2021.08.16

インタビュー

飲食店向け

コロナの先を見据えた飲食店運営とは?RIDEが利益を最大化させた方法

コロナの到来により転換期を迎えた飲食業界で、実店舗の外にあるビジネス――「オフ・プレミス」が注目を集めている。テイクアウトやデリバリー、ECといった業態で成功を掴むために、飲食店には何が求められるのか。 本特集では2回にわたり、「5年後にあるべき飲食店の姿とは?」をテーマとしたセッションの模様をお届け。前編となる今回は、内容を編集し株式会社バルニバービウィルワークス 取締役 山口 翼氏のトーク内容をピックアップする。

※この記事は、2021年6月30日に行なわれた外食・飲食業界専門展示会「焼肉ビジネスフェア」「居酒屋JAPAN」内で実施された特別セミナーの内容を元に構成しております。同セミナーには、俺の株式会社 専務執行役員の山田 真輔氏、株式会社バルニバービウィルワークス 取締役の山口 翼氏をスピーカーとしてお招きし、モデレータはShowcase Gig代表の新田 剛史がつとめました。

登壇者プロフィール
山口 翼(株式会社バルニバービウィルワークス 取締役)
株式会社オリエンタルランドへ入社後、テーマパーク内のレストランにて8年勤務。その後、株式会社バルニバービへ入社。以降、「GOOD MORNING CAFE」「GARB」で2年勤務し店長に就任。
2019年8月より、株式会社バルニバービウィルワークスの取締役に就任。東京・天王洲のオーシャンスタイルレストラン「RIDE」の店長も務める。

【株式会社バルニバービについて】
1991年設立、「美味しいものをより楽しく、より健康に、より安く」をコンセプトに92店舗を運営。
街に合った店づくりにより、1店1店の個性が大きく異なる点が特徴。空間演出や時代に合わせたメニュー開発を強みとする。
店舗運営事業だけでなく、飲食店プロデュースやスイーツブランドなど、食に関わる他事業も展開。

コロナで変化したニーズの把握から着手。
既存の手法にとらわれないハイブリッド運営で売上を最大化へ

——緊急事態宣言から今まで、実際に取り組まれてきたことを教えていただけますか。

バルニバービグループは店舗ごとに地域に根ざしたお店作りを行なっている、いわゆる個人店舗運営のような体制が特徴です。店舗ごとのエリアやターゲットに合ったやり方を考えて運営しています。

緊急事態宣言が発令された時はグループ全体で店舗の8割ほどが休業を選択しましたが「RIDE」は空間自体も広く、店内の2倍にあたる広大なテラス席を有しています。換気の対策がしやすいことを踏まえ、営業時間は縮小しながらも運営を継続しました。

しかし、RIDEが位置するのは天王洲アイル駅付近。ターミナル駅でもなければ大型の住宅地というわけでもない立地的にやや特殊な場所です。集客面で工夫が必要だと考え、あらためてターゲットとなる方々の状況を調べるところから始めました。

まず目に留まったのが近隣のタワーマンションです。これまでは夜に3割程しかついていなかった部屋の灯りが、コロナを経て8〜9割に増えていることに気付きました。これまで天王洲以外で活動されることが多かった方々も、生活スタイルが変わり自宅で過ごされていたんです。

そのように当店をご利用いただける可能性が高い層を洗い出した上で、業者とタッグを組みRIDEで提供している野菜やパンなどを販売するレストランマルシェを行なったりと、追加で費用がかからない範囲で利益を最大化させる具体的なアクションに落とし込んでいきました。

レストランマルシェ。レストラン品質の生鮮食品やパスタ等をお得に試せると近隣住民中心に好評を博した

——ちなみに、店舗の自治に任せるスタイルを取られている貴グループですが、今後は少し方向を変えてグループ全体で連携していくと伺いました。これまでとの違いは?

