小売店向け

2019.04.22

加速するBOPISサービス。商品購入時に米国消費者の約7割が活用

米国で急速に発達するBOPISをご存知だろうか。BOPISとは(Buy Online Pickup In-store)の略であり、オンラインで購入し実店舗では受け取りを行う購入スタイルである。現在米国では消費者の約70%がこのシステムを利用しているという。BOPISとはどんな仕組みだろうか。

BOPISのしくみと利用者のメリット

日本ではオンラインショッピングというと、家まで配達されるもの、という認識が一般的だが、米国では異なる。近年、消費者に利用が広がっているのが、BOPIS(Buy Online Pickup In-store)というシステムだ。BOPISは、実店舗のある小売店のオンラインショップで商品を購入し、商品の受け取りを店頭でおこなう。米国では「Walmart(ウォールマート)」や「TARGET(ターゲット)」、「The Home Depot(ザ・ホームデポ)」などの大手チェーンが次々導入し、利用が拡大している。

Business Insider Intelligenceによれば、米国消費者のおよそ70%がこのBOPIS(店頭受取り)を利用しているという。利用理由としては、全体の48%が「宅配送料の節約」、39%が「商品を受け取れるまでのスピード(在庫切れによる待ち時間も短縮)」、28%が「利便性」と回答している。

店舗での商品を受け取る際には、店舗に入ってすぐの場所に、専用のカウンターや受け取りロッカーが設置されており、レジに並ぶ手間がなく、欲しい商品を短時間で確実に購入できる。

特に大型店では、欲しい商品を探しまわって長時間を費やしたり、スタッフを探して店内を右往左往する必要もなく、また、旅行時には、旅先で必要となる商品をオンラインで事前購入し、旅先の最寄り店舗で受け取るといった利用法で活用している顧客もいるようで、利用者にとって魅力的なシステムとなっている。

BOPIS導入事例

米国でBOPISを提供している店舗の一般的なスタイルとしては、店舗入り口付近のすぐ左側にお客様サービスを兼ねた「受け取りカウンター」を設置、”Pick up(受け取り)” の文字でわかりやすく表示している。その一歩先を進んだサービスを提供している店舗もある。米国の大手チェーンストア「Walmart」は、受け取りカウンターだけでなく、巨大なタワー型のピックアップ専用ロッカー「Pickup Tower」を設置しており、操作パネルでスマホに送られてきたバーコードをかざすと5~10秒で注文品が出てくる。受け取り時に順番を待つ必要もないため、顧客のタイミングで商品をピックアップできるのだ。

Walmartのピックアップ・ロッカー(撮影:編集部)

また、ディスカウントショップ「TARGET」では、通常のピック・アップに加え、駐車場まで商品を持ってきてくれるサービス(カーブサイド・ピックアップ)も提供している。

TARGETのホームページのOrder Pickupの紹介ページ。ほとんどの商品でBOPISの利用が可能。(撮影:編集部)

 

TARGETの駐車場。オンラインで注文した商品を駐車場で受け取り可能。(撮影:編集部)

 

BOPIS利用者は、送料を節約できるだけでなく、店頭でのちょっとした優遇サービスを受けられるように工夫されており、米国ではBOPISに対応していない小売店舗のほうが少なくなってきているという。上記店舗だけでなく「The Home Depot」では、オンライン注文時の店頭受け取りは45%、「LOWʼS」では 60%に達しているといい、BOPISはもはや当たり前の光景となりつつある。

The Home Depot(ザ・ホームデポ)のBOPIS紹介ページ。2時間以内にピックアップできる。

BOPIS導入における店舗側のメリット

店頭による顧客の「ついで買い」は85%

同調査によれば、BOPISを利用した顧客の85%が、商品の受け取り先で追加の「ついで買い」をしているといい、そのうち15%が「やや頻繁に」ついで買いしていると答えている。BOPISの導入により追加売上を見込める確率は非常に高い。

このついで買いには、買い物時の人の心理状況が垣間見える。一度に多くのものを購入するよりも、BOPIS上と店頭の2回に分けて購入することで消費へのハードルが下がるのかもしれない。顧客がどの商品を衝動買いするのかを分析し、その商品を受け取りカウンター付近に陳列し「ついで買い」を促進することもできるため、オムニチャネル施策にも繋がる。

接客の手間が省ける

顧客はオンライン上で事前に購入と決済を完了しているため、店頭でレジを介する必要がなく、会計時の接客が減るため効率良いオペレーションが可能となる。他の業務へ従業員を回すこともできるようになり省人化が図れる。

IDの活用でマーケティングが可能

顧客がBOPISを利用するにはオンラインの決済が必須となるため、会員IDの登録が必要となる。このID情報により、店舗毎の客層や商品の売れ筋を読み取ったり、魅力的なキャンペーンを仕掛けたりすることができる。これまで実店舗でおこなっていたマーケティングに加え、より詳細なデータ観測ができ、顧客の志向に沿った商品やサービスを提供することが可能となる。

また利用者には、オンライン上での特別セールやお得な割引キャンペーン、ポイントなどのサービスを付与し、その店で買い物をすることのメリットや楽しみを感じてもらうことで、固定客化・ファン化に繋げる。

BOPISのニーズは今後日本でも増加する

近年では日本も共働き世帯が増加しており、オンラインショップで日用品を購入することはすでに日常化しつつある。しかし、運送業界では人手不足や配送料の値上げが問題となっているため、これらの対策としても有効だ。

日本は駅周辺に商業ビルが多いため、BOPISサービスは生活に浸透しやすいとも考えられる。反対に郊外の大型モールなどではカーブサイド・ピックアップが相性がいいかもしれない。さまざまな業種や業態での導入検討可能だ。

実際にヨドバシカメラ、無印良品、東急ハンズなどの小売チェーンではBOPISは広がりつつあるものの、まだ専用の受け取りカウンターやロッカーの設置など店舗を改装するまでには踏み切っていない店舗が多く、まだまだ過渡期にあるといえるだろう。

 

文=佐々木久枝
編集=Showcase Gig

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