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2019.04.01

スタジアムの混雑緩和へー国内外でイベント会場キャッシュレス化進む

キャッシュレス化はスポーツ観戦やコンサートショーなどスタジアムやイベント会場でも広がっている。特に人が多く待ち時間も長いイベント会場では、いかに会計時のミスや不正を防ぎ、スピーディーに購入へ繋げるかが大きな課題だ。

国内初、スタジアム完全キャッシュレス化

今年に入り楽天は、プロ野球チーム「東北楽天ゴールデンイーグルス」のホームスタジアムである楽天生命パーク宮城と、J1プロサッカーチーム「ヴィッセル神戸」のノエビアスタジアム神戸にて、完全キャッシュレス化の開始を発表した。スマートスタジアム構想と呼ばれるこの施策は、両チームの2019年4月1日の開幕戦より順次実施されていく。

「楽天ペイ」と「楽天Edy」

このような取り組みは、スポーツ観戦時の支払いにおける運営の効率化や、顧客の利便性の向上やはもちろんだが、国内において新しいキャッシュレス決済が乱立するなかで、新規のユーザーIDの獲得や、半ば強制的な利用促進でユーザーを囲いこむ狙いもあると思われる。

スタジアム内のチケットやグッズ、飲食等の購入時には、各種クレジットカードやデビットカードでの決済も可能だが、球団のホームページには「楽天ペイ」や、電子マネーの「楽天Edy」での支払いが「おすすめ」とされている。

4月2日の東北開幕戦では来場者全員に15周年記念デザインのEdyカードをプレゼント、さらに楽天ペイで支払うことでビールやソフトドリンクの料金を最大で半額するなど、半ば強制的に楽天ブランドの利用を促している。楽天ブランドのキャッシュレス決済を普及させる起爆剤といえるだろう。

海外のスタジアムでもキャッシュレス化進む

海外に目を向けてみても、スタジアムなどでの完全キャッシュレス化は加速的に進んでいるようだ。

例えば米国で最も人気のあるスポーツ観戦「スーパーボウル」が開催されるアトランタの「メルセデス・ベンツ・スタジアム」では、完全キャッシュレス化を実施することで、飲食の価格低下を実現した。また、野球メジャーリーグのタンパベイ・レイズの本拠地「トロピカーナ・フィールド」でも完全キャッシュレス化の実施を発表している。

米国のこういったイベント会場では、決済だけではなく注文も含めたデジタル化することで、より効率的な運営を行っているという例もある。例えば「Noble」は、米国6州の劇場でアプリ内およびブラウザベースで事前注文・決済ができるサービスを提供するサービスだ。こういった劇場にはアルコール類が欠かせないが、未成年に注文させないための注文フローや、顧客の過度なアルコール摂取を防止するための機能も搭載し、イベントのスマート化や収益向上に貢献している。

キャッシュレス×モバイルオーダーで顧客体験を創出する

米国では決済のキャッシュレスだけでなく、注文・決済も含めたモバイルオーダーの導入も進んでいるが、日本ではこれに関する導入事例はまだ少ない。

最近では、J2プロサッカークラブ「ツエーゲン金沢」のホームスタジアムに隣接する「ツエーゲン茶屋街」が弊社のモバイルオーダーアプリ「O:der」を導入し、3月17日の開幕戦からサービスを開始する。事前注文・決済が可能な「O:der」は、スタジアム到着前に商品を購入でき、現地到着後は受け取りのみとなるため、待ち時間による顧客のストレスを減らし、試合観戦時の楽しむ時間をさらに増やすことができる。同社はこの導入で混雑時における顧客の1時間待ちを解消する見通しだ。

イベント会場ではチケット代以上に、グッズやフード、ドリンクの購入による売上の割合が非常に大きい。混雑緩和を緩和し、よりスムーズな決済・注文方法を導入することは、全体売上の増加にも直結するだろう。また、モバイルオーダーでのデータ活用などにより、魅力的な顧客体験の創出やスタッフのサービス向上を図ることもできるため、イベント会場における新しい価値が広がる可能性も大きく、注文・決済のデジタル化によるメリットは計り知れない。

 

文=佐々木久枝
編集=Showcase Gig

 

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