
収束迫るコロナ禍。日本の飲食店が取り組むべきデジタル活用、次なる一手は
2022.05.30
新型コロナ対策
飲食店向け
2019.07.26
飲食店向け
世界のマクドナルド、スタバ、KFCを生んだ米国では、あらゆるレストラン・テクノロジーが日々開発され、イノベーションを起こしている。昨今、店舗を省人化する目的で、調理からデジタル化するシステム開発がサンフランシスコのスタートアップを中心に活発に行われているようだ。これらが、DIG-INでも度々紹介している「モバイルオーダー&ペイ」と組み合わせて、新しい店舗体験を生み出している。今回はその中でも注目のオートメーション化レストランを紹介していく。
米・カリフォルニア州のサニーベールで2015年に設立されたスタートアップBlendid社。同社が開発したのが、スムージーキオスクの「Blendid」だ。アームロボットがスムージーを提供するというBlendidは、スムージーの基本メニューをもとに、顧客がアプリで自由にカスタマイズし、オリジナルのスムージーが作れるというもの。
基本のメニューには新鮮で健康的な食品を採用。ラインナップされているメニューには、ブルーベリー、バナナ、マンゴーといったお馴染みのフルーツに加え、カカオ、チア、ケール、ココナッツなどが揃っており、その日の気分に合わせて自由にスムージーの味が選べる。出来上がったスムージーは、たった3分でブレンド完了、顧客に提供される。
注文は、Blendidアプリ、またはキオスクに備え付けられたタブレット端末からで行う。価格は1杯12オンスの量で、一律6ドル(約640円)。
注目したい点として、ユーザに応じたパーソナライズ注文があるが、スムージーのメニューにはそれぞれの食品量が表示されており、例えば、甘めは苦手だからマンゴーを少なめ、野菜が足りてないからケールを多め、というようにユーザー自身で分量が調整できる。
このマシン構築にはおよそ7万ドル(約760万円)かかるというが、大手事業者と連携することでフランチャイズやパートナーは少ない投資で構築が可能、消費者へは低価格のままで商品の提供ができるとしている。
現在、サンフランシスコ大学のキャンパスにあるMarket Cafeで正式オープンしており、今後は、企業の食堂や大学、医療関連の施設、空港などに展開していく予定。同社は、このスムージーロボットを皮切りに他の食品の提供も展開していきたいと語っている。
2012年に設立されたスタートアップCreator社が、8年という構想期間を得て開発したロボットハンバーガー「Creator」。創設者であるアレックス氏の両親がバーガー店を営んでおり、毎日何百個ものバーガーをひっくり返すのに嫌気がさしたことから、このロボットの構想が始まったという。これまでにも調理過程の一部をロボットが担うことはあったが、ハンバーガーを作る全工程をロボットがおこなうというのは、世界初となる。
調理過程が見える透明なロボットは、全長およそ4メートル。タブレット端末で注文を行い、顧客のリクエストに応じて、材料の量を調整することができる。注文が送信されると、ロボットが自動で調理を始める。バターを塗ったり、野菜をカットするといった工程も注文後となるため、鮮度も高い。調理時間は10分ほど。
出来上がったら、スタッフが機械から商品を取り出し提供。スタッフの業務として、片付けや材料の補充、機械に不具合が生じた際の対応などもある。価格は6ドル〜と低価格でありながらも、食材は高品質のオーガニックを使用。抗生物質とホルモンの含まない牛肉にローカルの有機野菜を使用し、調味料は12種類。5種類のチーズから2種類が選べ、15種類のソースが揃っている。このようなサービスが実現するのも、ロボットがメインで仕事をすることにより、人件費が削減できるからだという。
フードサービスロボットの開発に向けたベンチャーファンディングで500万ドルを調達したChowbotics社。同社が、カスタマイズ可能なサラダ自販機「Sally」を開発した。Sallyは、自販機に取り付けられたタッチパネルで、1000種類以上のオリジナルサラダを作ることができる。
Sallyの中には、20種類の具材が入ったキャニスター(筒状の容器)が組み込まれており、ユーザー自身で好きな具材を好きな量だけ入れることが可能。タッチパネルで注文を開始すると、お皿のイメージが表示され、そこに好きなトッピングを加えていく。サラダといっても、その種類は豊富でグリーン系の葉物の他にも、豆やチキン、穀物やナッツ類、シリアルやヨーグルトなどが選べる。ユーザーがカスタマイズして完成したサラダは、厳密に計量され、カロリーなども正確に知ることができるという。
肥満や健康を特に気にする米国人には、ランチはサラダだけという人も多い。しかし、リーズナブルな惣菜店なども少なく、毎日同じようなサラダを自宅で詰めて職場に持参する人も多い。そういった需要を満たしてくれるサービスになりそうだ。Sallyは病院、カフェテリア、ホテル、空港、ショッピングモールなどのフードコートなどに設置可能であり、もちろん24時間の運営が可能なため、お客だけでなく、そこで働く従業員にも手軽に健康的な食事の提供ができる。
試験運用として、米国のレストランやコワーキングスペース、社内カフェテリアでの実施がすでに決定している。
世界のマクドナルド、KFC、スタバを生んだアメリカは、レストランテックにイノベーションを起こし、世界の様相を変えてきた。昨今、健康思考の高まりで、時間がなくてもヘルシーで新鮮なものを美味しく食べたいというニーズは確実に増えてきている。なおかつフードテックであれば、それらがスピーディに提供されるのだ。あらゆるスタートアップが集まるサンフランシスコ。今この瞬間にも、また新たなライフスタイルが産声を上げているのかもしれない。
文=佐々木久枝
編集=Showcase Gig
関連記事
収束迫るコロナ禍。日本の飲食店が取り組むべきデジタル活用、次なる一手は
2022.05.30
新型コロナ対策
飲食店向け
モバイルオーダーサービスはどう選ぶ?押さえておきたい4つの比較・検討基準
2022.04.25
飲食店向け
「価値」から「目的」へ。変わる消費志向から考える、新時代のtoCビジネスのあり方
2022.03.28
飲食店向け
小売店向け
浸透するカスタマイズ/パーソナライズ。Z世代の消費志向から考える“体験”のあり方
2022.02.21
飲食店向け
小売店向け
迫るバレンタインシーズン。withコロナ時代に勝ち残る小売店となるためには
2022.01.26
新型コロナ対策
飲食店向け
小売店向け
中国で進化するデリバリーのかたち。その「今」から日本が学ぶべきポイントとは
2022.01.05
新型コロナ対策
飲食店向け
復調の観光産業に新たな課題。ホテル・旅館業界はDXで人手不足の解消へ
2021.12.27
新型コロナ対策
飲食店向け
モバイルオーダー専門店「The Label Fruit」に見る、“魅せる”ロッカーの仕掛けとは
2021.12.15
新型コロナ対策
飲食店向け
小売店向け
デリバリー専用ロッカーはなぜ中国で普及した?飲食DXの可能性に迫る
2021.11.22
新型コロナ対策
飲食店向け
日本のフードデリバリーはどうなる?「銀のさら」が見据える未来
2021.10.19
インタビュー
飲食店向け