2021.03.30

飲食店向け

決算資料から読み解く外食上位9社のテイクアウト・デリバリー戦略【前編】

コロナ禍の外食産業において注目されているのがテイクアウト・デリバリー利用率の上昇だ。パルシステム生活協同組合連合会が2020年12月末から2021年1月初旬にかけて実施した調査によれば、子供がいる20〜60代のうち、22%が「テイクアウト・デリバリーの機会が増えた」と回答している。

しかし、女性の社会進出、軽減税率導入といった要因などによって、実はコロナ禍以前からテイクアウトやデリバリーは伸長傾向にあった。そして今後もウィズコロナの状態が続けば、外食の機会減少と相反してテイクアウト・デリバリーの需要は増え続け、市場はさらに拡大していくものと考えられる。

このような状況に鑑みて、外食産業上位9社の決算資料から読み解いた、各社のテイクアウト・デリバリー戦略を前後編にてお届けする。

ゼンショーホールディングス

※イメージ(iStock)

牛丼の「すき家」、丼とうどんの「なか卯」、ファミリーレストランの「COCOS」「Big Boy」、回転寿司の「はま寿司」などを展開する、株式会社ゼンショーホールディングスは牛丼、レストラン、ファストフードのカテゴリーで既存店売上高前年比マイナスという結果になった。

しかし、メインブランドの「すき家」は、12月単月の既存点売上高でみると前年同月比101.3%(客数前年同月比95.8%)、客単価は前年同月比105.7%と、好調な数字となっている。すき家は、競合である「吉野家」「松屋」などと比較してもロードサイド店舗が多く、さらにテイクアウト、デリバリー需要への対応強化がこの数字に貢献していると考えられる。

実際に「すき家」と「なか卯」では、公式アプリを通じたモバイルオーダーを導入。自動的に最安値のクーポンが適用されたり、テイクアウトであれば1ヵ月先まで事前予約が可能といった、顧客の利便性を重視したデジタル化を促進している。

すかいらーくホールディングス

※イメージ(iStock)

ファミリーレストランの「ガスト」「ジョナサン」「バーミヤン」「夢庵」などを展開する株式会社すかいらーくホールディングスは、2020年第3四半期売上高745億円(前年同期比76.2%)、既存店売上前年同期比74.9%となっており、2020年から2021年にかけて約200店舗を閉店した。この点だけをみると、コロナ禍における外食産業の厳しさを感じさせる業績である。

しかし、その一方でテイクアウト・デリバリー売上高は、大きく伸長している。テイクアウト売上は同期実績130億円(前年同期比214%)、デリバリー売上は同期実績241億円(前年比135%)となっている。さらに、2020年7月にガストの一部店舗でスタートした、テイクアウトのから揚げ専門店「から好し」は、ユーザーからの好評を得て出店数を伸ばし続け、2021年1月に600店舗を突破した。

この結果から、すかいらーくグループではデリバリー・テイクアウトの拡大を明言。2021年度には、デリバリー配達エリアの拡大とデリバリー特化型店舗の出店を計画中だ。同社の施策は多岐に渡るが、具体的には1店あたりのデリバリー売上成長施策として、配達エリアの小商圏化、最低受注価格引き下げのPOC、受注サイトおよび配達員アプリ改善による受注件数の拡大などを挙げている。

日本マクドナルドホールディングス

※イメージ(iStock)

日本マクドナルドホールディングス株式会社の2020年の実績は、既存点売上高前年対比+6.8%、全店売上高前年対比+7.3%。上場以来の最高実績である、1店舗あたりの平均月商約1,600万円をたたき出している。

コロナ禍においても強さが目立つ結果を出した要因には、拡大するテイクアウト・デリバリー需要を支える施策をいち早く打ち続けてきたことが挙げられる。例えば、スマートフォンを用いた事前モバイルオーダーを提供する店舗は、国内2,924店舗のうち2,800店舗にも上る。

また、事前にオーダーを済ませたあとは、スタッフが商品を店舗駐車場まで運んできてくれるサービスも展開。入店することなく商品が受け取れる「パークアンドゴー」を提供する店舗は、800店舗まで伸びており、コロナ禍という状況を逆手に取った攻めの姿勢が伺える。

同社は、今後もテイクアウト・デリバリー施策の投資をさらに進めるべく、ウーバーイーツや出前館など外部デリバリーサービスとの提携も含めて、年内に47都道府県でのデリバリー展開を目指す。

コロワイド

「フレッシュネスバーガー」「牛角」「かっぱ寿司」といった外食ブランドを展開する株式会社コロワイド。2021年3月期のグループ全体の実績は、前年同期比60.7%という厳しい数字になった。特に、新型コロナウイルス感染症第三波を迎えた、2020年11月下旬から年末にかけての外出自粛要請や時短営業要請、それに伴う居酒屋業態の年末需要消滅などにより、業績は急激に停滞している。

一方で、商品のテイクアウトがしやすい「フレッシュネスバーガー」は、テイクアウト需要の追い風を受けて好評。また、換気の良さが評価されてファミリー層の需要を得た「牛角」は、Go To イートの恩恵を受け堅調に推移している。

この結果により、同社では今後テイクアウトメニューの強化・拡充を推進していく。さらに自社デリバリー機能を強化し、ウーバーイーツや出前館といった外部デリバリーサービスとのハイブリッド型体制を構築することを計画している。

(後編へ続く)

決算資料から読み解く外食上位9社のテイクアウト・デリバリー戦略【後編】

文=佐々木久枝
編集=Showcase Gig

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