小売店向け

2019.07.02

次の小売業を動かす「Z世代」が店舗体験に望む5つのこと

Z世代(ジェネレーションZ)と呼ばれる、1995年-2009年生まれの消費世代は、2019年に世界人口の32%を占めるといわれており、世界中でミレニアムからZ世代へ向けた小売戦略が動き出している。とりわけ強力な購買力を持つZ世代。デジタルネイティブである、この世代のおよそ40%はテクノロジーに依存していると認識しており、日常においてスマートフォンは欠かせない存在となっている。Z世代は、平均して5つの画面を同時操作し、一日10時間以上もオンラインコンテンツで情報収集をしているという。このマルチタスクに精通しているZ世代にいかにアピールしていくかが、今後の小売業界のキーポイントであるとされている。

実店舗での購入を好むZ世代

スマートフォンで日々の情報を収集しているZ世代であれば、購入方法もオンラインを好むのではないかといわれると、以外にもそうではない。

英国にあるリサーチ会社「PROFITECT」が発行しているRetail Week CONNECTによると、英国におけるZ世代の女性の24%は実店舗の買い物を好み、45%は実店舗もオンラインも同じくらい好む、とされている。つまり、およそ70%のZ世代は、買い物の際に実店舗の体験を求めているということになる。その理由として、「商品を手にとって確かめたい」というのがあり、購買力は高いが、慎重に選んで買い物をしたいという、Z世代の特徴がよく表れている。

では、商品購入の際にZ世代は得意のオンラインで何をするのか。ウェブルーミングである。ウェブルーミングとは、商品をオンラインで事前に情報収集し、実際の購入は実店舗でおこなう消費者行動のことをいうが、Z世代の多くがその方法を好んでいる。

彼らは実店舗で購入する前に、まずその商品について入念に調べる。商品そのものの情報はもちろんだが、類似品や他の商品とも比較し、品質・価格・口コミなどにおいて、よりよい商品を探す。そのため特定のブランドのWEBサイトよりも、さまざまなブランドとの比較が可能な小売WEBサイトやSNS、口コミサイトなどを利用することが多く、そうして集めた情報から購入商品を決め、実店舗へ訪れる。

生まれたときからスマートフォンが身近にあり、世界中のあらゆる情報がすぐに手に入るZ世代にとって、リアルに見て触れることができる実体験は、より価値があるものとされているのだ。

Z世代の好む買い物体験とは

では、実際にZ世代は実店舗にどんな購買体験を望むのか。Retail Week CONNECTのレポートを参考にそのZ世代の傾向を5つにまとめた。

1.価格と利便性を重んじる

Z世代はオムニチャネルショッパーであるがゆえに、特に価格にはシビアである。特別感があることが購入へつながるので、特典や割引など独自のプロモーションを得られるものを好む。また、オンラインで買った商品を実店舗で受け取る、店舗で試着・試用した商品などを店のモバイルアプリから注文・購入できるなど、実店舗とデジタルのシームレスな体験ができる利便性の高さを求めている。

2.オリジナリティのある体験型店舗を好む

Z世代は独自性を求める世代であるため、ありきたりの商品は購入したくない。デザイン性に優れた店舗やユニークな商品企画を好み「商品そのもの×自分自身の価値観や個性を表現できる」ことを求めているという。商品をユニークな方法で体験できる店舗やオリジナリティの高い購買体験ができる店舗へより足を運ぶ。

3.モノよりもコト(ストーリー)を好む

Z世代は広告は好きではないが、その商品やブランドが持つストーリーは大好きである。それを知ることで、ブランドのファンとなり購入に繋がる。自社のもつ本物のストーリーを発信するコンテンツやコミュニティを構築することが、顧客ロイヤリティの獲得につながるだろう。

4.個人のレビューを信頼する

Z世代は、オンライン上で表示される広告や世間で有名かどうかのネームバリューなどはあまり信用せず、YouTube、Snapchat、Instagram、Facebook等のSNSから発信される、個人のネットワークをより信頼しているという。彼らはそれらを閲覧するだけでなく、実店舗で良い体験をしたら、それらの情報をSNSなどに自ら投稿しシェアする。

5.社会・環境問題への意識が高い

Z世代は世界中の情報にアクセスしていることで、多様性に富んた考えをもっているため、ソーシャルグッドやサスティナブルといったことへの意識が高い。そのため、社会・環境問題へ貢献している企業を応援したい、商品を買いたいという思いが強いというデータもある。

Z世代の店舗体験の事例

Z世代に向けた店舗体験の好事例として「LUCH」の店舗がある。同社の看板商品でもあるバスボム(入浴剤)のコンセプトショップとしてオープンした「LUCH 原宿店」では、スマホを使って遊びながらバスボムを体験することができるのだ。店内では、回転寿司のようにレールに乗せられたバスボムが回転しながらアート作品のように展示されている。またAR技術を使って商品の情報を知ったり、専用アプリで商品をスキャンするとバスボムが溶けたときの様子も見ることも可能。

また環境保全、動物実験反対などの社会活動を積極告知していることでも知られているLUCHでは、この既存店でおこなっている水を使った実演販売を止めることで、水使用量の削減も目指しているという。

LUCH 原宿店の店内の様子。(出典:ラッシュジャパン

他にも、GU原宿店のアバターで試着ができる「GUスタイルスタジオ」。スーパースポーツゼビオ渋谷店の実際に街を走っているような体験ができる「トレッドミル」や足型測定サービスなど、体験型店舗は都内を中心に広がり始めている。

次世代の店舗体験を考えるとき、私たちはもうZ世代の消費行動を無視できない。Z世代が以外にも実店舗での購入を好んでいる、というのは素晴らしいニュースではある。しかし、昔と同じ店舗を設計していても新しい世代に訴求できず、時代の移り変わりとともにアップデートされなければならないことが分かる。

文=佐々木久枝
編集=Showcase Gig

 

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