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2022.05.30
新型コロナ対策
飲食店向け
2020.09.02
飲食店向け
緊急事態宣言の解除からおよそ4ヶ月。休業を余儀なくされた飲食店舗の多くが営業を再開している。そんな中で、依然として厳しい状況なのが居酒屋だ。SNS上などでは、 “コロナ以前のように、居酒屋で友人知人と楽しい時間を過ごしたい”という書き込みも多く目にするが、実情としては客足は遠ざかったままである。今後居酒屋はどうなってしまうのか?その現状と打開策を考える。
緊急事態宣言の解除後、全体として店内飲食の客足は戻り始めているものの、その業態によって売上に大きく差が出ている。
一般社団法人日本フードサービス協会が発表した「外食産業市場動向調査 2020年6月度 結果報告」によると、外食全体の売上としては前年を大きく下回る78.1%という結果になりつつも、6月の売上回復率は「ファーストフード業態」は88.2%、「持ち帰り米飯・回転寿司」は、93.1%と大きく回復している。また「ファミリーレストラン業態」は、他業態と比べて店内飲食の戻りが早かったことから、全体売上の73.5%まで回復したと報告されている。
これら飲食店の数値に比べ、特に厳しい結果がでたのが居酒屋である。「居酒屋」の全体売上回復率は41.5%、「パブ・ビアホール」は34.2 %と前年の4割にも届かず、依然として壊滅的な状況が続いているという。
依然として厳しい状況が続く居酒屋業態(出典:iStock)
同じ飲食業界のなかでも、なぜ居酒屋の現状ばかりはここまで厳しくなっているのか。その理由の一つとして、法人の居酒屋需要が激減したことにある。
コロナ以前では、近隣の会社に勤務する人たちが、接待や社内イベントで利用するといった”法人需要”の宴会が多くあったが、緊急事態宣言以降ではその需要が大きく減ってしまった。また企業によっては、社員同士の飲み会を禁止、制限しているところもあるという。またそれ以外の個人客の利用でも、クラスター発生の懸念からか、貸し切りや宴会といった大勢のグループによる予約が全くといっていいほど無くなってしまっているのだ。
結果、このような顧客に頼っていた、繁華街にある大規模店などは集客が見込めず、家賃や人件費がかさみ赤字が蓄積。非常に厳しい状況に陥っている。
一方で、人が密集しづらい住宅街に隣接したエリアでの友人・家族との食事などは戻り始めているという。”密”を避けるという意識が働き、大勢ではなく親しい人たちと身近な場所での外食を好む人が増えてきているのだ。コロナの最中であっても美味しいものが食べたい、そろそろ外に出たいという消費者の思いと、コロナ禍によりさらに推進された在宅勤務であるテレワークの普及が関係し、このような傾向が現れているのではないだろうか。
冒頭の一般社団法人日本フードサービス協会の結果報告でも、郊外・地方立地や食事主体業態では回復の兆しが比較的早く見えてきた一方で、都心部・繁華街立地、飲酒業態などは回復が遅れていると報告されている。
今回のコロナ禍では、経営難により大量に店舗を閉店する外食チェーンも多くあり、ファミリーレストラン「ジョイフル」は、200店舗の閉店、「てんや」や「ロイヤルホスト」を経営するロイヤルホールディングスは70店舗、「和民」や「ミライザカ」のワタミグループは65店舗の閉店を発表した。
これだけ大量の店舗を閉店にする背景には、もともと売上が芳しくなかった店舗を中心に閉店させることで、会社全体の損失を最小限にするという狙いがあるが、一方でコロナ以降の消費者ニーズに対応するための業務変換のための閉店という側面もある。
国内で491店を展開するワタミグループは、およそ400店の直営店舗を臨時休業にした影響により29億円余りの赤字がでた。しかし、大量閉店を実施した後に、家族連れをターゲットにした焼き肉食べ放題の店「かみむら牧場」をオープンし、売り上げの4割を占める「弁当宅配や持ち帰り中心の業態」に力を入れていくことを発表。大規模な業務変換を行なっている。
また、居酒屋「塚田農場」を運営するエー・ピーカンパニーも同様だ。東京・渋谷に5店舗あった塚田農場を2店舗まで減らし、「地どり屋つかだ」「焼鳥つかだ」といった専門店に業態を変えている。現在、塚田農場は全国に約100店舗あるが、今後10年をかけて年間5~10店舗ずつリブランディングしていき、全店舗の業務転換を目指す方針を明らかにしている。
昨今の消費者動向も、コロナ以前から少しずつではあるが、大勢でわいわいと楽しむ居酒屋形式から、より個人的にこじんまりとお酒と食事を楽しむレストラン形式へと傾向が変わってきている。そういった背景からも、今回のコロナ禍を機に脱居酒屋を目指す店が出てきているのだろう。
コロナによって消費者のライフスタイルは大きく変わった。たった一ヶ月先の状況でさえも予測することが困難であり、この状態はしばらく続いていくだろう。居酒屋産業にとっては非常に厳しい状況となっているが、ウィズコロナにおける消費者の需要に合わせつつ、これまでのビジネスモデルにとらわれない柔軟なチャレンジが必要となってきている。
文=佐々木久枝
編集=Showcase Gig
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