飲食店向け

2019.09.29

【消費増税対策】飲食店がおさえておきたい3つのポイント

10月に控える消費増税まで残りわずか。今回の増税は8%〜10%と2%引き上げになる。増税後の対策に関しては、頭を悩ませる飲食経営者も多いことだろう。増税直後の売り上げダウンが一時的なものになるか、増税時期と共にそのまま客足が遠のいてしまうのか、今後の経営においても重要なターニングポイントとなるのではないだろうか。この記事では、値上げや価格表記といった必ず抑えておきたい増税前の対策ポイントを紹介する。

1.値上げはすべき?

10月1日に施行される増税では、実際に飲食店の売上げは下がるのだろうか。飲食店に特化したリサーチを行なう「飲食店.COM」の調査によると、2014年の増税の際には、全体の43%が価格の値上げを実施し、増税後は、34.1%の店が売上げが下がったと回答している。このことからも、一時的であったとしても、今回の増税時には売上が下がる可能性は高いと予測される。

さらに最低賃金が全国平均で27円引き上げとなる。都道府県によっての誤差はあるが、ほとんどの都道府県は10月1日から適用となるため、同時に賃金を見直さなければいけない飲食店舗も多いだろう。そのため、10月の増税時には価格の値上げを余儀なくされる飲食店が多いのではないだろうか。

増税の影響や人件費の高騰は日々報じられていることでもあり、商品の値上げは顧客側からしても致し方ないという見方もあるかもしれないが、単純な価格の値上げだけをしてしまっては、売上だけでなく常連客の足が遠のいてしまう恐れもある。戦略的な価格の見直しで客離れを防くことが必要だ。

例えばメニューの変更を検討した場合には、「旬の食材や生産地にこだわるなど付加価値をつけることでの値上げ」「今月のおすすめなどどいった季節ものや一部メニューをリニューアルすることでの価格変更」「あえて量や数を増やした目玉商品をおき、お得感を残したまま、その他のメニューは値上げ」など、顧客が納得してくれるような値上げの工夫をし、それをしっかりと提示・アピールすることが大切だといえる。

2.価格表記はどうするべき?

増税後は、店内飲食は10%、テイクアウトは8%と税率が変わる軽減税率制度が施行される。店内飲食とテイクアウトを兼ねた店舗の場合、メニューの価格表記には「税込み同一価格」と「本体同一価格」があるが、どちらがよいのだろうか。

(軽減税率制度の線引についてはこちらの記事で詳しく紹介している)

顧客にとっては支払額を店内飲食とテイクアウトで統一した「税込み同一価格」がもっとも簡単でわかり易い。しかし、そうなるとテイクアウトのお得感がなくなるため、不満が出るのではないかという懸念もある。

店舗の規模や形態、取り扱う飲食の種類によっては、テイクアウトのほうが店の回転率も上がり、売上向上に繋がるというケースもあり、そういったテイクアウトを強化したいお店であれば「本体同一価格」にするのも一案といえる。

ちなみに大手チェーン店の動向は、以下のような対応を発表している。(2019年8月現在)

【税込み同一価格】にすると発表している大手飲食店

−KFC、松屋、サイゼリヤなど

「KFC」を運営する日本KFCホールディングスは「税込み同一価格」を発表。人気商品でもある「オリジナルチキン」1ピースの価格、250円(税込)を維持するため、本体の価格を値下げする。店内飲食は227円、持ち帰りは231円と元の価格に差をつけることで、税込み後の価格を同一にする。キリの良い価格展開で業績が上向いた同社としては、この戦略を継続したいという思いと、増税後の従業員対応の負担を避けたかったというのを、この決断の理由としている。

また、「松屋」を運営する松屋フーズホールディングスも、テイクアウトの本体価格を引き上げることで、「税込み同一価格」を発表。同店での精算は券売機のため、1円単位の計算が困難であり、同時に顧客へのわかりやすさと従業員の混乱を防ぐためという理由がある。

【本体同一価格】にすると発表している大手飲食店

−モスバーガー、吉野家、スターバックスなど

「本体同一価格」の方針を発表したモスフードサービスは、10月以降、「モスバーガー」の本体価格はそのままで店内飲食とテイクアウトそれぞれ別税で対応する。軽減税率導入後は、価格の低いテイクアウトでの購入が増えると予想し、ハンバーガーのフレッシュ感がより長持ちするよう、バンズをリニューアルするという工夫も発表している。その他にも、「吉野家」や「スターバックス」なども「本体同一価格」の方針を公表している。

その他大手飲食店として気になるマクドナルドやすき家の方針は、現在まだ検討中としている。

価格表記に関しては、自身の経営する店の形態が店内飲食・テイクアウトどちらに向いているのかを見極めたり、どのような表記であれば、より売上が伸びるのかを事前に熟考する必要があるといえる。

3.サービスの内容は変更すべき?

店内におけるサービスの内容は変更すべきなのだろうか。顧客側からすれば、店内飲食で、なおかつ価格が変わらないとなれば、自動的に2%は値上げとなる。増税後も既存の客足が遠のかないように、この値上げはできるだけ抑えたいと考える経営者も多いのではないだろうか。

サービス内容の変更時に注意したいのは、安易に料理の量や質を落とすことだ。これまでと比べ、明らかにクオリティが下がったと感じるメニューの変更は、顧客の満足度低下につながる恐れがある。これまでのクオリティは保ちつつ、メニューそのものの単価が抑えられる新しいレシピの考案であれば、顧客の納得感も得られるかもしれないが、他にもコストを抑える方法はある。

サービス内容の変更を検討するのであれば、「店舗の生産性やオペレーションを見直す」ことをおすすめしたい。例えば、卓上に設置するメニューをもう一度見直し、メニューブックを戦略的に充実させる。それが接客スタッフの代わりを担うこともできるのだ。些細な質問や、おすすめを説明するといった接客対応の負担を軽減したり、食材や生産地のブランド力を魅力的に表記することで、アップセルに繋げるといったことも可能になる。

もう一つ、「国の補助金を利用するなどしてITツールを導入する」というのも非常におすすめだ。注文や支払いといった部分のオペレーションや勤怠管理システムなどをクラウドソフトなどを導入することによって効率化し、人件費の削減や他の業務の強化を図ることが可能となるのだ。

10月における増税前対策と今後のために

今回の増税では、だいぶ前からさまざまなニュースやメディアで取り上げられているが、増税や最低賃金の引き上げといった政策は、将来的に考えても再び起こりうる課題でもある。このような事柄に今後も柔軟に対応できるよう、これを機に経営体制や店舗の仕組みづくりを整えていくことも大切なのではないだろうか。

 

文=佐々木久枝
編集=Showcase Gig

 

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