2021.02.05

新型コロナ対策

飲食店向け

さらに拡がるテイクアウト・デリバリー。導入する飲食店が押さえておきたいポイントとは

新型コロナウイルスの流行により再編が進む日本の外食市場で、テイクアウト・デリバリー販売に対応する飲食店が増えている。しかしながら、その場しのぎの新規参入で申し分のない成果が上がるほど、両分野のハードルは低くない。いったいどのような点に注意すれば、軸として計算できるだけの売上が立てられるのだろうか。本稿では、テイクアウト・デリバリーの導入にあたり、飲食店が押さえておきたいポイントを解説する。

外食産業で広がるテイクアウト・デリバリー領域への参入

国内で最初の感染者が確認された2020年1月以降、日本の外食産業はコロナ流行の余波に苦しめられてきた。感染への懸念から客数は減少し、緊急事態宣言などが発出されれば営業時間が短縮。都市部などを中心に、計算する売上を立てられない毎日が続いている。

そのようななか、同産業が活路を見出しているのが、テイクアウト・デリバリーの領域だ。大手チェーンから個人店に至るまで、業態を問わず、多くの飲食店が両分野へと参入し、目減りした売上の補填を図っている。

2020年4月、飲食店リサーチを運営する株式会社シンクロ・フード(以下、シンクロ・フード)が、飲食店の経営者・運営者514人*を対象に実施した調査では、「(店舗の運営を継続するために)テイクアウト販売を始める・または強化する」との回答が過半数にのぼった。

(画像:株式会社シンクロ・フード)

また、「テイクアウト・デリバリー販売を行っているか」の設問では、32.1%がテイクアウトの導入を、37.2%がデリバリーの導入を準備・検討している実態が明らかとなっている(すでにおこなっていると回答したのは、テイクアウトが51.4%、デリバリーが19.1%)。同アンケートは20年4月3~6日に実施されたものであるため、その後の感染拡大や緊急事態宣言発出などの影響を含んでいない。現在ではさらに状況が進んでいるものと推測される。」

(画像:株式会社シンクロ・フード)

より直近の2020年10月には、株式会社プレシャスパートナーズ(以下、プレシャスパートナーズ)が同様の931名を対象に調査をおこない、7割弱の飲食店がテイクアウト販売をおこなっていることがわかった。うち54.7%は、コロナの流行をきっかけに対応を開始したのだという。このデータには、感染拡大を機にテイクアウトへの対応を強化したケースや、デリバリー販売を選択したケースなどが含まれていない。2つの調査からは、危機感の募る外食産業の実態と、テイクアウト・デリバリーという新たな販路に賭ける飲食店の多さを、同時に窺い知ることができる。

*対象者はすべて、同社が運営するウェブサービス・飲食店.COMの会員。58%が東京に店舗を構え、約7割が1店舗のみを運営する。

テイクアウト・デリバリーに参入する飲食店が押さえておきたいポイント

このように、コロナ禍を生きる外食産業にとって必須の販路となりつつあるテイクアウト・デリバリーの領域だが、新規参入で売上を伸ばすハードルは決して低くない。経営者・運営者は、必要なコストや手間、見込める売上などを勘案しながら、自店に向く分野を選択することになる。ここからは、テイクアウト・デリバリー市場の概況を踏まえつつ、それぞれの分野の特徴について掘り下げていく。

オンラインでの消費者との接点がカギとなる『テイクアウト』

上述の動向にも示されていた通り、新規参入する飲食店の数が多いテイクアウト領域。容器さえ準備できればすぐに始められるため、どの業態の店舗も取り組みやすい実情がある。しかしながら、テイクアウト販売で売上を伸ばすには、対応店舗であることを周知しなければならない。消費者がイートインから遠ざかっている現状では、オフライン(来店時)以外に接点を持ちにくい個人店ほど集客に課題が残る。

コロナ流行下でも売上を伸ばしたマクドナルドやケンタッキーフライドチキンなどは、以前から同分野を販路のひとつとして開拓しており、多くの消費者に「テイクアウトできる店舗であること」が認知されていた。成功は、“自店のサービスをいかに周知できるか”にかかっていると言えるだろう。

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最近ではオンラインで消費者との接点を創出するサードパーティ製のアプリなども登場しているが、利用には手数料がかかる。実験的にテイクアウト販売をスタートするならば、店頭での告知と並行して、無料のプラットフォームであるGoogleマイビジネスやInstagram、Twitterなどの活用がおすすめだ。Googleマイビジネスには、Google検索やGoogleマップ、Googleアシスタントからオンラインで直接注文を受けられる機能がある。こうしたツールを上手に活用し、認知の拡大を目指したい。

『デリバリー』は、“採算”とどう向き合うかが分岐点に

一方、これまでイートインのみで営業を続けてきた飲食店にとって、やや参入障壁の高い分野がデリバリーの領域だ。上述のシンクロ・フードの調査によると、2020年4月時点でデリバリー販売を始めていた飲食店は、テイクアウトの3分の1ほどにとどまっている。

同分野に参入するには、まず配達方法を決める必要があるが、コストや手間の問題を考えると、自前のシステムではなく、サードパーティ製のデリバリープラットフォームの活用が基本線となる。最近では、大手のUber Eats出前館にくわえ、WoltDiDi Foodfoodpandaといった新興勢力も台頭を見せている。

Tokyo, Japan, March 28, 2020 – An Uber eats driver is seen at the Ginza shopping district.

反面、こうした外部のシステムを活用するとき、ネックとなるのが手数料の問題だ。飲食店は1件の注文につき、売上総額の30~40%ほどをプラットフォーム側に支払わなければならない。イートインでの提供を前提に設定された価格では、採算が合わなくなるケースも出てくる。そのような場合には、デリバリーメニュー用の価格を別途用意することで“採算割れ“を回避できるが、ここに落とし穴がある。安易な値上げが価格と体験のバランスを崩し、店舗の評価を下げる可能性があるのだ。

デリバリープラットフォームの多くは、店舗ページからユーザーレビューが見られる仕組みとなっている。点数が低くなれば、その分だけ注文を受ける機会は減っていくだろう。最悪のケースでは、デリバリーでの印象がイートインにまで影響を及ぼすこともあるかもしれない。経営者・運営者には、慎重な価格設定が求められる。

デジタル化が前提となっていく、ウィズ/アフターコロナの飲食店経営

コロナ禍で苦境に立つ飲食店が活路を見出すテイクアウトとデリバリーの領域。これらの分野で成功を収めるには、デジタルツールの活用が必要不可欠だ。これまでイートインだけで営業を続けてきた店舗にとっては、両分野への参入がデジタル化の第一歩となっていくのかもしれない。今後の飲食店経営を見据えたとき、デジタルを活用してオンライン上で消費者との接点を持っておくことは、極めて重要なリスクヘッジとなるだろう。それは、コロナの問題が収束を迎えたとしても、だ。

本稿で紹介したプレシャスパートナーズの調査では、キャッシュレス決済やモバイルオーダーの導入実態についてもアンケートがおこなわれた。回答では、前者が71.9%と高い導入率を示した一方で、後者は17.0%の導入率にとどまっている。これらのツールもまた、テイクアウト・デリバリーの領域とは親和性が高い。本格的に両分野へと販路を拡大するのならば、導入を検討してみてはいかがだろうか。

遠くない将来、一般的となるであろうデジタル化した飲食店の存在。長期的な視点で投資をおこなうことが、不測の事態に強い店舗を作り上げていくのかもしれない。

文=結木千尋
編集=Showcase Gig

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