートが実施した、暮らしと食生活に関するアンケートでは、食に使えるお金よりも時間の方に不足を感じるという声が大きかった。

こうした世相が反映された結果、消費者のタイムパフォーマンス重視が進んだと見られる。「可処分所得で可処分時間を買う」というような購買行動もよく耳にする。ポータグルメのトレンド化もその一端だと言えるだろう。

中食市場の拡大

消費者の購買傾向に合わせ、市場も変化を見せる。

ポータグルメと関わりの深い中食の市場は、2007年から2016年までの10年間で、23.8%も成長した。同期間、ほぼ横ばいの堅調な伸びにとどまった外食市場と比較して、この数字は際立つ。

2017年には、初めて市場規模10兆円を突破。2018年も約2,000億円の拡大を見せるなど、食市場の変革を予感させるものとなっている。

中食市場拡大の流れは、今後さらに顕著になっていくという見方もある。2019年10月の消費増税にともなって始まる軽減税率制度が、追い風になると考えられているためだ。

同制度では、外食が10%に増税される一方で、中食については増税が据え置かれる。外食需要の冷え込みと同時に、中食へのシフトが起こるのではないかと目されている。ポータグルメがいま注目される理由は、この点にもある。

外食産業の中食化と業務代行サービスの登場

このような予測を受け、外食産業は中食化で生き残りを狙う。従来の店舗内での提供に加え、テイクアウトやデリバリーの業態をとる事業者が増えてきた。

しかし、飲食店にとっては、リソースの確保など、難しい面もある。最近では、そうした店舗側の課題を解決する中間業務代行サービスも登場している。モバイルオーダーや配達代行はその一例だ。

スマートフォンアプリから事前注文するモバイルオーダーを活用すれば、店舗は応対などに人員を割く必要がない。また、「Uber Eats」に代表される配達代行を活用すれば、デリバリーサービスのアウトソースも可能だ。

これらのサービスは、店舗側だけでなく、消費者にも恩恵をもたらす。テイクアウトを最小限の待ち時間で利用できるうえ、デリバリーでは足を運ぶことなく、お店の味が楽しめる。消費者のタイムパフォーマンス重視のニーズがまるごと満たされる寸法だ。ポータグルメの浸透にあたり、欠かせない存在となっていくだろう。

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「ポータグルメ」の事例

『O:der』活用のテイクアウトシステムを導入した串カツ田中

2019年3月、株式会社串カツ田中ホールディングス(以下、串カツ田中)は、ロードサイドのモデル店舗となる「串カツ田中 前橋三俣店」をオープンした。

同店舗では、Showcase Gigの開発したモバイルオーダーシステム「O:der」を初導入した。スマートフォンアプリから事前に注文と決済を済ませてもらうことで、新しいテイクアウト体験を可能にした。

消費者は、最小限の待ち時間でお店の外でも串カツ田中の味が楽しめる。このケースは、テイクアウトにおけるポータグルメのモデルケースとなっていくだろう。

串カツ田中は、店舗の業務効率化にも効果を見込んでいる。オペレーション負担が軽減に向かえば、行列を理由とした販売機会損失の回避、調理・接客の品質や回転率の向上といったメリットも考えられるという。

また、O:derでは、注文や決済の代行のほか、スタンプカードの発行と押印も自動化している。満了となれば、アプリ上でクーポンが配布される仕組みだ。ポータグルメがトレンドとなっていく時代。モバイルオーダーシステムにかかる期待は大きい。

モバイルオーダーサービス「O:der」

スシローは『出前館』活用でデリバリーへ乗り出す

一方、デリバリーの分野にもモデルケースとなる事例がある。

2019年5月、株式会社スシローグローバルホールディングスは、展開する回転寿司チェーン「スシロー」において、デリバリーサービスを一部店舗で開始した。

同サービスは、宅配ポータルサイト「出前館」が提供する「シェアリングデリバリー」を活用したもの。出前館と連携する配達機能を、加盟店同士でシェアすることによって、配達リソースを持たない店舗でもデリバリーが可能となる仕組みだ。

2019年6月時点では、関東・近畿の一部店舗のみの提供となるが、同社は、今後順次拡大を目指すという。

出典:夢の街創造委員会株式会社

インターネットが浸透した昨今、デリバリーオーダーの中心は、オンライン注文となっている。2018年5月から2019年4月までの1年間に、出前館を通じておこなわれたオーダーはおよそ2,700万件。前年同期と比較して28%も伸長した。

そのような時代にあって、オンライン注文から配達代行までを一手に担う出前館のサービスは、ポータグルメを代表するものであると言える。近い将来、このようなデリバリーシステムが当たり前のものになっていくのかもしれない。

ポータグルメは増税を控える外食産業を救えるか

軽減税率制度の開始もあり、今後も中食を巡る動きは活発化が予想される。タイムパフォーマンス重視の傾向を見せる消費者のニーズが、「利便性×おいしさ」を掲げるポータグルメに向かうのは、言わば必然とも言えるだろう。中食の市場、ひいてはポータグルメの市場が、今後、これまで以上に拡大していくはずだ。

そのような市場の動向を反映するように、外食産業の中食化も勢いを増すに違いない。ポータグルメをいかにして自社商品に取り込むか。この点が外食産業生き残りの分岐点となる。

消費増税を追い風に。トレンドキーワード「ポータグルメ」に注目が集まっている。

文=結木千尋
編集=Showcase Gig

 

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