はい。これからはグループの名前を出していく動きも行なっていく予定です。ただ、これまで通り自治に任せる体制も継続していきます。お店ごと様々な取り組みをしつつも、販促の社内連携は行なっていき、他店舗のお客様も集客できるチェーン店の良さと、そのお店ならではの工夫があるという個人店の良さを両立させていきたいと考えています。

「屋外=安心」という新常識をフル活用。
モバイルオーダーがそれを後押しする存在に

——「RIDE」の特徴でもあるテラス席は、コロナ禍の集客においてどのように働きましたか?

コロナで屋外が安心に繋がると認識されたことで、テラス席の利用はやはり増えました。

この屋外という安心感をどうもっと広めていくか、という点で様々なキャンペーンを取り入れ集客を行なったところ、昨対比を超える売上を達成することができたほどです。

——昨対比超えとは素晴らしいですね!2020年12月にモバイルオーダーも導入されていて、テラス席の運用に関連すると伺いました。背景を詳しくお聞かせいただけますか?

コロナ禍に適した新しい取り組みを模索していた側面もありますが、主なきっかけとなったのは、テラス席への来客が集中することでスタッフが足りない状況になったことですね。

キッチンは店内にありますので、テラス席へのご案内が増えるほどスタッフが往来する回数もかさみます。追加注文がないか、お困りのことはないかといったお客様の様子も定期的に見て回る必要があります。

増員する選択肢もありますが、教育コストがかかってしまう一方で、安定して回せるレベルの知識を習得してもらうまで一定の期間がかかります。現状のスタッフ数のままで店舗オペレーションを効率化させる手段を検討していました。

そこで人が対応していたことの一部をデジタルで補おうと試みたのが、モバイルオーダーです。

広大なテラス席は店内から見渡せず、既存のハンディの電波もなかなか飛ばないという課題がありました。それであれば、お客様に直接注文をいれて頂くモバイルオーダーという手段をとってみてはどうか?と。モバイルオーダーサービスのうち、POS連携ができるシステムを探していたところ「O:der Table」に出会ったんです。

検討する上で、お客様がスムーズに操作でき、体験として不自然な点がないことを重視していました。「O:der Table」を選んだ決め手は、その意味で直感的なUIと感じられたからです。

RIDEで使われるモバイルオーダーはShowcase Gig社の「O:der Table」が採用されています

——敷地が広かったり周囲の音が大きいお店である程、これまでの注文方法だと「すみませーん!」とお客様が声を張り上げなければなりません。特に若い世代ではここにストレスを感じていると言いますよね。

はい。モバイルオーダーの導入により、オペレーションの効率化とお客様のストレス軽減の両立につながっています。

RIDEでのモバイルオーダー活用について、くわしくはこちら
体験価値が高い“オンリーワン”のお店づくり。「RIDE」が見据える一歩先の運営とは

——今後、店舗づくりにおいて取り入れたいことは?

美味しい料理やよりよい体験の提供をしていく取り組みにプラスして「人」という価値をもっと出していきたいですね。働いている人ならではのキャラクターを出してもらったり、フレアバーテンダーがいるならショーをやる、ソムリエがいるなら出勤時間中はフルボトルも提供するなど、臨機応変に人を活かした工夫を店づくりに反映させていきたいです。

エンターテイメント性に富んだお店づくりを行なう上で、そこに時間をかけていくためにもモバイルオーダーのようなデジタル活用による仕組み化も進めていければと。

「RIDE」が見据える5年後にあるべき飲食店の姿

——エンターテイメント性を高めるということは、つまり付加価値の向上を目指されていると。5年後という時間軸で考えた時、どういう姿を目指しているのでしょうか?

飲食店が生き残るためにはサービスだけでは勝てません。美味しい料理を提供するのも当たり前の世界になっていきます。そこに付加価値としていかにエンターテイメント性を表現していけるかは考えるべき箇所になってくると思います。

接客をデジタル化して単純に機能的にするという考え方ではなく、効率化できた分を本当に重視するべきサービスへ時間を使い、きめ細やかなおもてなしやエンターテイメント性の高い体験を提供していく世界を目指すべきかと。

5年後はコロナの状況も改善しているでしょう。その時のために、デジタルとアナログの融合によるコミュニケーション活性化を進めていくことで、飲食店のあるべき姿に近づけるのではないかなと考えています。

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